3. アメリカの大学が支給する奨学金
次に、アメリカの大学が留学生に支給する奨学金について解説しましょう。
留学生がアメリカの大学から得られるのは、将来に返済しなければならない「貸与型」ではなくて、返済の必要がない「給付型」の奨学金です。
以下に、留学生でも対象となる奨学金とはどういうものなのか、代表的なものを4つのタイプに分けて解説しながら、奨学金を獲得する方法もあわせて考えてみたいと思います。
3-1. メリット型奨学金
メリット型奨学金(Merit-based Scholarship)とは、
・成績が優秀
・スポーツで活躍している
・芸術表現の実績がある
・ボランティアに率先して参加している
こういった出願者に与えられる奨学金です。ひとことでいえば、その大学が考える「すぐれた出願者」が得られる奨学金です。
この奨学金は、合格通知とともに、大学から提示されます。「年に12,000ドル」とか「年に8,000ドル」とかです。まれに、「卒業まで全額免除」と提示されることすらあります。もらえる金額は、大学に提示されるまではわかりません。
メリット型奨学金は、とくに「申請する」必要はありません。家庭の財政状況(年収や所得など)が問われることもありません。したがって、とくに「募集要項」といった条項があるわけでもありません。
この奨学金を得るためのポイントは、その大学に「奨学金を出しても、この学生を迎え入れたい」と思ってもらうこと。そのために、さまざまな出願書類を通じて、いかに自分が魅力的な出願者であるかを大学に効果的にアピールすることが大切です。
3-2.ニード型奨学金
ニード型奨学金(Need-based Scholarship)とは、学費を全額支払うのがむずかしい場合、不足分をまかなってくれる奨学金です。やはり大学から与えられるもので、返済は不要です。
この奨学金を得るためには、出願の際に「申請」することが必要です。この申請プロセスはなかなか複雑で、申請書類には家計の情報をこと細かに記さなければなりません。
とくに名門大学に出願するときに、このニード型の奨学金を申請することがよくありますが、申請することが合否に影響する場合もあります。どれだけの額を自己負担し、どれだけの額を奨学金でまかなってもらうか、この辺りの見きわめはなかなかむずかしいところです。
また世界的に見ると、日本の家庭は収入・所得が少ないわけではありません。開発途上国からの留学生と比べると、奨学金獲得においてはかえって不利になる面もあります。
3-3.在学生に与えられる奨学金
在学中にすぐれた成績を修めることで与えられる奨学金もあります。このタイプの奨学金は、大学のWEBサイトに記載されていないこともあり、知らなければ応募するチャンスを逃してしまう、といったこともあります。
ポイントはほぼ1つ、「よい成績をとること」。大学としては、「このままよい成績を修めて我が大学を卒業してほしい」という応援の意味をこめての奨学金です。奨学金をもらえるかどうかにかかわらず、よい成績を修めれば、将来の選択肢も広がります。大学院進学や就職のときにも、アメリカでは必ず成績が重視されますので、ぜひよい成績をとるように努めてください。
3-4.留学生だけに与えられる奨学金
キャンパスの国際化のために、「留学生だから」という理由で奨学金を出してくれる大学もあります。もちろん日本人学生も対象になります。大学の国際化に、留学生も貢献しているということで支給されるものです。アメリカの大学は、海外からの留学生をとても歓迎します。このタイプの奨学金は、「在学中に国際交流イベントにボランティアとして参加する」といった条件が付くこともあります。
また、先に紹介したウェズリアン大学のフリーマン奨学金のように、国ごとに選抜して奨学金を与える制度を設けている大学もあります。
こうした奨学金は倍率が高かったり申請期限が早かったりすることもあるので、できるだけ早めのリサーチが欠かせません。