日本のような一斉の入学試験のないアメリカの大学では、入学審査のために、願書や高校の成績のほかに、エッセー、推薦状など、たくさんの書類が必要です(ときには面接もあります)。
このページではそれぞの書類の記載内容や書きかたのポイントをお伝えします。
もくじ
願書
願書(Application Form)は、オンラインで入力してオンラインで送信するのが一般的です。ここでは、1,000以上の大学に共通して使える Common Applicationという共通願書の記入項目を紹介します。
記入する項目が多く、日本の大学の願書では問われないようなものもあります。何を書けばいいのかわからない項目もあるでしょう。これらの項目からアメリカの大学側がどんな情報を得ようとしているのか予想してみましょう。
出願者のプロフィール
- 氏名
- 過去に使用していた他の氏名(旧姓など)
- 性別
- 生年月日
- 自宅(実家)住所
- 大学からの郵便物を受け取りたい住所
- 現住所
- Eメールアドレス
- 連絡する電話は携帯か自宅のどちらがよいか
- その電話番号
- その他の電話(なし・携帯・自宅のいずれかを選択)
- その電話番号
- 信仰する宗教
- アメリカの軍での地位
- ヒスパニックまたはラテンアメリカ系か
- 人種
- 出生国
- 生年月日
- アメリカに住んだ年数
- アメリカ国外に住んだ年数
- 言語(第一言語か否か・話せる・読める・書ける・家で話す、それぞれにチェック):複数入力可
- 市民権のステータス
- 市民権をもつ国
- 現在アメリカに在住の場合、ビザの種類
家族
- 両親の配偶関係
- どちらの親またはだれと暮らしているのか
- 子どもがいるか、いる場合何人か
1人目の親について(母か父のどちらかにチェック)
- 存命か否か
- 敬称(Mrs. Dr. Mr. Ms.など)
- 氏名
- 出生国
- Eメールアドレス
- 連絡する電話は携帯・自宅・その他・職場のどれがよいか
- その電話番号
- 職業
- 雇用状況(雇用中または失業中)
- 肩書き
- 大学に雇用されているか(または退職しているか)否か
- 学歴(高卒、大卒など)
- 在籍した学校の数
- 大学名
- 取得した学位
- 取得年
2人目の親についての同様の質問
- 兄弟姉妹の数
- 兄弟姉妹の名前
- 年齢
- 関係(兄弟・姉妹のいずれか)
- 学年
- 取得(予定)学位
- 大学名
- 大学入学年月
- 大学卒業年月
教育
- 学校名/住所
- 入学年月
- ボーディングスクールか否か
- 卒業年月日
- カウンセラーの敬称(Ms. Dr. Mr. など)
- カウンセラーの氏名
- カウンセラーの肩書き
- カウンセラーのEメール
- カウンセラーの電話番号
- 他の学校に在学したことがあれば、その数(あれば、その学校名、在学期間)
- 高校の就業進度が遅れたり妨げられたりした場合、その理由(中退、転校、休学など、選択肢あり)
- 大学レベルの科目を履修したことがある場合、その科目数
- 無料で大学出願の支援を受けた場合、その支援をしたプログラムや組織の数
- 学年における成績順位
- 同学年の生徒数
- 累計GPA
- GPAが何段階か
- GPAは加重平均したものか
- 今年度、何科目履修しているか(科目名、科目の難易度、学期の種類などを記入・選択)
- 授与された成績優秀賞などがあればその数(あれば、賞名、受賞した学年、その賞が学校内・州/地域・全国・国際レベルのいずれかを選ぶ)
- 将来の希望の職業
- 取得したい最高位の学位
テスト
- ACT®、SAT®、AP、IB、TOEFL®テスト、PTEアカデミック、IELTSなどのスコアを自己申告したいか(したい場合、それぞれのテストを受けた回数と今後受ける回数、各スコアと受験日などを記入・選択)
- 留学生のみ:その国の教育制度では、進学にあたり中・高等学校修了時に州や国の試験を受けなければならないか否か
活動(アクティビティ)
- 活動の種類
- 役職・リーダーシップ
- 参加した学年
- 大学入学後も活動に参加したいか
- 参加した時期(学期中・休暇中・年中、のいずれか)
- 1週間に費やした時間数
- 1年間に費やした週数
- 活動についての詳細・表彰経験・実績などを簡潔に記述
(複数の活動について同様の質問に答える)
エッセー
以下の選択肢から1つトピックを選び、心を揺さぶられた言葉や表現を使いながら、650単語以内で書く。
- 一個の出願者としてのアイデンティティの核となるバックグラウンドやストーリーを教えてください。
- 失敗した出来事や、失敗したときのことを詳しく述べてください。それがあなたにどのような影響を与え、あなたは何を学んだのでしょうか?
