留学に絶対必要な「ビザ」とは!?

アメリカ留学に必要なF-1ビザ

日本人は普段あまり意識しませんが、どこの国でも外国の人が入国・滞在するためには査証(ビザ)というものが必要です。

これを日本人はがなぜ意識しなくて済むかというと、私たちはビザを持っていなくても、短期滞在の観光目的であれば入国できる国が155か国もあるからです。

日本人観光客は、ビザなしでハワイなどへ遊びに行っていますので、一生ビザを取得する必要もなく海外旅行をしている人もいっぱいいます。

しかし、これはあくまで短期間(※90日以内)。ちょっとお邪魔します、という程度のもので、そこで勉強したり働いたり商売を始めたりすることはできません。

他の国で勉強するには、「受入先の学校から入学許可を得ている」という条件のもとに、学生としてのビザを得なければなりません。

アメリカでは、学生ビザを「F-1ビザ」と呼んでいます。

ビザ発行の権限を握るのは?

ビザを発行するのは領事で、大使ではありません。

大使館に領事部というセクションがあり、そこで領事との面接を経て、F-1ビザを発行してもらいます。

ビザ発行に関しては「領事の権限は大統領より重し」という言葉があるくらいで、何人も侵せない強い権限が領事にはあります。

ですから、たまたま領事の機嫌が悪いときに、チャラチャラしたおよそ勉強しそうにない若者が面接に来たら、ビザの発行を拒否されることだってあり得ます。

したがって面接はけっこう真剣勝負なのです。

「命のビザ」で有名な、たくさんのユダヤ人を救ったリトアニアの杉原千畝領事のことは、美談というだけでなく、領事のビザ発行の権限はとても強いものだという逸話でもあるのです。

日本に帰国しそうにないからビザを出さない

アメリカの領事にもじつにいろいろな人がいます。あまり日本のことを知らずに赴任してくる人もいるのです。

昔、学生ビザが拒否され続けて、日本中の留学希望者が、ちょっとパニックになったことがありました。

当研究所でも、アメリカのボーディングスクール(寮制の高校)に留学する人がみんな拒否されたのです。

拒否の理由が具体的に明かされることはありません。

「アメリカに入国したら日本に帰国しそうにないのでビザは発行しません」という印刷物が渡されます。

「日本に帰りそうにない」なんて、普通の日本人にはまったく理解できないので、驚愕です。

学生ビザは「帰国すること」が前提で発行される

世界の人が最も移住したい国といえば、やはりアメリカがナンバー1です。

世界には、アメリカに住みたい、アメリカで暮らしたい、アメリカに住めば安全でよい暮らしができる、と思っている人がいっぱいいるのです。

トランプさんが「移民・難民を入れない」とわめいていますが、数えられている不法移民だけでも1,100万人もいる国なのです。

アメリカ領事の中には、「外国人は、みんな本心はアメリカで暮らしたいんだろう」と思っている人もいるのです。

たとえ日本人でも。

そもそも学生ビザは、勉強するんだな、能力はあるんだな、移民じゃないだろうな、という予測のもとに、領事が発行するわけです。

ボーディングスクールに留学する生徒はだいたい15歳です。

そのときの領事は、そんなに若いうちにアメリカに渡ったら、すっかりアメリカに染まってしまって、もう日本には帰りたくなくなるだろうから、これは移民になる可能性があるので「ダメ」ということのようでした(いろいろ当研究所で原因を調べた挙げ句にわかったことです)。

こうなると、「日本に帰ってくる」という根拠を示して何としてもビザを発行してもらわなければなりません。

「いまの時代に日本よりアメリカのほうが絶対にいいなんて思う若者がいるわけないでしょう」なんて言っても通用しないのです。

事実、留学をきっかけに、永住権や市民権をとって、アメリカに残っている人も、私の研究所から留学した人の中にはいるわけですから。

4回目の面接でようやくビザをゲット

ほとんどのアメリカ領事は、日本人は世界的に見てまじめだしお金もあるので心配いらないと思っているので、たいした質問もしないでビザを発行してくれるのですが、ときどき、変な考えの領事がやってくるのです。

当研究所からは、兄弟とか親子とか、家族で留学する人も多く、ある留学生は、お兄ちゃんがアメリカで結婚しているので、きみもそうするんだろうと言われて、ビザを拒否された人もいます。

そういうことになったときの、私の歴戦はすさまじく、必ず日本に帰るという証拠をありとあらゆる方法で作成して、闘い、もちろん勝ってきましたが、4回面接に行ってやっとビザを取れたというケースさえあります。

なにしろ、「フン!」みたいな感じで、窓口のスライドをサッと閉めてしまうのですから、申請に行く側も、本当に心が折れてしまうのです。

ビザはシビアな問題としてとらえよう

私たち日本人は、どこへでも簡単に旅行に行けるので、想像もつかないかもしれませんが、他国で好きなように生活できるわけではないのです。

ビザは一つ間違えば、たいへんなことになります。

一度拒否されると、ハワイ旅行も行けなくなります。

したがって、ビザは、ただ書類をそろえて提出すればいいというものではなく、とてもシビアなものだと考えてください。

また、あまり知られていませんが、日本の領事も発展途上国などで、日本に来るためのビザをそうそう下ろすわけではなく、けっこう冷たい態度をとっています。

こういった現実をしっかり知るのも留学に必要な知識の一つ。

日本はどのようなかたちであれ外国人を受け入れるのを厳しくしている、世界でもトップクラスの国なのです。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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