ペーパーとは
アメリカの大学院では、小論文のことを「ペーパー(Paper)」といいます。学生一人ひとりがそれぞれにテーマを掲げ、それについてリサーチした結果を記述するものです。教科書や授業で理解したことを書くのではなく、自主的なリサーチに基づいた内容を書かなければならないのがペーパーの特徴です。そのためしばしばResearch Paperともいわれます。
ペーパーの種類
アメリカの大学院のペーパーは、以下の3種類に大別されます。タームペーパー(Term Paper)
学期末に提出するペーパーのことです。学期のはじめあるいは半ばくらいに課題が出され、それから時間をかけてリサーチし、期末までに書き上げます。レターサイズ(A4に近いサイズ)で10~30枚くらいです。「ターム」とは「学期」のことで、2学期制における「セメスター」と同義です。
ショートペーパー
2、3枚から多くて5枚くらい、単語数でいえば1000~1500語くらいの短いペーパーです。学期の途中で数回書かされることもあります。
実験レポート(Lab Report)
サイエンス系の科目でよく見られるペーパーです。実験の目的・プロセス・結果・分析を記します。グラフや表を多用します。
修士論文
修士論文のことをMaster’s Thesisといいます。すべての課程で修士論文を書かなければならないわけではなく、とくにプロフェッショナルスクールでは修士論文が課されないのが一般的です。
修士論文がとくに重要になるのは、アーツ&サイエンス系で、博士課程に進みたいという場合です。というのも、修士論文の出来と、論文についての口頭試問の成果によって、博士課程に進んで博士論文に取り組んでよいかどうかが評価されるからです。
意欲のある学生は、公に発表するつもりで修士論文に取り組みます。また、課程によってはThesis Option(論文を書くオプション)か、Non-Thesis Option(論文を書かないオプション)のいずれかを選べるようになっています。論文を書かないオプションを選んだ場合は、その代わりに課程を総括する試験(Comprehensive Examination)を受けたり、いくつか多めの科目をとったりします。
博士論文
博士論文のことをDissertationといいます。博士課程を修了するまでにこの論文を書き、それについての口頭の試験を受けます。この試験のことをDefenseといい、複数の教員からなる諮問委員会に対して口頭で論文の趣旨を述べ、委員会からの質問に答えます。Defenseをクリアすると、委員から「おめでとう、Doctor(名前)」と呼ばれ、晴れて博士になれます。委員会で認められた論文は国内外の学会やシンポジウム、雑誌などで発表されます。
出典を明記することを忘れずに
ペーパーや論文を書く際には、たくさんの資料や文献を、参考にしたり引用したりします。その際に忘れてはならないのが、出典を明記することです。アメリカは知的所有権をとても重視していますので、学生といえども、他人の文章や語句を、出典を記さないで自分のペーパーに引用すること(Plagiarism)は、違法です。
Plagiarismが発覚すれば、それだけでそのペーパーは0点です。ペーパーだけでなくその科目の成績がF(不可)になることも覚悟しなければなりません。
最近ではWEBサイトからの無断引用(コピー&ペースト)が大きな問題になっています。ペーパーや論文執筆にあたっての倫理規定は年ごとに厳しくなっています。きちんと出典を明記すれば何の問題もありませんし、引用した文献(ネット文献であっても)が多いほど、それだけしっかりしたリサーチをした証にもなりますから、出典の記載を怠らないようにしましょう。