- ある信条や見解に異議を唱えたときのことを表してください。その理由は何でしょうか? 再び同じ異議を唱えますか?
- あなたがとても満足した場所や環境について述べてください。そこであなたは何をしましたか? その満足した理由も述べてください。
- あなたの文化・コミュニティ・家族のなかで、あなたが成長するきっかけとなった功績や出来事について述べてください。
その他
- 素行不良が原因で仮進級、停学、退学になったことがあるか否か(ある場合は要説明)。
- 犯罪歴の有無(ある場合は要説明)
以上、ここまでアメリカの大学願書の一般的な項目を見てみました。いかに大学側がテストスコアだけでなく出願者個人について知りたがっているかがわかります。
ここからは、高校の成績、エッセー、推薦状などの必要書類のポイントを見ていきましょう。
高校の成績
入学審査で最も重要な「高校の成績」
アメリカの大学が合否を決める際に最も重視するのが高校の成績です(編入の場合は大学の成績も審査対象になります)。高校の成績は、出願者の学力や学習への取り組みかたを評価できる最も大きな資料になるからです。
アメリカの大学は、「真の学力はテストスコアだけでは測りきれない」と考えています。たしかにSAT®やACT®のような学力テストはありますが、それらについては、受験テクニックや「テスト慣れ」のようなものがスコアに影響します。TOEFL®テストやIELTSなどについても同じことがいえます。つね日頃の学習習慣や意欲といったものが本来の学力なのであって、それはやはり在学校の成績に表れてくるのです。
高校3年間の成績が評価対象
アメリカの高校は四年制(日本の中3から高3にあたります)が多く、4年間の成績が評価対象となります。日本の高校生の場合は、高1から高3までにとった科目の成績が評価されます。
高校でとった科目の成績の平均値をHigh School GPA(ジーピーエー)といいます。大学によって、入学基準としてGPA2.5以上とか3.0以上といった数値を設けています。これは4段階でのGPAの数値です。日本の高校生の場合、5段階の評定平均で3.0以上はとっておきたいところです。
GPAが高ければ高いほうがいいのはいうまでもありませんが、かといってGPAだけで合否が決まるかというと、そうではありません。GPAが低くても、エッセーや推薦状がすぐれていれば、全体としての評価は高くなります。
成績が上昇していれば高評価
1年生より2年生、2年生より3年生というように成績が上がっていると、大学には好印象を与えます。年次が上がるにしたがって成績が少しずつでも上がっていれば、学習意欲や努力、モチベーションの高さが認められ、高校3年間全体でのGPAが低くても合格のチャンスが高まります。
また成績が最近のものほど、大学の学業をやっていけるだけの学力があるかどうかを示す目安になるので、より重視されます。アメリカの大学の出願時期は、9月入学の場合、前年の12月~当年の3月くらいですので、日本の高校生の場合は、高校3年生の1・2学期の成績が最も大切だということになります。主要科目だけでなく、副教科にも全力を注ぎましょう。
与えられた環境でベストを尽くしているか
高校のレベルそのものについては、大学によって考慮のしかたは異なりますが、よい高校で悪い成績を修めるよりも、レベルはさほどでない高校でもよい成績を修めることのほうが、アメリカの大学では高く評価されます。「与えられた環境でベストを尽くす」ことが大事だと考えられているからです。
日本の個々の高校のレベルを把握しているアメリカの大学は少ないので、もし進学校などで思わしくない成績をとってしまった場合は、推薦状などでいかに高校のレベルが高いかということを大学に伝えるとよいでしょう。高校の成績が悪かったことの言い訳をエッセーなどで書き連ねることは好ましいとはいえませんが、悪かったことの事情や理由を、推薦状などを通じて客観的な立場から説明してもらい、そこからポジティブに大学留学に臨む姿勢をアピールするのはマイナスにはなりません。
エッセー
自分をアピールする作文
エッセーとは自分の意見や価値観、経験などを述べる作文のことです。大学に出願者のことを知ってもらうための、またその大学に入学したいという熱意を伝えるための、自己紹介文・自己アピール文です。
エッセーは合否を左右するとても重要な書類です。奨学金の額にも影響します。とくに私立大学はエッセーを重視します。成績やTOEFL®テストのスコアなどの数字では表せない個性や価値観、意欲、将来の夢などを、エッセーから読み取ろうとします。出願者にとっては絶好の自己アピールのチャンスなので、「いい文章」や「むずかしい単語や表現を用いた文章」よりも、自分らしさ・ユニークさを存分に表現した作文を心がけましょう。
