「海外で勉強したい」「外国で暮らしてみたい」という夢をもっている人はたくさんいます。
その夢をかなえる方法はさまざまですが、そのなかでもたとえば、語学習得を目的とする語学留学、働きながら現地で暮らしてみるワーキングホリデー、そして大学などに入学し、卒業する長期留学などが頭に浮かぶでしょう。
このページでは、「語学留学」「ワーキングホリデー」「卒業をめざした留学」それぞれの特徴と違いを解説します。海外で勉強してみたい、海外に暮らしてみたい、という人はぜひ参考にしてください。
目次
1. 語学留学とは
語学留学とは、なんらかの言語を学ぶ目的で留学することです。
習得したい言語が英語なら、英語圏の国に留学することになります。英語圏の国は、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポールなどです。
学ぶ場所は現地の語学学校です。語学学校はたいていは街のなかや、大学のキャンパスの一角に置かれています。たとえばブリティッシュ・カウンシル* によると、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドには、500 以上の認定英語教育機関があります。*
- * ブリティッシュ・カウンシル : 「文化交流と教育機会を促進する英国の公的な国際文化交流機関」(公式 Web サイトの説明文から)。
- * 英語が学べる学校(語学留学)から。
たとえばアメリカでは、語学留学の人気のエリアは、やはり都会で、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、ニューヨークなどです。留学期間は短いものだと 1 週間から、長期になると 1、2 年までとさまざまですが、1 〜 3 か月くらいが一般的です。
滞在先はホームステイが中心です。大学のキャンパスにある語学学校の場合は、寮に住めることもあります。
費用は3か月で50〜100 万円くらいが目安。フィリピンやマレーシア、マルタなどは費用が安くなり、ロサンゼルスやニューヨークなどの大都会はより高くなります。
参加する時点での英語力は問われません。授業はレベル別に行われます(ビジネスコースの場合など、例外もあります)。先生はその国の人(英語ネイティブ)ですが、クラスメイトはもちろんいろいろな国から来る人たちです。
参加したい場合は語学学校に直接連絡するか、代理店(旅行会社など)の窓口やWebサイトを通じて申し込みます。申込のプロセスもシンプルです。
語学留学のメリット
- 手続が簡単で、英語力も問われない。
- 好きなときに、好きな期間だけ行ける。学生なら、春休みや夏休みを利用して行ける。
- 基本的に「ラク」(いい成績をとらなければ退学になるなんてことはない。たっぷり遊んでも OK)。
語学留学のデメリット
- 英語が身につきにくい(周りは日本人を含めて外国人ばかり。つい遊んでしまう。大都市だと日本人ばかりで集まって「日本人村」が形成される)。
- ホームステイ先とトラブルになることも(お金のやりとり、外出時間の制限、食事の内容など)。
- 都市部ではお金を使いがちで費用がかかる。(世界の大都市は東京よりも物価が高い)。
語学留学の注意点
英語力アップに過度な期待をすると、結果がついてこなくて落胆することもあります。
また、3 か月くらいを留学先で過ごしていると、日常生活の英語には困らなくなります。日常に困らなくなると、それ以上の英語力をつけようというモティベーションもキープしづらくなります。
語学留学は、「海外生活を楽しもう!」くらいの気持ちで参加するといいかもしれません。
2. ワーキングホリデーとは
ワーキングホリデーとは、日本とワーキングホリデーの協定を結んでいる国に滞在して、アルバイトができる制度です。そのためのビザ(ワーキングホリデー・ビザ)が発給されます。「ワーキング」という名前ですが、必ずしも働く必要はありません。観光してもいいし、語学学校に行ってもOKです。実際には語学学校に行く人がたくさんいます。
就労させることが目的ではない制度ですので、正規に雇用されることはありません。働く場合はあくまでもアルバイトとしての雇用になります。
外務省によると、協定国は 26 か国、年間 15,000 人ほどにビザが出ています(「ワーキング・ホリデー制度」より)。人気が高い国はカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなどです。アメリカは協定国に入っていないので、アメリカへのワーキングホリデーは利用できません。
対象年齢が決まっています。18〜30 歳です。期間は国によって異なり、最大で1年から3年。ビザの取得はカナダなどでは抽選になります。
