隔離しながら留学生活。その実態と今後の見通しは?

いま、アメリカに入国できるのか?

9月入学の学生がボツボツ、アメリカに出発しています。入国後、14日間の隔離がありますので、その時間を見込んで出発日を決めなければなりません。

入国審査は、まぁまぁ例年と変わらず、無事に入国できていますが、それでも別室に呼ばれて、いろいろ調べられる学生もいます。

入国審査官は、7人に1人は厳しく調べるとか、自分なりのルールがあるようで(もちろん、怪しいと思える者を調べるのは当然ですが)、本当に怪しまれたのかどうかわかりません。

「大学の授業がオンラインオンリーではないのか」ということをしつこく聞いてくるようです。

トランプさんが、オンラインオンリーの学校への留学生について、その入国を認める・認めないの騒動がありましたが、最終的に、オンラインオンリーであれば、この9月からの新しいビザは発行しない、ということになりました。

ところがビザを発行してもらっているのに、それでも疑われて、わざわざ別室で詰問される学生もいるのです。

隔離中の留学生活。その実態

さて、毎年、9月の入学に先がけて当研究所では、英語講座をアメリカ各地の大学キャンパスで開催しています。

英語力が心配な人に、夏の間に英語力を高め、大学での生活に慣れてもらうためです。

ところが、今年は開催できたのがたった1校で、しかも参加予定のほとんどの人がビザが間に合わず(領事がサッサとおろしてくれないので)、わずか5人しか参加できませんでした。

寮の個室

隔離の上で勉強するので、ちょっと大変です。

寮には、2つの個室があって、それらの間にあるシャワーとトイレを共用します。

マスクをしていなければならず、朝の8:00と夜の9:00に、寮のスタッフが体温を測りに来ます。

検温器(華氏で表示されます)

ご飯は、自分の部屋で食べなければなりません。

朝食はオムレツかパンケーキ(ホットケーキ)、ランチはサンドイッチかハンバーガー、夕食はパスタかチキンなどを、ドアの前まで届けてくれます。

食事中は寮のドアを開けて、向かいや隣の部屋の人と話しながら食べることができます。

食事で使ったものはすべて捨てます。

とある日のメニュー

授業は、zoomを使ったオンラインです。夕方、チューターと呼ばれる家庭教師みたいな人が、やはりzoomを通じて、予習・復習・宿題を助けてくれます。

洗濯は週に2回、洗濯袋に入れてドアの前に出すと、スタッフが洗濯してくれて、また、ドアの前に持って来てくれます。

生活に困らないようにお水や歯ブラシ、おやつのポテトチップスに至るまで、用意してくれています。

大学からの支給品。至れり尽くせり

それでも不足のものはウォルマートで、オンラインで買うことができて、その日のうちにドアの前まで届けてくれます。

授業以外の時間に寮から外に出て、キャンパスをウロウロして、2メートルの距離をとって友だち同士で話をするのはOKです。

大学キャンパスのコロナ対策。果たして今後は?

ウーン、何かすごいでしょう。

でも学生たちはけっこうおもしろがって、楽しんでいます。

隔離が終わったら、各々の大学に行って普通の授業が始まるんですが、この様子を見ていると、はてさてどうなるのか、と思いますねー。

本格的な授業はハイブリッドになるので、小さなクラスは離れて席に座って、とか、大きな授業はやはりオンラインで、ということになります。

食事は昔みたいなビジネスホテルのバイキングのように食べ放題・飲み放題(ミルク、コーラ、コーヒー、ジュースetc.)ではなく、1人前ずつパックになったものを、離れて食べるということになるでしょうが、果たしてうまくいくでしょうか。

何かどっか日本と違うんですよねー。

マスクは必須になりましたが、たとえば日本では手洗いがうるさい。

ドアノブやトイレなどこまめに消毒する。

場所が変わるたびに入り口で手をアルコール消毒する、といったことがあるでしょう。

その上、日本は部屋の中では靴を脱ぎますからねー。

アメリカ人は、靴を脱ぐのと裸になるのが、どうやら同じ感覚のようなんです。

時代劇でよく見るように、日本人は、旅人が旅籠に上がるときや、外から家に帰ってきたら、必ずタライで足を洗っているでしょう。

やっぱり、水に恵まれた日本は、世界の中でも清潔さに対する考えかたがすごく違いますねぇー。

今回のコロナでは、貧富の差や人種問題、若者と老人の問題、マスクとサングラスの違いなど、いろいろ人間の本性があらわになってきていますが、地理的な条件が、長い歴史の中で国民の文化にもすごい影響を与えているんですね。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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