エッセーのトピック
エッセーのトピックは、書き手に自由に委ねられる場合と、それぞれの大学から課題が与えられる場合とがあります。大学から指定されるトピックは、以下のタイプに大別されます。
1. 出願者自身のことを書かせるタイプ
- 「本学に入学するにあたって、あなたの資質やこれまでに成し遂げたとこについて述べてください」
- 「人間関係においてあなたは何を重視しますか。あなたと最も親しい人はだれですか。またそれはなぜですか」
- 「あなたの尊敬する人物はだれですか。またなぜですか」
- 「あなたが直面した困難事と、いかにそれを克服したかを述べてください」
などが課題の例です。
2. その大学の志望理由を書かせるタイプ
- 「あなたの教育目標を達成するために、なぜ本学に入学したいのか述べてください」
- 「あなたは本学と在学生に対して、何を、どのように貢献できますか」
などが課題例です。
3. 出願者の創造性やユニークさを探るタイプ
- 「過去、現在、未来を問わず、また実在するしないにかかわらず、1年間一緒に過ごしたい人を挙げるとしたら、それはだれですか。またなぜですか」
- 「あなたはいま、300ページの自伝を書き終えました。その217ページ目を提出してください」
などが課題の例です。
魅力的なエッセーを書くために
なぜアメリカの大学はエッセーを課すのかというと、高校の成績やSAT®、TOEFL®テストなどの数値だけではうかがい知れない、ユニークな素養を見いだそうとするからです。パフォーマンスを大切にするアメリカの大学は、エッセーによる表現力にも注目します。
アメリカの高校では、いろいろな課外活動やボランティアをすることを薦められますが、これはより個性的な内容のエッセーを書ける人になることにつながるからです。机の勉強だけではなく、じかに触ったり、自分の目で見たり、痛い目にあったり、共感することがあったり、いろいろなことを体で感じることがとても大切で、そのような経験が、より魅力的なエッセーに表れると考えられています。また文章力や表現力をつけるための読書も欠かせません。毎日、国内外のニュースに触れて、問題意識を養っておくことも大切です。
このように日々の積み重ねが、よりよいエッセーを書くためには不可欠です。もともとエッセーには「正答」というものはありません。日々の生活のさまざまな局面を通じてありのままの自分の魅力を磨き、自分らしさを掘り起こし、それを言葉として表現することで「自分にしか書けないエッセー」をめざしましょう。
推薦状
推薦状とは
推薦状(Letter of Recommendation)は、エッセーと同様に、アメリカの大学の合否に大きく影響する審査項目です。
多くの大学では高校の先生の推薦状を2通提出することを求めています。大学にとって推薦状は、学力だけでは甲乙つけがたい複数の出願者を比較する材料になります。また名門大学ほどユニークな感性や際立った才能を求めるので、さまざまな観点から書かれた推薦状を読み合わせて、出願者の人物像を描こうとします。日本でいう「指定校推薦」とはまったく異なります。
だれに依頼するか
推薦状は、出願者がどのように客観的に評価されているかを示すものですので、自分のことをよく理解し、具体的に評価できる人、そして自分の留学に賛同し、応援してくれるに書いてもらうようにしましょう。
2通のうち1通は高校3年生のときの担任の先生に書いてもらいましょう。もう1通は、できれば担任の先生とは異なる教科を教えている先生に書いてもらうとよいでしょう。部活の顧問の先生に書いてもらうのでもかまいません。アメリカの高校生は、進路指導の先生のほかに、国語(英語)か数学の先生に書いてもらうのが一般的です。
思い切って褒めてもらおう
推薦状では、できるだけ客観的に、具体例を挙げて、自分のよいところを評価してもらいます。学力だけでなく、性格、生活や授業への取り組みかた、創造力、協調性、リーダーシップ、社会性など、できるだけ実例を挙げて際立った長所が書かれているのが理想的です。
学業だけでなく、クラブ活動やボランティア活動といった課外活動についても、その活躍ぶりを具体的に書いてもらうとよいでしょう。形式ばったものではないので、少々型破りでも熱意をもって書いてもらうほうが、アメリカの大学には強い印象を与えます。アメリカは褒めるのが当たり前の社会です。日本ではちょっと気恥ずかしいような褒め言葉でも、アメリカでは功を奏します。推薦状がマイナス材料になる心配はありませんので、思い切って褒めてもらい、自分の魅力が存分に大学に伝わるようにしましょう。
課外活動
課外活動とは
