知らなかったではもう遅い?コミュニティ・カレッジへの留学にかかる費用の実態

(2021.2.1更新)

がんばればUCLAに編入できる?

最近、コミュニティ・カレッジに娘や息子さんが行っているという親御さんからの相談が多くあります。そんな親御さんたちが口を揃えて言うことは「留学エージェントにコミュニティ・カレッジへの留学は費用が安いという説明を受けていたが、実際は安くないのでとても困っている」というものです。

また、巷の留学エージェントは提携先が共通しているのか、問題となっているコミュニティ・カレッジのほとんどがカリフォルニア州やワシントン州の都会、またはそれに近い場所にあるものです。

さらに、多くの留学エージェントでは「コミュニティ・カレッジで、がんばってよい成績をとれば、カリフォルニア州であればUCLAまたはUC Berkeleyに編入できる、ワシントン州ならUniversity of Washingtonに編入できる」というのを売り文句に営業をしてくるのだそう。

「がんばればできる!」というのはなかなかクセモノの言葉で、勉強をがんばればみんなが東大に入れるわけでもなく、テニスの練習をがんばればだれもが錦織選手になれるわけでもありません。しかし、ちょっと魅力的な言葉であることはたしかです。

 

ホームステイの実態

さて、コミュニティ・カレッジの学費は、年間9,000~10,000ドルくらいですから、とても安い額であるのは間違いありません。しかし、学生寮がありませんので滞在方法は、ホームステイになります。

日本ではこの「ホームステイ」がなぜか有名ですが、アメリカの学生は本来、寮生活を送るのが基本です。それをホームステイだと思い込んでいる日本人が多く、短期の語学留学や夏休みの留学と、本格的な大学への留学がゴチャゴチャになっています。

いまの時代は昔と違って、『大きな家で、子どもがたくさんいて、気さくな専業主婦のお母さんがパイを焼いてくれる』なんていうアメリカのホームドラマでありがちのホストファミリーはほとんどいません。アメリカの女性もみんな働いています。

したがってホームステイ先となっているのは、老夫婦二人で部屋が空いているから、とか、お母さんと子どもしかいないので空き部屋を貸そうということで、留学生を下宿させる家庭です。留学生を二人預かっているなんていう家庭もけっこうあります。

そしてこの下宿がいまやけっこう高いのです。1か月に800~1,000ドルくらいします。朝夕食は作ってくれますが、昼食はなし、また土日も食事がなかったりします。夕食の時間も平日19時とか決められていたりします。

でも、学生はどうしても生活がルーズになりがちなもの。徐々に現地に慣れてきて、日本人の友達も増えてきて、どこのラーメンが旨いなどの情報も入ってくると、下宿での食事がどんどん遠のいていくのです。したがって、食事やコーヒーなどの交遊費がバカにならなくなってしまうのです。

卒業までにかかる費用を具体的に計算

こういった事情を考えると、コミュニティ・カレッジへの留学は、一昔前までは1年間100~150万円くらいで行けるようなイメージでしたが、いまや300万円でも足りないのではないでしょうか。おまけに、留学して2年後にUCLAに編入できるというのも、怪しい話で、留学している本人もそれほど学力や英語力に自信があるわけではありません。

さらに大学の費用を見てみると、UCLAの1年度の学費+寮・食費はなんと53,000ドルというではありませんか。昨今の日本円(1ドル=125円)にすると、660万円です。University of Washingtonも約44,000ドル(550万円)です。

高校の成績もよく、英語力も高く、初めからUCLAに入れたんじゃないの? と思うような能力があっても、留学エージェントの勧めでコミュニティ・カレッジに行く人がいます。そういう人は2年後にUCLAに編入できることも稀にありますが、ごく普通の能力の持ち主は、そもそもコミュニティ・カレッジを2年で終えることはほとんどできません。3年はかかってしまいます。

しかもトップクラスの成績で卒業してなければ3年かかってもUCLAには入れませんから、UCLAを含むUniversity of California系列の大学よりレベルの低い、California State University系統の大学に編入することになります。(※大学の系統やレベルについての詳細はコチラ)これはまあ、普通の成績をとっていれば何とか編入することが可能です。

とはいえCalifornia State University系統の大学でも、いまや学費+寮・食費は年間30,000ドル近くします。日本円で375万円、お小遣いや海外保険・夏期の費用などを加えると、年間450万円くらいかかる可能性があります。

まずコミュニティ・カレッジで3年過ごすとして、年間300万円×3年=900万円。California State University系統の大学に編入する際に、単位の移行がうまくいかなければ、卒業までさらに3年かかり、これが年間450万円×3年=1,350万円。合計でおよそ2,250万円になってしまいます。親御さんたちは子供を留学はさせたものの、当初に考えていた予算とはまったく違う金額になりそうだという予感がして、相談に来るのです。

州立大学で得られる奨学金の可能性

奨学金をもらう方法はないのか、早く卒業できる方法はないのか、というのが相談の内容ですが、州立大学はそもそも州内在住のアメリカ人にはとても安いので、あまり奨学金を用意していません。それに最近では中国人のお金持ちの留学生がたくさんいて、バンバンお金を払うので、そんなに日本人留学生に奨学金を用意する必要もないと思っています。

コミュニティ・カレッジでは、留学生はまず外国人向けの英語のクラスを1年くらい受講しますが、このクラスの単位は、大学の卒業単位としては認められません。どうしても卒業まで時間がかかってしまいます。

ドルが急激に騰がり、大学の学費も年々値上がりし、学費を支払えなくなって留学をやめて戻ってくるという人もいるという話もチラホラ聞きます。非常に残念なことだ思います。

当たり前のことですが、留学はその後の人生を大きく左右する一大事でし。留学エージェントの安易なアドバイスだけを信じて決断するのは控えたいものです。

留学をするなら、自分が学びたい分野や卒業後の進路、実際にかかる費用や期間、奨学金の有無や獲得方法、生活レベルなど事細かにしっかりと調べてからにしましょう。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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