新型コロナの留学生への影響は? 今後の見通しは?

授業は朝の5時

アメリカの田舎の小さな大学は、「本年の入学のディポジット(※)の支払い期限は5月5日ですよ」、なんて呑気なことを相変わらず言っています。

彼らにとってニューヨークやボストンの出来事は、とても遠い出来事のようです。

※ディポジット:Deposit。入学の意思を示すための保証金。授業料の一部。

都会にある大学については、ボストン大学が「今年の9月の入学は延期する」と言ったというニュースが出て、「イヤあれは違う」とか、「ハーバードが2022年まで閉鎖」だとか、まぁ、世にいうフェイクニュースがわんさと出ています。

田舎のキャンパスには、コロナ感染症が出ていないこともあって、いまは一生懸命オンラインで授業をやっていて、9月からは普通の状態に戻すつもりでいます。

なにしろ寮もまだ開いていて、学生が一部残っていたりするのです。

現在、日本に帰国している留学生たちは、時差の関係もあって、朝の5時からオンラインで授業をとっていたりなど、涙ぐましい努力を続けています。

いつ渡米できるのか

今年の9月から留学する予定の学生は、「9月から大丈夫か?」と思いながらも、ともかく待つしかないという姿勢です。

当研究所では、こういうときに読むべき本や映画を紹介したり、5月からはボストンのスタッフとオンラインで英語でチャットできるようにしようか、など準備しています。

早ければ6月ごろには渡米する学生も多いはずでしたが、こんな状況では夏はもちろんどうしようもなく、ひょっとしたら9月もダメかしら、なんて思わせるようなニュースばかりです。

アメリカの回復力

ITが盛んなアメリカですから、いろいろな企業がたくさんのアイデアを出して、医療機器や新しい薬の開発にしのぎを削っています。

ニューヨークでは、すでに抗体検査も始まっています。

医療崩壊と言っていたのも何とか防いで、少しずつ落ち着きを取り戻しつつあります。

トランプ大統領は相変わらず迷走していますが、各州の州知事たちがリーダーシップを発揮しています。

また大学も、各々に対策を立てています。

もともとオンライン授業が盛んな国ですから、これからオンラインでの指導に磨きがかかることでしょう。

大学側は、学生にこまめに連絡をとって、オンライン授業で困っていることはないか、日常生活や金銭面で困っていることはないか、などと聞きながら、各々の支援を講じています。

日本とアメリカ、どっちが安全?

アメリカが早く立ち直ることを祈るばかりですが(すごい勢いで立ち直るだろうと信じていますが・・・)、アメリカで大学再開の用意ができても、日本でコロナウィルス感染症が広がっていたら、日本人留学生は入国を拒否される可能性があります。

そもそもアメリカの多くの田舎の大学キャンパスでは、「日本に帰ったらもうアメリカに戻ってこられなくなるから、キャンパスに残ったほうがいい」という先生がたもたくさんいたのです。

日本でも、少しずつ、じわじわと感染者が増えています。

クラスター対策という方式をとっていますが、初めのうちは成功したかもしれませんが、外国からどんどん人が帰ってきた時点で、あれはアウトですよ。

3月下旬までは、成田でも羽田でもみんなフリーパスで、その後、検査をしても「結果が出るまで公共交通機関は使うな」「家かホテルにいろ」と言っても、ホテルはもちろん、そんなお客は嫌がるし(当研究の学生のことで羽田空港周辺のホテルに電話をしたら、みんな断られました)、迎えに行ける人がいなかったり、ほかにもさまざまな問題があって、どうするのか厚労省に聞いても、「何もできない」という返事。厚労省と法務省(入国管理)の連携がまったくとれていないとしか思えません。

日本のコロナ対策が留学に及ぼす影響

私事ですが、運転免許の更新で70歳以上の人は講習を受けろというのです。

講習を受け付けている自動車学校はどこも満杯で、やっと港区から遠く離れたところに行けることになりましたが、「老人は出かけるな」と言われているのに行かなければならないのかと直接、警視庁にも都にも電話しましたが、「国から何も言われていないので何も言えません」の一点張り。

緊急事態宣言が出される1日前に行きましたが、もちろん、密、密ですよ。

自動車学校側は、窓を開けて椅子を離して精一杯、気をつかってくれましたが、教室にいるのは全員70歳以上、廊下に出れば講習に来ている若い人でいっぱい。

さまざまな目の検査は、みんな顔を機械にひっつける。

もっと早くPCR検査をして、軽症・重症などに分けて、どんどん収容先を用意していかなければならないのに、2月から国も都も何をやっていたのでしょう。

未だにクラスターってやってますよ。

島津製作所が、2時間ほどで結果が出る検査機器を売り出したようですが、それをうまく使って医療態勢を整えられるのかしら。

アメリカの大学で授業が再開されるとしても、アメリカに入国するためのビザを得るのに、日本人は抗体検査で抗体がある、あるいはコロナ感染症の検査で陰性である、という証明を得なければダメ、といったようなことが起きるかもしれないのに、夏までに日本はそんな用意ができるのでしょうか。

とても心配。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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