課外活動(Extracurricular Activities)は、エッセーや推薦状と同じく、成績やテストスコアだけではうかがい知れない出願者の特徴を示すものです。とくに私立大学や名門大学で重視されます。
願書には課外活動について記述するスペースがかなり大きくあって、それだけさまざまな課外活動の経験をもつことをアメリカの大学が期待していることがわかります。
アメリカの高校生は長い夏休み(3か月ほどあります)を利用して、ボランティアに従事したり、交響楽団や劇団のツアーに同行したり、大学や研究機関が主催するリサーチ体験に参加したり、企業でインターンをしたり、本当にさまざまなことにチャレンジしています。アメリカは先進国の中では世界一ボランティア参加率が高い国だといわれています。高校生たちは高齢者の施設などで長期間ボランティアをしたり、それが高校の卒業単位になったりもします。また、アメリカは高校・大学その他の団体が主催するサマーキャンプがたくさんあって、さまざまな活動や経験ができるようになっています。
スポーツもアメリカ人は大好きです。ボーディングスクール(寮制の高校)などでは、毎日スポーツをする時間があり、しかもシーズンごとに違うスポーツをします。アメリカは同じスポーツを1年中するという考えがなく、春・秋・冬と季節ごとに異なるスポーツに取り組みます。
このように課外活動への取り組みかたは、アメリカと日本の高校生とでは異なりますが、留学生に対しても課外活動は評価されますので、できる限り積極的にボランティアやクラブ活動に参加しておきましょう。ただ、いかにもアメリカの大学出願のためにあわててボランティアをやりました、というのは望ましくありません。
課外活動の種類
高校や塾の勉強以外はすべて課外活動に含まれます。たとえば以下のようなものが代表的な課外活動です。
- クラブ活動
- 生徒会
- ボランティア
- 委員会活動
- 音楽・演劇活動
- アルバイト
- 趣味
クラブ活動は、運動部と文化部のいずれが望ましいということはありません。部活の内容は何であれ、好きなこと・得意なことを長く続けることが大切です。主将や部長になれればそれにこしたことはありませんが、補佐を担うような役割でもOKです。自分の持ち味が発揮されることが重要です。
アメリカでは、文化部については、ディベート(討論)クラブが人気です。「雄弁であること」は西洋では古代から美点とされていて、全国的な大会もあり、そこで表彰されれば大学からの高評価を期待できます。クラブ活動ではなくても、何かしらの表彰経験があれば、それをアメリカの大学にアピールしましょう。
課外活動のどこが評価されるか
アメリカの大学が課外活動を通じて評価しようとするのは、以下のようなことです。
- 興味、関心、特技
- リーダーシップ
- 協調性
- 根気強さ、忍耐力
- 責任感
- 学業とのバランスをとれるか、タイムマネジメントの能力
このうちリーダーシップはとくに重視されています。名門大学ほど、出願者にリーダーの素質を期待します。もちろん縁の下の力持ちとして力を発揮するのも能力の1つですので、必ずしもリーダーの経験がないことが不利になるということではありません。
またユニークな才能を評価するのがアメリカの大学ですから、日本的なこと――柔道、剣道、合気道、茶道、書道、華道、短歌、俳句など――に通じていると、アメリカの大学には「おもしろい人材だ」と思ってもらえるかもしれません。
テストスコア
3つのStandardized Tests
アメリカには日本のセンター試験にあたるテストはありませんが、大学進学を控えた高校生が受ける、全国統一のテストがあります。これは Standardized Testといって、全国統一のテストですが、民間の企業・団体によってつくられています。その代表的なものが、
- SAT®
- ACT® (American College Test)
これら2つのテストです。このほかに留学生が受ける英語テストとして
- TOEFL®テスト (Test of English as a Foreign Language)
- IELTS
- Duolingo
があります。
アメリカの大学の多くが、SAT®かACT®いずれかのスコアの提出を求めています。また英語を母語としない留学生には上記のいずれかの英語テストのスコアが求められます。
これらのテストは合否に少なからず影響するとはいうものの、このスコアのみで自動的に合格になったり不合格になったりということはありません(コミュニティ・カレッジは例外的に英語スコアのみで合否を決めます)。少なくとも高校の成績よりもテストスコアが重視されることはありません。アメリカの高校生は、高校の勉強やクラブ活動を犠牲にしてまで、これらのテスト勉強に時間を費やすことはしません。
