アメリカの大学は成績も交渉次第! 交渉上手なのは女子? 男子?

先生に交渉すれば成績が上がる?

アメリカはいつもおもしろい調査をする国ですが、今回、とある研究者が行った調査も、アメリカ独特のものです。

男子学生のほうが女子学生よりも、自分の成績について先生に交渉してよい結果を獲得している、という調査です。

そもそも自分の成績について先生と交渉する、なんていうのは日本では考えられません。

だいたい日本の大学生は自分の成績がよいか悪いかなどあまり気にしないのです。

留学したいというときになって初めて成績が問題ということがわかって、エーッとなる学生がほとんどなのです。

将来の人生を左右する大学の成績

アメリカの大学では成績はとても重要です。

成績の平均値のことをGPA(ジーピーエー)といいますが、GPA2.0(70点)を2学期続けて切ると基本的に退学です。

また、将来大学院に進むのであれば(アメリカは医学、法学、カウンセリングなどは大学院でしか学べません)、最低3.0(80点)は必要です。

就職の際にもGPAはとても大切で、必ず履歴書の冒頭に書かなければなりません。

当研究所でインターンをしていたアメリカ人学生が、昨秋ニューヨーク大学のロー・スクール(法科大学院)に入学しましたが、成績は4.0(100点)、すなわちオールAです。

当研究所から留学して、アメリカの一流企業に就職した人のGPAも、4.0でした。

当研究所のインターンシップに応募してくるアメリカ人の履歴書にも、もちろんGPAが書いてあります。3.5以下の人は、なかなか採用には結びつきません。

大規模大学では助手が成績をつけることも

アメリカの大学生にとって、GPAはこれからの人生の死活問題です。

ですから、とても成績を気にします。UCLAなどの大規模大学では、教授は100人・200人の学生を相手に一方的な講義をします。

まぁ日本の早稲田、明治などの大規模大学と同じです。

ただし、アメリカの大学ではディスカッションをしなければならないので、助手(おもに大学院の博士課程の学生)が出てきて、30人くらいずつに分けてディスカッションをします。

ついでに成績も助手がつけることがあって、学生は「自分の成績を悪くつけただろう」と助手に文句を言いにきます。

これはめずらしいことではありません。

助手たちもそういうことで鍛えられているので、教授になっても、最初からうまくやっていけるのです。

助手は学費免除で、わずかですがお給料ももらえます。

このような制度がアメリカの大学の先生たちの層を中身の濃い、厚いものにしているのです。

「成績の交渉」の成功率は60%

さて、今回の調査では、男子学生のほうが、女子学生より、自分の成績に関してよくしてもらった割合が高いと言っています。

テストやレポートなどについて先生に交渉に行き、レポートをBからB+にしてもらったりするわけです。

したがって、学期末の成績もよくなるわけです。

アメリカの大学生の40%が、先生にテストの結果やレポートの結果についてゴチャゴチャ泣きついているといいます。

そのうちの60%が、点数を上げてもらっています。

男子が0.47ポイント、女子が0.43ポイント、平均して上がっているということです。

たかが0.4ポイントなんて思ってはいけません。

たとえば3.4のGPAが、0.47ポイント上がると3.87になります。

大きな違いです。2.5が3.07になると、大学院に入学できるかどうかの瀬戸際になります。

学生にとっては必死です。就職するときも、GPAが2.0台だとむずかしいでしょう。

成績の交渉は「悪い」ことではない

ではなぜ、同じ交渉をしても男子学生のほうがよりよい点数をもらえるかということですが、まず男子のほうが頻繁に先生のところにやってきて交渉をしているということです。

まぁ、男子学生のほうが図々しいのか、あるいは将来のことをより深く考えているのかわかりませんが、この調査では、女子のほうが交渉のときに、より自信がなさそうな様子なのだそうです。

つまり女子学生のほうが、「こんなことを言っていいのかな」「私の実力はここまでないのかな」なんて思っているようなのです。

この調査を行った研究者は、成績の交渉を成功させた男子学生たちは、社会に出てもより積極的に自信をもって働く可能性があるので、大学の先生たちは、こういうことに気がついて、もっと女子学生に自信をもつよう、遠慮をしないよう、働きかける必要がある、と言っています。

あれだけ積極的で自己主張するアメリカ人に、さらに配慮が必要なんて、日本人にはちょっと考えられません。

やっぱり日本はどんどん遅れていくようですね。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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