1. キャリアゴールがはっきりしている人
アメリカでは、医学部などは大学院レベルでしか教えられませんので、医師になるためには大学院に行かなければなりません。また、大学・大学院の両方で学ばなければならない分野もあります。フィジカルセラピーなどは、大学と大学院あわせて5~6年在籍して、座学と実習を経て、修士号を得る必要があります。ソーシャルワークや国際関係なども、大学院で学んだうえでプロになる人が多い分野です。またMBAなどはキャリアゴールが明確な人たちが学んでいます。
大学で専攻した分野と関連する職に就いたけれど、それとは異なる仕事にチャレンジしたくなったという理由で大学院に行く人もめずらしくありません。たとえば大学でエンジニアリングを専攻してエンジニアとして仕事を経てから、ホスピタリティ・アドミニストレーションの分野で大学院に入り、実習を終えて、ホテルにマネジャーとして面接を受けるといったことはアメリカではよくあります。
「人生に迷ったり、自分をより高く売りたくなったら、大学や大学院に戻り、すきあらばベンチャーを狙う。最初に入る会社ではなく最後に入る会社に一番自分を高く売りこみたい」というのがアメリカ人の考えかたで、キャリアを積みより高い学位を得て、さらにキャリアアップするということが、人生の一つの選択肢として大きく位置づけられています。
2. 勉強が好きな人
もちろん「勉強が好きだから」という理由でアメリカの大学院に行く人もたくさんいます。必ずしもそれ以外に多くを求めることをせずに、勉強そのものに喜びと充実を見いだす人たちです。多くの人は博士課程まで進みます。実学的な分野よりも、人文科学の分野に多く、学者・研究者として「勉強を仕事」としています。
勉強は大好きだけれど、野心を抱いていたりビジネスに関心をもつ人もたくさんいます。そういった人たちにとって大学院とは、やはりある意味でキャリアゴールを達成するためのものです。
3.よくわからない人
明確なキャリアゴールをもっていない人、あるいは必ずしも勉強することを生涯続けようとは思っていない人も、たくさんアメリカの大学院で学んでいます。それが好ましくない、ということはありません。それほど目的がはっきりしていなくてはならないということもありません。人にはいろいろな生きかたがあり、燃える時期も人によってさまざまです。1、2年後に自分のやるべき分野を見つけて猛烈に勉強する人だっていますし、勉強が向いていないとわかれば、それはそれで大切なことです。