「テスト=入試」ではないと心得ておきましょう。
SAT®:全米共通の国語と数学のテスト
SAT®は 1926年につくられた、アメリカで最も古く、また最もポピュラーな Standardized Testです。
高校までが義務教育のアメリカでは、地域や学区によって高校のレベルがさまざまで、高校の成績だけでは個人の学力を正確に比較することができません。そこで、大学での勉強にどれだけ準備できているかを全米で統一的に判定するものとして、SAT®がその役割を担っています。
年に7回(日本では6回)行われるうち何度受けてもかまいませんが、1, 2回受けるのが一般的です。大学では、そのうち最も高いスコアが評価されます。
SAT®は、
- 読解を中心とした「クリティカルリーディング」
- 文章表現を中心とした「ライティング」
これら2つのセクションで英語(アメリカの国語)能力を測定し、
- 「数学」
のセクションで数学力を測定します。
SAT® は、セクションごとに200~800点の間で採点されます。問題の種類と出題数は以下の通りです。
クリティカルリーディング
- 空欄補充:19問
- 読解:48問
数学
- 選択式の問題:44問
- 受験者自らが解答を導き出す問題:10問
ライティング
- 受験者本人が書くエッセイ:1題
- 効果的な文章を見きわめる問題:25問
- 文法の誤りを見つける問題:18問
- パッセージ(文章の節)の文脈において文章を改善する問題:6問
テストを主催するカレッジボードによると、2022年に高校を卒業したSAT®の受験者の各セクションの平均スコアは以下のとおりです。
- リーディング&ライティング:529
- 数学:521
SAT®の数学は、およそ日本の中3から高1のはじめくらいのレベルです。日本人でもわりによい点数がとれます。英語力がそんなに高くなくても数学は理解しやすいので、ちょっとやりかたを学べば、満点近くとれてもおかしくないと思います。
問題は、国語力です。TOEFL®テストというのは英語の理解力を測るテストですが、SAT®のクリティカルリーディングとライティングはこれとはまったく異なります。アメリカ人と同じように英語で考え、理解し、表現しなければなりません。多くの大学では、日本人留学生に対しては、英語はTOEFL®テストやIELTS等のほうで評価されますので、数学のセクションでよいスコアをとるようにしましょう。
SAT®の受験申込などの詳細については、SAT®のオフィシャルサイトを参照してください。
- ※ より詳しく:「留学に必要なSAT®とはどんなテストなのか?」(姉妹サイト:アメリカ大学ランキング)
ACT®:学力の達成度を測るテスト
ACT®は American College Testの略で、SAT®同様に、アメリカの高校生が受ける Standardized Testです。アメリカの大学の多くは、SAT®か ACT®のいずれかのテストのスコアの提出を求められますが、SAT®が「大学での学業をやっていけるかどうか」を測るのに対して、ACT®は「学力の達成度」を測るテストだと一般的には捉えられています。
英語、数学、読解、自然科学の4つのセクションから成り、全部で215の選択肢問題が問われます。アメリカでは年に6回、その他の国では年に5回受けられます。
ACT®の受験申込などの詳細については、ACT®のオフィシャルサイトを参照してください。
SAT®スコアとACT®の相関(ACTに拠る)
SAT®スコア(クリティカルリーディング+数学) | ACT®スコア |
---|---|
1600 | 36 |
1490-1530 | 34 |
1400-1430 | 32 |
1330-1350 | 30 |
1290-1320 | 29 |
1250-1280 | 28 |
1170-1200 | 26 |
TOEFL®テスト:外国語としての英語能力を測るテスト
TOEFL(トーフル)®テストは、英語を母語としない人を対象とした、外国語としての英語能力を測るテストです。Test of English as a Foreign Language の略です。日本でもとてもポピュラーなテストで、英語圏の大学や機関のほか、最近は日本の大学・大学院でもTOEFL®テストのスコアを入学審査対象の1つとするところが増えています。
SAT®やACT®などと同じく、何度でも受けることができますが、次回の受験まで12日間を空ける必要があります。日本では主要都市で受けられます。大学は一番高いスコアを評価してくれるので、まずは力試しに一度受けてみるとよいでしょう。
