アメリカの有名大学に入るための至極まっとうな方法 入学基準と対策のはなし

(2021.2.1更新)

何点とればアメリカの有名大学に合格するのか

「○○大学に入学するにはどうすればいいですか」という質問や相談をよく受けます。そこで「高校の成績が一番大切なので、成績を少しでもよくすること」と返事をしても、日本の人はなかなか納得してくれません。「TOEFL®スコアが何点必要か」、「SAT®のために塾に行くべきか」といった、日本の受験勉強のような方法をみんな知りたがるのです(※)。

※TOEFL®テスト:英語を母語としない人を対象とした英語のテストで、0~120の間でスコアが出る。アメリカの多くの大学が留学生に対して79~81点以上のスコアをとることを入学条件としている。
※SAT®:アメリカの高校生を対象とした英語(※米国人にとっての国語)と数学のテスト。読解(クリティカルリーディング)と数学の二つのセクションから成り、それぞれ200~800点の間でスコアが出る。

そこで、今回はアメリカの有名大学に入るために何が必要かをまとめてみます。

まず理解していだたきたいのが、アメリカの大学では合否を決めるのに、高校の成績、本人のエッセー、推薦状、SAT®スコア、TOEFL®スコア(※留学生のみ)などの提出を求め、これらを総合的に見て判断するということです。

したがって、留学生だけが提出するTOEFL®スコアのみに焦点を当てることは、大きな間違いです。また、高校の成績も一朝一夕でどうにかなるものではありません。

高校の成績の重要性

では、どれくらい成績はよければよいのか。そこで、カレッジボードという進学情報機関が発行しているCollege Handbookという本を開いてみましょう。この本には、全米の大学のさまざまなデータが網羅されていて、各大学に入学した学生の、高校のときの成績の情報も載っています。

このCollege Handbookによると、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)の、2016・2017年度に入学した学生たちの高校の成績平均値(GPA)は、以下の通りです。

GPA割合
3.75~ 87%
3.5~3.74 10%
3.25~3.49 2%
3.00~3.24 1%
2.50~2.99 0%

アメリカの高校のGPAは4.0ポイントが満点ですから、UC Berkeleyの入学生の9割近くが、高校でほぼオールAという成績を修めたことになります。

また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の場合は以下の通りです。

GPA割合
3.75~ 89%
3.5~3.74 7%
3.25~3.49 3%
3.00~3.24 1%

これを見ると、いかにアメリカの大学が入学審査において成績平均値(GPA)をいかに重視しているのがわかります。

日本の高校でいえば、5段階の通知表でほぼオール5で4がポツポツというイメージです。

成績以外の素質にも注目するアメリカの大学

しかし、このデータではGPAが3.5以下で合格している人が数パーセントながら存在しています。これらの学生は、たとえばスポーツにとてつもなく秀でていて、「大学のスポーツコーチがAdmissions Office(入学審査を専門に行う部署)を説得した」と考えられます。

要はスポーツ推薦であったり、音楽や芸術の分野で若くして有名な賞をとるほどの学生。つまり学業以外でその大学にとって、魅力的な要素をもっていたということです。

ちなみにハーバードは以下の通り。

GPA割合
3.75~ 93%
3.5~3.74 5%
3.25~3.49 2%
3.00~3.24 0%

GPAが3.49以下の人は、やはり学業以外で何か超特別な才能があったのだろうと思います。

成績の評価

高校の成績については、「高3のものを出すのか、全学年のものを提出するのか」と聞かれることもよくありますが、基本的には全学年です。アメリカの高校は四年制が多いので、アメリカ人は4年間の成績を出しますが、日本人は3年間でかまいません。

全学年ともによい成績であるほうが望ましいのはもちろんですが、1年生のときより2年生、2年生のときより3年生、というように成績が上がっていればそれも評価されます。

努力と改善の姿勢が評価の対象になるのです。逆に、3年生に向けて下がっているのはあまりよくありません。

TOEFL®テストとSAT®では英語のレベルがまったく違う

TOEFL®スコアについていえば、UCLAは83点を求めていますが、実際に出願している留学生は満点かそれに近いスコアを出しています。さらにSAT®で各セクション600点以上をとることが望ましいとされていますから、いまからTOEFL®テストで80点をめざすなんていうようなことでは話になりません。

日本人がSAT®の各セクションで600点以上をとるということは非常に困難なことです。たとえばインドから日本に初めて留学してきた16歳の学生に、「1~2年後に共通テストの国語で8割をとれ」というような話です。

そもそも帰国子女やインターナショナルスクールの生徒でもない限りなかなかとれるスコアではありません。

TOEFL®テストは、英語を母語としない学生のための英語のテストですが、SAT®の英語は、英語を母語とするアメリカ人の「国語」のテストです。年に7回受けられますが、そんなに何回も受けるようなテストではありません。

高校生としての本来の国語力を測るテストですから、あまり何回も受けると、アメリカの大学にかえって変だと思われてしまいます。アメリカの高校生は2回くらいしか受けません。そもそも日本的な「受験のために塾へ行く」、「受験戦争」というような意識がないのです。

大学選びの意識が大きく違う理由

「え? 少しでも上の大学へ普通は行きたいんじゃないの」と思われるかもしれません。しかし、アメリカと日本で大きく違う点の1つに「大学で退学になりやすい」ということがあります。

アメリカの大学では、2学期続けて70点平均を切ると驚くほどあっさり退学になります。つまり、大学に出願するときだけがんばって無理にレベルが高いところに行くと、元々の地力が足りないため退学になる可能性も高まるのです。

したがって、アメリカ人は身の丈にあった大学に行き、そこで努力をするというのが普通です。

アメリカの大学の受験対策が日頃の行いにあるワケ

入学審査に話を戻します。

アメリカの大学の入学審査は、一人ひとりの出願者のそれまでの長い積み重ねを測るものですから、ある一定期間だけがんばって突破するというものではありません。たとえはレベルの高い高校から低い高校に転校していい成績をとったとしても、そのような変な小細工は通用しません。

いってみれば日頃の行いが大切になります。学校の成績をよくして、人間性豊かな人に成長することが大事だということです。英語力も、時間をかけて少しずつ身につけていくものであって、テストを受けるときだけ急に上がるというものではありません。

「じゃあ、私はもう○○大学に入れないの!?」と嘆く必要もありません。アメリカでは大学での転校、いわゆる「編入」は頻繁に行われていて、意欲ある学生はどんどんレベルの高い大学にのぼっていきます。

当研究所の生徒でも、はじめは身の丈にあった大学に入学し、そこから最終的にアイビーリーグにまで編入した学生が多くいます。

ただ、彼らは「有名だから○○大学に入りたい」、「○○大学に入ればいいところに就職できる」というのではなく、自身がアメリカで勤勉に励み高い成績をキープし、毎日英語のシャワーを浴びて、課外活動などに積極的に参加した結果、「僕は●●の分野に興味があり、もっともっと研究したい。だから、●●の分野に強い○○大学に入りたいんです」という姿勢です。

こういった姿勢が、合否を決めるエッセーや推薦状にも表れてくるのです。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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