日本人留学生だけが知らない?!アートを学んで得られる本当のメリット

アメリカでアートが学びやすい本当の理由

演劇・音楽・美術・ダンスなどのアート系の分野をアメリカ留学で学びたい人は少なくありません。でも、将来の就職や進路を考えたときに、諦めてしまう人も多いのが現実。しかし、これらの分野はアメリカではごく普通の大学で気軽に学ぶことが出来ます。

芸術専門の大学でなく、普通の4年制で演劇(パフォーミングアート)を専攻できる大学が800以上、ダンスを専攻できる大学は200以上もあるのです。美術や音楽ともなれば、さらに沢山の選択肢があります。

そしてアメリカには、演劇を主専攻(major)あるいは副専攻(minor)とする大学生がたくさんいます。それはアメリカ人にとってパフォーマンスは大切な技術だと考えられているからです。

セリフを憶えたり、様々な役柄を演じることは、他の人生を体験することにもなりますので、想像力やコミュニケーション能力の向上に繋がります。営業マンとしてのセールストークに活かされたり、アメリカ人お得意のプレゼンテーションに活きると考えられています。

また、演劇を専攻したからといって役者になるとは限りません。アメリカの大学では、ダブルメジャーといって専攻を二つとることが出来ますので、たとえば演劇と経済学というように同時に2つの分野を勉強する学生が多くいます。

演劇を学ぶことが社会性に通じる

演劇はみんなで力を合わせてつくる総合芸術ですので、演劇を専攻すると、役者だけでなく様々なパートの授業をとることになります。メイクや衣装、照明、大道具・小道具、もちろん演技や演出も、すべてを一通り勉強するのです。

小道具係が釘の頭を1ミリでも出していたら、ドレスを着た役者は引っかかって転んでしまいます。スポットライトが演者の顔からそれたら、キレイなメイクをしてても暗がりで映えません。

そういった様々な分野の細かいことを勉強することによって、全体がどのようにうまく動くかを理解できるようになります。将来、脚本家になるにしても、映画監督になるにしても、すべてのパートを勉強しておけば必ず役に立つという考え方です。

みんなで力を合わせて作り上げる、どのパートのことも理解する、ということも、社会で生きていくためには大切です。個人主義といわれがちなアメリカ人といえども会社の一員として働くからには、チームワークを重視しなければなりません。

したがってアメリカでは、演劇を学ぶということは、社会勉強としても位置づけられているのです。

演劇を専攻する≠舞台役者になる

さて日本はというと、演劇を専攻できる大学は本当に少なく、また演劇を勉強すると言っただけで親から反対されるというケースが多々あります。演劇といえば売れない役者、アルバイトで食いつなぐ日々といった悪いイメージが湧くんでしょうかね。。。

アメリカでは、私の経験上、演劇を学んで役者をめざす人はあまりいません。幼いころからミュージカルをやっていて、プロ志望というような人はほんの数人。

みんな気軽に演劇を学びます。その後、舞台美術の方向に行く人や、途中で気が変わって全く違う分野を専攻する人も。また演劇とコンピュータとか、演劇とビジネスといった二つの分野を専攻する人もいます。

ちなみに、そんな人たちが卒業後にどのような仕事に就くかというと、ショービジネス、テレビ局、製作会社、広告会社、エンターテインメント系などです。もちろんそれ以外の業界で営業をやる人もたくさんいます。

日本で法学部を出ていても実際に法律関係の業界に行く人は少ししかいないというのと同じことなのです。

エンターテインメント業界では英語が共通語の時代

実は、留学生がアメリカの大学で演劇を専攻することの大きなメリットがあります。それは英語力がしっかり身につくことです。

哲学や文学や経済学よりも、演劇のほうが、照明や衣装、メーキャップなど、コミュニケーションをとりながらの実技が多く、また何といってもセリフを覚えるくらい英語の上達が早いものはありません。

TOEFL®テストに出てくる英単語を覚えるより、よほど楽しく英語が身につきます。アメリカ人の仲間もたくさんできますので、楽しい青春を送れます。

それから、ショービジネスや広告、エンターテインメント系の会社(劇団四季やディズニーランド、電通などを含めて)では、英語力がけっこう必要なのです。

なにしろ、音楽はアメリカ人、演出はイギリス人、脚本は中国人なんてことは、いまやいくらでもアリの時代。国籍にかかわらずみんな英語でコミュニケーションをとっていますので、英語力があって、芸術センスにすぐれている人は売れるのです。

ですから、アートや音楽や、そしてダンスなどの分野は、アメリカで勉強したほうが、英語力が上がって、世界中に友達やコネクションができてお得なのです。

最初に国境を越えるもの、それがアート

芸術の世界こそ、いつも、どんな時代であっても、一番早くに国境を越えるものです。

ところでダンスで一番有名な大学って知っていますか? ニューヨーク大学(New York University)です。博士課程まであります。演劇はイェール大学(Yale University)が、大学・大学院課程ともに最もレベルが高く、有名です。進路、専攻の選択肢としてぜひ考えてみてください。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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