テストは以下の4つのセクションから成ります。
1. リスニング
講義についての設問と、会話についての設問があります。講義は、3~5分のものが4~6種類あり、講義ごとに6つの設問に答えます。会話についてはそれぞれ3分ほどのものが2~3種類あり、それぞれについて5つの設問に答えます。
2. スピーキング
約20分で、6つの設問から成ります。受験者本人の考え、意見、体験について話すものと、リスニングとスピーキング、あるいはリスニングとリーディングとスピーキングなど、複数のスキルの組み合わせが問われるものがあります。
3. リーディング
3つから 4つの節の文章を読みます。文章ごとに 12~14 の設問があります。文章は、大学レベルの教科書からの抜粋です。
4. ライティング
文章を読み、講義を聴いたうえで、その内容に関する質問の解答を記述するものと、あるトピックについてのエッセーを記述するものとがあります。
これらの4つのセクションともコンピュータで受験します。テスト時間は休憩を含めて200分~250分です。結果は受験日の約10日後に、オンラインで確認できます。
アメリカの大学の多くは、英語が母語でない出願者には、TOEFL®テスト(もしくはIELTS等)のスコアの提出を求めています。しかし、そのスコアだけで合格になったり不合格になったりすることはありません。大学は語学学校とは異なりますので、英語力よりも「学力」を評価します。
スコアは、4つのセクションがそれぞれ 0~30で評価され、合計スコアとしては 0~120になります。大学によっては 61を入学基準としていますので、これを目安と考えておけばよいでしょう。ごく普通の日本の高校生であれば、61あれば上出来です。
- ※ TOEFL®テストを乗り切った留学生の体験談 → 「アメリカ留学の準備とTOEFL®テストのこと」(留学体験記 2018年04月01日)
- ※ TOEFL®テストの受験方法などの詳細 → ETSオフィシャルサイト
- ※ 留学に必要な英語力については → 留学に必要な英語力について
面接
自分をアピールするチャンス
面接(Interview)を必須とする大学はさほど多くありませんが、「面接を受けることが望ましい」としている大学はけっこうあります。私立大学や名門大学ほど面接を重視します。
面接は、基本的には大学のキャンパスに赴いて行いますが、留学生の場合はなかなか渡米するのもむずかしいので、その場合は、全米・全世界に住んでいるその大学の卒業生と面接したり、Zoomなどのによる面接が行われます。
アメリカの大学が面接を行う一番の理由は「お互いのことをよく知ろう」ということです。堅苦しい雰囲気ではありませんので、けっこう世間話のようなことにもなります。大学としては、大学のことをよく知ってもらいたいという思いがあるので、出願者を落としてやろうという態度で面接にあたることはありません。また出願者にとっては、自分を大学に印象づけ、熱意をアピールするチャンスになります。
面接で聞かれること
アメリカの大学の面接は、面接官が一方的に質問をして、出願者がそれに答える、というものではありません。30分~1時間くらいかけて、お互いについてよく知りましょう、という意図のもとで、気軽におしゃべりをするような雰囲気です。一問一答式ではありませんので、話の流れによって話題も変わりますが、一般的には以下のようなことが聞かれます。
- 自己紹介
- 長所と短所について
- 家族・住まいについて
- 高校について
- 高校生活で最も重大な出来事について
- 好きな科目・嫌いな科目
- その大学を志望する理由
- 専攻について
- 将来について
- 好きな本・作家について
- 課外活動、趣味について
- 尊敬する人について
面接を成功させるポイント
英語が苦手な人は、面接はデメリットになるのではないかと思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。身振り手振りを交えたり、写真や絵、書画などの小道具を使ったりできますから、英語のハンデはかえってカバーできます。
面接のコツは、きちんと練習とリハーサルをすることです。そして最も重要なことは、その大学についてよくリサーチしておくこと。Webサイトをしっかりチェックして、その大学のよいところ・気に入ったところを言えるようにしておきましょう。
面接の最後には “Do you have any questions?” と必ず聞かれます。そこで、事前にできるだけ質問を考えておくことも大切です。アメリカの大学の面接官は話すのが大好きなので、こちらから質問を投げかけて面接官にできるだけたくさん、気持ちよく話してもらう、というのも有効な方法です。