激動の世界に飛び出そう! 「飛び級留学」のススメ
「高校1年生のうちに高3までの勉強を片づけて、2年生以降は受験の準備に集中する」なんていう話をよく聞きますが、一体高校は何のためにあるのかしらと思ってしまいます。
高校が「予備校化」している日本
高校1年生のうちに文系か理系かを選ばなければならないそうですが、本人は実際のところよくわからないというのが本音だと思います。
数学がちょっとできるから理系という感じでしょうか。
高校2年生になると、受験目標を国立にするか私立にするかを決めなければなりません。高3になると志望大学を決め、推薦かAOかセンターのいずれかを選ばなければならず、試合が残っている運動部以外は活動をやめて、受験一色になります。
推薦入学する高校生は秋には入学が決まるので、あとは卒業までブラブラしているらしいですよ。
最近は推薦やAOで入学する人が半分くらいいるそうです。
日本では中3で義務教育を終え、一応、新聞を読んで理解する能力は身につけていることになっていますから、高校は、農業高校や工業高校以外は、あってもなくてもいいようなものですよね。
ほとんど大学受験の予備校になっています。
こういう高校生活に疑問を抱いてしまった若い人はつらいでしょう。
ニュースでは毎日、「知識を得るとか暗記するとかいったことはAIにとって代わられるので、<自分で考える人間>を育てなければダメだ」と言っているのに、日本の高校ではおよそ見当違いのことをしているのです。
「飛び級」が当たり前のアメリカ
アメリカでは、もし高1で高3レベルの学習を終えていたら、当然、飛び級して大学に入学するでしょう。
数学が飛び抜けてよくできる子は、近くの大学で数学のクラスを受けられたりもします。
またアメリカの高校では、普通のクラスと上級(AP)クラスがあって、上級クラスをよい成績で修めれば、大学進学の際に、そのクラスを大学の単位として認めてもらえたり、奨学金をたくさん得ることができたりします。
上級クラスを高校でたくさん修めていれば、大学を3年で卒業することもできます。
日本では千葉大学が飛び級を始めて話題になりましたが、それ以外にはいまひとつパッとせず、最近はまったく噂を聞きません。
当研究所から飛び級でアメリカの大学に留学した人が昨年の5月に卒業しました。
20歳です。毎年、2人くらい飛び級で留学していますが、何の問題もありません。
アメリカ人は、16、17歳で大学生になることに対してそんなに違和感を抱きません(もともと日本人は幼く見られるので飛び級でなくても飛び級かと思われます)。
飛び級だからといって特別扱いされたり、みんなから羨望のまなざしを浴びるといったこともありません。
日本人もアメリカの大学に飛び級で入学できる
日本から飛び級でアメリカの大学に行きたいと思ったら、高認(高等学校卒業程度認定試験)を受けることです。
日本の中学校を終えたくらいの学力でパスできるテストで、中学校の復習をちゃんとすれば受かります(あらためて、日本の高校で習うことは何なのかと考えてしまいますねぇ)。
私がいくら「アメリカの大学には簡単に飛び級で入学できるよ」と言っても、それは怖いと尻込みする人がほとんどです。
英語が怖いとか大学が怖いというより、あまりに人と違う(といってもたいしたことはないと思いますが・・・)選択をすることが怖いようです。
いま世界中でベストセラーになっている『ホモ・デウス』(ユヴァル・ノア・ハラリ著)という本があります。
それによると、AIが進化すると、人間は、AIを使い命令を出すほんの一握りの人と、あとは「無用者階級」の2つに分かれるそうです。
この話がまったく奇想天外だとは言い切れません。
日本人は、日本の中でエリートと無用者階級に分かれるのではなく、日本人全員が、世界の中で無用者階級になりかねません。日本の未来がそうなりませんように。
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著者情報:栄 陽子プロフィール
栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。