アメリカの大学院に進学するためのStandardized Tests
アメリカの大学院には、一斉の入学試験がありません。大学の成績、エッセイ、推薦状などさまざまな要素を総合的に判断して合否を決めます。ここに紹介するテストスコアも、合否にかかわるさまざまな要素の一つにすぎません。
一斉の入試というものはありませんが、アメリカには、大学院進学をめざす人が受ける全国共通のテストがあります。これをStandardized Testといって、全国共通ではあるものの、民間企業・団体によって運営されています。
その代表的なものがGRE®です。これは、ビジネススクール、メディカルスクール、ロースクール以外の分野で大学院をめざす人が受けるテストです。
ほかに、ビジネススクールをめざすのであればGMAT®、メディカルスクールをめざすのであればMCAT®、ロースクールをめざす人はLSAT®というStandardized Testを受験します。英語を母国語としない留学生に対しては、TOEFL®テストも課されます。
GRE®
GRE®はThe Graduate Record Examinationの略で、ビジネススクール、メディカルスクール、ロースクール以外の分野で、アメリカの大学院へ進学する人が受けるテストです。すべての大学院がGRE®のスコアを求めているわけではありませんし、大学の成績以上にGRE®のスコアが重視されるわけではありませんが、多くの大学院が合否判定の一つの基準として、GRE®のスコアを用いています。
GRE®には、General TestとSubject Testの2種類があって、General Testのみ受ければよいとする大学院がほとんどです。
General Testは、
- Analytical Writing(作文)
- Verbal Reasoning(英語)
- Quantitative Reasoning(数学)
これら三つのセクションから成ります。VerbalとQuantitativeのセクションはそれぞれ130~170点の間でスコアが出ます。Writingは0~6点の間で、0.5ポイント刻みで採点されます。
Subject Testは、特定の分野別のテストで、
- バイオケミストリー、細胞・分子生物学
- 生物学
- 化学
- 文学
- 数学
- 物理学
- 心理学
これらの分野ごとに受けるものです。
GRE®の申込みは、プロメトリックのGRE®のサイトでできます。
GMAT®
GMAT®はThe Graduate Management Admission Testの略で、MBAなどビジネススクールへの入学をめざす人が受けるテストです。「ジーマット」といいます。
GMAT®のスコアは、MBAの合否にはかなり大きくかかわります。とくに人気の高いビジネススクールでは、GMAT®のスコアでまずふるいにかけるようなところもあるようです。
Accounting(会計学)を専攻する場合、GMAT®を要求しないとする大学院もあります。またスポーツマネジメントを学ぶ場合、その学科がビジネススクールに設けられているのであればGMAT®を受けなければなりませんが、教育学部とか健康科学学部とかにある場合はGRE®のほうを受けるように求められることもあります。
GMAT®は、
- Analytical Writing Assessment(作文)
- Integrated Reasoning(数学と英語を統合・組み合わせて出題される問題)
- Quantitative(数学)
- Verbal(英語)
これら四つのセクションから構成されます。全部で3時間30分の長いテストです。
スコアは全体で200~800点の間で採点されます。数学と英語はそれぞれ0~60点、作文は0.5点刻みで0~6点、統合問題は1~8点で採点されます。
テストの申込みなどは、GMAT®のオフィシャルサイト)で行います。日本では東京、名古屋、大阪、福岡、那覇で受けられます。
MCAT®とLSAT®
MCAT®は、The Medical College Admission Testの略で、メディカルスクールへの進学をめざす人が受ける適性テストです。「エムキャット」といいます。文章力、論法、生物学や自然科学の知識などが問われます。休憩時間を含めて5時間を超す大きなテストです。日本では東京と大阪で受けられます。
LSAT®はThe Law School Admission Testの略で、ロースクールをめざす人が受ける適性テストです。読解力、分析力、論理的思考力などが問われます。また作文のセクションもありますが、これは採点対象にはなりません。日本では東京のテンプル大学ジャパンで受けられます。
TOEFL®テスト
TOEFL(トーフル)®テストは、英語を母国語としない人を対象とした、外国語としての英語能力を測るテストです。Test of English as a Foreign Languageの略です。日本でもとてもポピュラーなテストで、英語圏の大学・大学院や機関のほか、最近は日本の大学・大学院でもTOEFL®テストのスコアを入学審査対象の一つとしています。
何度でも受けることができますが、次回の受験まで12日間を空ける必要があります。日本では主要都市で受けられます。大学院は一番高いスコアを評価してくれるので、まずは力試しに一度、受けてみるとよいでしょう。
テストの構成は、
リスニング
講義についての設問と、会話についての設問があります。講義は、3~5分のものが4~6種類あり、講義ごとに六つの設問に答えます。会話についてはそれぞれ3分ほどのものが2~3種類あり、それぞれについて五つの設問に答えます。スピーキング
約20分で、六つの設問から成ります。受験者本人の考え、意見、体験について話すものと、リスニングとスピーキング、あるいはリスニングとリーディングとスピーキングなど、複数のスキルの組み合わせが問われるものがあります。リーディング
三つから四つの節の文章を読みます。文章ごとに 12~14 の設問があります。文章は、大学レベルの教科書からの抜粋です。ライティング
文章を読み、講義を聴いたうえで、その内容に関する質問の解答を記述するものと、あるトピックについてのエッセイを記述するものとがあります。これらの四つのセクションから成り、コンピュータで受験します。テスト時間は休憩を含めて200分~250分です。結果は受験日の約10日後に、オンラインで確認できます。
アメリカの大学院の多くは、英語が母国語でない出願者には、TOEFL®テストのスコアの提出を求めています。しかし、そのスコアだけで合格になったり不合格になったりすることはありません。大学院は語学学校とは異なりますので、英語力よりも「学力」を評価します。
スコアは、四つのセクションがそれぞれ0~30で評価され、合計スコアとしては0~120になります。
TOEFL®テストの受験方法などの詳細については、日本語のオフィシャルサイトを参照してください。