奨学金だけじゃない!知られざる留学費用の節約方法

奨学金を借りればタダで留学できる!?

アメリカの大学から学費減額の奨学金をもらって、さらに日本の学生支援機構から奨学金を借りて留学したいんですけど・・・と、いとも簡単に親子ともども相談に来る人たちがいます。おまけに行きたい大学はUCLAなんです、というような話です。

UCLAの学費+寮・食費は年間53,000ドル(※約636万円=120円換算)で、外国人に対して奨学金はほとんど出ず、都会にあるためお金を使うことも多く、とても日本でお金を借りて行ってもムリ、と言ってもなかなか納得しません。

636万円×4年間ですのでもう一般的にはなかなか手の届きづらい金額。別にUCLAを否定するわけではありませんが、とても裕福な家庭ならまだしも、一般的にその先行投資に見合ったものが得られるのでしょうか。

そもそも州立大学はその州に住むアメリカ人の税金で成り立っているため、州内の学生は格安の学費で通えます。UCLAに行くのに600万も支払わされるのは留学生や、他の州から来る人だけなんです。

日本やアジアでは上手に宣伝されていてとても人気がありますが、他にも費用が安くて良い大学は山ほどあります。それに最近では中国や韓国でもなぜか人気が高く、学内はお金持ちの中国人・韓国人だらけという話もちらほら。なんか割に合わないと感じてしまうのは私だけなんでしょうかね。

話を戻します。さて、いくらアメリカの大学に学費を減額してもらっても、そもそもタダで行けるわけではありません。寮や食費、飛行機、保険、教科書代など、もろもろの費用がかかります。これらを学生支援機構などから毎月貸してもらえる12万円で支払えば、要は4年間は手持ちの費用がゼロで行けるという間違った発想をもつ人もいます。

大卒時に500万円超の借金を抱えるのが本当に「奨学金」なのか

でも落ち着いて考えてみてください。毎月12万円を4年間借りると、576万円の借金になります。大学を卒業してから返済を始めるのですが、利子が低い、あるいは無利子であっても、毎月5万円を10年間にわたって返さなければなりません。親子とも月に5万円くらいどうってことないと考えているようです。

「それじゃあ、お母さん、いまから毎月、余分に5万円貯金してみなさいよ。10年間、明日から始めたほうがいい」と踏み込みますと、初めて冷静に考えて、できませんと言うのです。自分ができないものを、二十歳そこそこの息子や娘ができるわけがありません。しかも1度でも返済が滞ればブラックリストに載ってしまいます。

だいたい日本の大学に行く人でも、奨学金を返せないという問題が起きています。昨今では弁護士が集まって社会問題として提起しています。昔のように着実に給料が上がっていくという保証のない時代ですから、10代のうちから借金をするなんていうのはとんでもない話です。

そもそも返済が必要な時点で、そういうお金を奨学金という名称にすべきではないと思います。

留学期間を短縮することが費用の大きな節約になる

さて、こういう費用でお悩みの場合、私たちは放送大学で単位を稼ぐことを勧めています。

放送大学は日本の文部科学省が認めている大学で、成績も単位もちゃんとつきます。費用も安く、アメリカの大学における1年分の単位(およそ30単位)を取得するのに20万円もかかりません。4月入学と10月入学とがあって、録画・録音しておけば、いつでも好きなときに講義を受けられます。

アメリカの大学は単位制ですから、放送大学で30単位を取得すれば、アメリカの大学に2年生として編入し3年で卒業できます。40単位をとっておけば、2年半で卒業できますし、60単位取得すれば、2年でアメリカの大学を卒業できます。それ以上は認められませんが、最大で滞在期間を2年間は短縮できるわけです。

先のUCLAを例にとって見れば、年間636万円(※120円換算)の学費がかかるわけですから2年短縮すると1,272万円節約できます。

明確な目的意識が留学費用を生み出す

さらに、放送大学で学んでいる間に働くこともできます。たとえば、今までの生徒の中には自動車工場の期間工として働き留学費用を貯めた人もいます。寮で暮らせて、食事は無料か低価格ですので、普通に働けば1年で300万円くらい溜まります。仕事が終わった後や週末は勉強をしますので、余計なものにお金も使いません。

何年も何年もそういう形で働くのは辛いでしょうが、お金を貯めるという目的がハッキリしていれば、1年や2年はやれるもの、というよりも若いうちだからやれる方法でもあると思います。

わずか1年働いて、300万円と30単位、2年で600万と60単位。実はとても効率が良い話。他のアジア諸国の若者が同じように働いても、こんなにお金は溜まりません。日本人ならではの特権なのです。

留学費用の対策は粘り強さが肝心

毎年数人ですが、このような話に耳を傾けて、それぞれの形で実行する人がいます。そんな人には多くの単位がアメリカの大学に認められるように、放送大学でどのようなクラスを取るべきか、指導しています。

こういう人は冷静で計画性も根性もあるので、大抵アメリカでも成功しますし、我々カウンセラーも全力で応援します。出願や各種申請、アドミッションオフィスとの交渉で、大学から返済不要の奨学金として年間20,000ドルくらいもらって、本人の負担を20,000ドル(※240万円)で済むようアタックしたりします。

最初の1年は自分が貯めたお金で支払えばいいわけですから、ご両親も心づもりをして、時間をかけてお金を用意することができます。 しかし、このような話に耳を傾けない人もいっぱいいます。はっきり述べるのであれば、そういう人の方が多いと感じます。

そして、そういう人は「ホームステイで費用を節約してコミュニティ・カレッジへ!」というような宣伝文句を掲げる留学エージェントに行くか(※参考「知らなかったではもう遅い?コミュニティ・カレッジへの留学にかかる費用の実態」)、英語力さえ上げれば奨学金をたくさんもらえると思い込んで、なけなしのお金をはたいて、英語学校に何年も通うなどをして大切なお金と時間を無駄にしていまいます。こんな形で人生を棒にふってしまうのは本当に悲しい現実です。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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