アメリカの大学は、日本の大学といろいろな面で異なります。アメリカの大学への留学を考える際に、日本の大学との違いを知っておくと、留学の心がまえもよりしっかりしたものになります。このページでは、日本の大学とは異なるアメリカの大学の特徴をお話ししたいと思います。
アメリカの大学は日本とここが違う
独り立ちの準備をする
アメリカでは、大学は「18歳になったら家を出て、寮生活をして親ばなれをするところ」だといわれています。
アメリカは高校までが義務教育です。高校を卒業して初めて、将来のことを考えたり、自分の意思で勉強に取り組んだりするのがごく普通で、そのために親元を離れて独り立ちの準備をするところとして、大学が位置づけられているのです。
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「アメリカ大学ランキング」
アメリカの大学は、自然豊かな広大なキャンパスに、教室や図書館、生活に必要な寮や食堂、保健施設やスポーツ施設、コンピュータ Lab などあらゆる設備を整えています。都会的刺激に気を散らされることもなく1日 24 時間を「学生として」生活する、つまり勉学を中心に生活することになります。
1つの部屋をルームメイトとシェアする寮生活を通じて、協調性やフェアの精神を学び、実社会での複雑な人間関係に対処する基礎を身につけるのです。
「あなたならどうするか」を問う
アメリカでは「大学で学ぶのは分析力と判断力と決断力」といわれます。たとえば「リンカーン大統領が奴隷解放をしたのは何年か」を問うのではなく、「あなたがリンカーン大統領なら奴隷解放をしたか」を問うのです。自分で考えて判断し、決断する力を養うのが大きな特徴です。
また専攻についても、アメリカの大学では、文系・理系・芸術系という分けかたをしません。専攻は入学時に決めなくてもよいし、在学中に変更することも、また異なる2つの分野を専攻することもできます。大事なことは、大学で何を専攻してもよいけれど、さまざまな分野を学びながら、それらを通して〈分析力・判断力・決断力〉を培い、1人で生きていける力を身につけることだと考えられているのです。
授業の進行も教室で座ったまま教授の講義をじっと聞くというのではなく、1人ひとりの学生が自分の意見を述べ、教授や他の学生たちとディスカッションを重ねていくという形式が中心です。その準備として予習は必須で、宿題やレポートも大量に課されます。
リーダーを養成する
アメリカの大学が力を入れていることの1つが「リーダーの養成」です。それはアメリカという国が新しい国で、たえず移民がやって来る国であり、つねに変化し続ける国であるため、政治や経済、文化などあらゆる面で強いリーダーシップを発揮できる人を必要としてきたからでもあります。
先ほどの〈分析力・判断力・決断力〉もリーダーの素養として重要ですが、そのほかにも、他人を思う心、公平にものを見る力、謙虚さ、世界のために考えられる能力、そして人を惹きつける魅力といったものもリーダーには欠かせません。こうしたリーダーとしての素養をはぐくむことが、アメリカの大学では重要なこととして位置づけられています。
専門的なことは大学院で学ぶ
アメリカでは、「専門性の高い分野は大学院で学ぶ」と考えられています。医学、法学、公衆衛生学などは大学院でしか学べません。18歳で医者になることを決めるのは早すぎる、大学で人間形成をしてから決めるのが望ましい、と考えられています。
また「人生に迷ったら大学に戻れ」といわれていて、社会人になってからでも、自分のレベルアップのため、そして出世やキャリアチェンジのために大学院に戻って勉強しなおすことはめずらしくありません。そこで新しい知識や高い技術を得てから、また社会に出て活躍するのです。
大学4年間は幅広くさまざまな分野を勉強し、教養を身につけることが大切だと考えられています。急いで専門的あるいは職業的な勉強をするよりも、まずはじっくり時間をかけてさまざまな知識や視野を身につけ、自分の可能性や方向性を探り出し、自分を磨くことが求められているのです。