アメリカ大学受験のカギを握る「推薦状」と「大学個別のエッセー課題」について
2021年、あけましておめでとうございます! 2021年が皆様にとって健康で、幸せあふれる年になることを祈っています!
さていまごろは、アメリカの大学の出願期限が迫る時期でもあります。後輩たちのエッセー執筆を手伝っていると、どうしても去年を思い出します。1年経つのは早いですね。今年度、アメリカの大学を受験する人たちは、最後のもうひと踏んばり、がんばってください!
さて前回は、パーソナルステートメント(エッセー)について書きました。今回は、「出願書類のアドバイス」シリーズ最後となる、先生の推薦状と大学別のサプリメント・エッセーを書く際のコツをお伝えしたいと思います。2021年以降の受験のかた向けです。
たくさんの大学に出願するのでエッセーの整理も大変でした
先生の推薦状
アメリカの大学は推薦状を通して、出願者の新たな一面をみます。高校の先生があなたの性格、興味、学習意欲などをどう評価するかを見るわけです。
大学にもよりますが、だいたい2通から3通の推薦状の提出を求められます。名門大学はだいたい3通です。
1通は必ずカウンセラーの先生のもの、2通はそれ以外です。とくにカウンセラー(担任の先生と考えればいいと思いますが、ネイティブの先生でもOK)の推薦状がカギを握ります。
僕はネイティブの先生に書いてもらいました。その先生は推薦状の書きかたを熟知していたので大丈夫でしたが、詳しくない先生に頼んだ僕の友だちは書きかたを先生に説明していました。
僕は最終的には何を書いてもらったかはわかりませんが、きっといいことを書いてもらったと思います(笑)。
カウンセラー以外の推薦状については、主要教科の先生、スポーツのコーチ、課外活動関係のかたなど広義に捉えることができます。
だれに推薦状を書いていただくか
ここでポイントになってくるのは、もちろん「だれに頼むか」です。僕はランニングと核軍縮の2つを基盤に出願書類を作成しました。
そこで、2つの興味を裏づけるために、僕は社会科の先生と、留学中のランニングコーチに推薦状をお願いしました。
どのようなことを推薦状に書いていただくか
だれに頼むかを決めた後は、大雑把に何を書いてもらうかの提案書みたいなものをつくります。たとえば社会科の先生に頼むときはこのような提案書を提出しました。
- 授業中に核兵器のトピックを扱ったときのエピソード
- 僕がやっていた核軍縮に関係する課外活動
- 僕の授業中の態度(好奇心、意欲、オープンマインドであるかなど)
このように、社会科の中でも僕の強みをアピールできるような内容をお願いしました。受験後、読む機会があったのですが、とてもよく書いてもらいました。少し抜粋してみましょう。
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Sometimes during my class, I would ask him to share what he was doing, as I found it unique and potentially inspiring for his peers. When given a chance to speak of his activity, he would become engrossed in making a speech on his mission. This would no doubt have a definite positive effect on his peers, and a negative effect on our progress in class, as he would end up using all the time left.
私は授業中に、Kentaが行っている活動(ユニークで、他の生徒にインスピレーションを与えるだろうもの)を、クラスの前で紹介する機会を彼にときどき与えます。その機会が来ると、彼は自分の行っている活動とゴールについて熱心に語ります。これはもちろん、彼のクラスメイトにとってはプラスですが、授業時間を使い切ってしまうので、私の授業進行の観点でいえばマイナスです。
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推薦状には、ある特定のエピソードを用いる場合もあります。英語の先生に書いていただいた推薦状を紹介しましょう。
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I recently found myself a moment to observe the students during their private study time, while other students were working through assigned homework, Kenta was reading ‘Pride and Prejudice’. ‘Pride and Prejudice’ is not on any syllabus at our school, yet Kenta is determined to build a strong knowledge of English literature of his own volition. It is moments like this that truly illustrate to you what kind of student Kenta is: he completes everything you assign him and more, he thinks freely and independently and asks questions when he needs clarification.