ワーキングホリデーの費用のうち、大きいのは渡航費と現地の滞在費です。語学学校に行くならその授業料も必要になります。申込は、駐日外国公館(大使館など)で行いますが、エージェント(代理店)を通じて申し込むこともできます。
ワーキングホリデーのメリット
- ビザなしの旅行よりも長期間滞在できる。じっくり腰を据えて語学学習や観光、アウトドアなどに浸ることができる。
- アルバイトをすれば費用負担を小さくできる。
ワーキングホリデーのデメリット
- 年齢に制限がある。
- 希望の仕事に就けるとは限らない(日本食レストランのアルバイトなどが多い)。仕事に就ける保証もない。3 か月ほど語学学校に通って英語力をつけてから仕事を探そうという人もいるが、3 か月で身につく程度の英語力では就ける仕事も限定的。
- 必ずしも英語力が上がるわけではない(現地の人とあまり接することのない生活になることも)。
ワーキングホリデーが向くのはこんな人
ワーキングホリデーは、自分でお金を稼ぎながらそれなりに長期間の海外生活をエンジョイしたい人に向いています。
3. 「卒業をめざした留学」とは
「卒業をめざした留学」とは、海外の大学に「正規の学生(Degree-seeking Student)」として入学・在学し、卒業する(学位を取得する)ことです。
日本の高校を卒業して(あるいは高卒認定を取得して)1年生として入学する場合と、日本の大学から編入する場合とがあります。
その国の大学生と机を並べて勉強することになるので、留学先の国の言語をそれなりに理解・発信できる必要があります。ただし英語の場合はすでに中高 6 年間で学んでいるので、じつは、よくいわれるほど問題にはなりません(不安な場合は「アメリカ留学に必要な英語力とは?」を参考にしてください)。
期間は 2〜4年間。学生ビザを取得して留学します。費用は留学先の大学の学費と生活費で、アメリカの場合、年に300〜800万円くらいになります。
留学期間が長期になるので、滞在先としてホームステイは適していません。アメリカの大学は基本的に「寮生活」です。寮に住むことで1日24時間、学生として過ごすことになります。アメリカの大学生活を「満喫」するには、寮生活が一番です。
出願はそれぞれの大学に対して行います。合否基準は高校(編入の場合はプラス大学)の成績、作文(エッセー)、推薦状、英語テスト(IELTS™ やTOEFL® テストなど)などです。
「卒業をめざした留学」のメリット
- 海外の学生生活を思う存分味わえる(勉強も、課外活動も)。
- 渡航先の国の言語がしっかり身につく。その国の学生や先生ともかなり親しくなる。
- 語学力に加えて、学力も身につく。
- 学位を取得するので、その後の進路の選択肢が増える(大学院進学など)。
- 心身ともにたくましくなる(海外での学生生活はそれなりにキツいので、それを乗り切ることで自信になる)。
- 将来までずっと続く友情をはぐくめる(4年間苦楽を共にした仲間たちとの絆はけっこう深い)。
- 大学の選択肢が多い(アメリカには4,000以上の大学がある)。
「卒業をめざした留学」のデメリット
- お金がかかる。
- 外国語での勉強と生活を長期間続けるのはけっこう大変。それなりの覚悟と実行力が必要。
「卒業をめざした留学」が向くのはこんな人
- 語学留学のようにその言語「を」学ぶ留学ではなく、その言語「で」何かを学びたい人。
- 日本の大学のありかたや受験システムに疑問をもっている人。
- 厳しい環境にあえて飛び込みたい人。チャレンジ精神が旺盛な人。
- まだ学部や専攻を決められない人(アメリカの大学では、2年生の終わりまでに専攻を決めれば OK )。
- しっかりと勉強して、自分の将来や社会についてじっくり考えたい人。
- 激動の世界を肌で感じたい人(国内では感じられないダイナミズムが海外にはある)。
4. 自分に合った留学を選ぼう
「留学」といってもいろいろです。たとえば語学留学と「卒業をめざした留学」はまったく違います。
ワーキングホリデーは語学学校に行かなくてもいいので「留学」とイコールではありませんが、ワーキングホリデーのビザが下りる国であれば、そのビザをとって、語学留学をすることができます。
また、半年か1年くらいであれば、日本の大学から学術交流協定校に留学(いわゆる交換留学)するという選択肢もあります。
そもそも語学力については、その言語そのものを学ぶよりも、その言語を使って何か(経営学でもアートでも情報科学でも)を学ぶほうがきちんと身につきます。
しっかり情報を収集して違いを見きわめ、自分の目的に合った留学の方法を見つけましょう。長期にわたって留学する場合は、とくにリサーチと準備に時間をかけることが大切です。
どんな留学をすればよいか迷ったら、ぜひ個別の「留学相談」にお越しください。経験豊富なカウンセラーがあなたにぴったりの留学方法を一緒に考えます。