私はつい最近、生徒の自習時間を見る機会があり、他のクラスメイトは宿題をやっていたのに対し、Kentaは「独断と偏見」を読んでいました。この本は、課題図書ではありません。しかしKentaは自分で英語文学の知識をつけようという強い意志があります。このような瞬間が、Kentaがどのような生徒なのかを一番よく説明しているかもしれません。彼は宿題以上のものをやり、自由に偏りなく考え、わからないことがある場合は質問をする生徒です。
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社会科の先生とランニングのコーチ以外には、僕は英語の先生、インターン先のかた、留学中のホストマザー、ライバルであったクラスメイト(ダートマス大学などは「友人推薦」があります)などに頼みました。
推薦状を2通以上用意する利点は、自分の新たな一面を見せられるという点が挙げられます。
さらに、各大学が出すお題に答える「サプリメント・エッセー」に合わせて、どの推薦状を提出するかを決められるというメリットもあります。どういうことなのか、説明しましょう。
大学特有のエッセー課題
アメリカの大学に出願するときには、コモン・アプリケーション(アメリカの大学の共通願書)に載っているお題の作文(エッセー)を提出することになりますが、これに加えて、個々の大学が独自の作文課題を出すこともあります。
これは「サプリメント・エッセー」と呼ばれます。名門大学ほど受験者の差別化のため、このサプリメント・エッセーが必須となります。
大学キャンパス・コミュニティに貢献できるか
僕が入学するブラウン大学のサプリメント・エッセーのお題を紹介します。
- Brown’s Open Curriculum allows students to explore broadly while also diving deeply into their academic pursuits. Tell us about an academic interest (or interests) that excites you, and how you might use the Open Curriculum to pursue it(あなたの学術的興味、そしてブラウン特有の「オープンカリキュラム」をどのように活かしてその興味を追求したいかを示してください)
- At Brown, you will learn as much from your peers outside the classroom as in academic spaces. How will you contribute to the Brown community? (ブラウンでは、教室以外にもあなたの同級生からも学ぶ機会があります。あなたはいかにしてブラウンのコミュニティに貢献するつもりですか?)
- Tell us about a place or community you call home. How has it shaped your perspective? (あなたが「家」と呼べる場所について教えてください。それは、あなたの物事を見る観点をどのように形成しましたか?)
- Please briefly elaborate on one of your extracurricular activities or work experiences. (あなたが行ってきた課外活動もしくは職業体験を1つ挙げて、簡潔に書いてください)
以上の4つが2021年度のサプリメント・エッセーのお題です。各題およそ250ワードの英語で書きます。
エッセー攻略法
いずれも、なかなか想像力が問われるお題となっています。
深く考えずに書くことは可能です。たとえば3つ目の「家」は、そのままの意味で捉えてもかまいません。でも、そうすると少し薄味になってしまい、3万人の受験者の中で目立つことはできません。そこで僕はこの「家」を、ランニングでよく利用する河川敷にして考えました。
「貢献できること」に関しては、ストレス解消ランニングを高校時代に友だちとやっていた経験を踏まえて、ブラウンでも導入したいという意思表示をしたりと、僕の力を入れていたランニングに合わせました。
このように差別化をすることで、アメリカの大学に強い印象を与えるだけではなく、さまざまに異なる出願書類に一貫性を与えることができます。
一方で、1つ目のお題のように、多少はオーソドックスに書くほうがいいものもあります。こういうお題では「この出願者はきちんと私たちの大学についてリサーチしているかどうか」を大学は見ているわけです。
こういったお題は、多少の想像力+学校のウェブリサーチで見つけた情報+通いたいという意思表示、で攻略しましょう。
エッセーと推薦状の関係
皆さんは思うかもしれません。サプリメント・エッセーと推薦書がどう関係するのかと。
たとえば学術的興味がサプリメント・エッセーで問われたとすると、推薦状でその興味を裏づけることが可能ですし、また学術的興味以外の新たな一面を引き出すこともできます。
したがって、推薦状が多いほど、より効果的・戦略的に自分をアピールすることができるわけです。
僕はブラウンにはカウンセラーのほかに社会科の先生、英語の先生、クロスカントリーのコーチの推薦状を提出しました。コーネル大学に関しては、インターン先のかた、社会科の先生、数学科の先生の推薦書を提出しました。
このように、出願する大学によって柔軟に推薦状を提出するためには、早め早めに先生にお願いすることが大切です。日本の大学受験シーズンが始まる前にはお願いすることを強くお勧めします。
今回の記事で、ひとまず「出願書類のアドバイス」シリーズを終わります。この記事が皆様の役に立つことを祈っています。では2021年も気を引き締めて、がんばっていきましょう。
Kentaくんの記事一覧
- 第1回 どうしていま、アメリカの大学に留学するのか?
- 第2回 留学先としてリベラルアーツ・カレッジを選んだ理由
- 第3回 まさか!? ブラウン大学から合格通知が!
- 第4回 アメリカの大学受験。「僕はこういう人間」と伝えるために
- 第5回 100%の自分自身を表現。アメリカの大学への出願エッセーの書きかた
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