アメリカの大学スポーツにおけるシーズン制とは?!
アメリカの大学スポーツの特徴
アメリカの大学のスポーツについてお話したいと思います。
アメリカではスポーツがシーズンごとに分かれていて、一年中同じスポーツをするということはありません。
全米大学体育協会(NCAA)に加盟する競技は、シーズンごとに分かれて行われます。シーズンが違えば、サッカーとレスリングを両方することも可能です。
シーズンごとの競技を紹介します。
秋シーズン(8月~11月)
アメリカの大学で最も注目度が高い時期です。キャンパス全体が熱気に包まれます。
・アメリカンフットボール(NCAA最大の人気)
・サッカー(男子・女子)
・クロスカントリー(男子・女子)
・女子バレーボール
・フィールドホッケー
冬シーズン(11月~3月)
体育館内のスポーツが中心で、全米トーナメントもこの時期に行われます。
・バスケットボール(男子・女子)(“March Madness” 「3月の狂気」で有名)
・レスリング
・室内陸上競技
・水泳&飛
・体操競技
・アイスホッケー(男子・女子、特に北部・東北部・中西部の大学で盛ん)
春シーズン(2月~6月)
屋外のスポーツが中心です。
・野球
・ソフトボール
・陸上競技
・ラクロス(男子・女子)
・ゴルフ(男子・女子)
・テニス(男子・女子)
・ボート/ローリング
通年または特殊シーズン
一部シーズンをまたいで行われる競技です。
・チアリーディング/ダンスチーム(フットボール・バスケットボールの両方をサポート)
・フェンシング、射撃、ボウリングなど(学校によって時期が異なる)
・水泳(特にカリフォルニアの大学で盛ん)
また、アメリカでは大学のスポーツチームが Division I、II、III に分かれています。
Division I は最もレベルが高く、全国放送される試合もあり、プロへの登竜門にもなります。
UCLAなどのフットボールやバスケットボールチームは Division I に属しており、全国放送や新聞掲載もされるため、大学にとっては大きな宣伝になります。
UCLAはスポーツによって知名度を上げてきました。
選手たちはスポーツ奨学金を多く受け取ることができます。
Division II は、Division I ほどの知名度はありませんが、競技レベルはそれなりに高く保たれています。
Division III は、スポーツを楽しむことが主な目的ですが、条件が整えば NCAA に申請して Division II に昇格することもあります。
日本の大学スポーツと大きく異なるのは練習時間です。
日本でも最近は熱中症対策などから練習の時間や場所に配慮が見られますが、アメリカの大学では何より学業成績が重視されており、勉強に支障をきたすような練習はしてはいけないと明確にされています。
これについても NCAA の規定があります。
練習時間の上限(NCAA Division Iの場合)
シーズン中(公式試合期)
・1週間:最大20時間
・1日:最大4時間
・1週間のうち1日は完全休養日(練習やミーティングなし)
試合のない時期
・1週間:最大8時間
※そのうちウェイトトレーニング・コンディショニング:最大6時間
※技術練習や個人練習:最大2時間
・1週間のうち1日は完全休養日
学業との両立を守る仕組み
・試験週間や期末試験の期間は制限がさらに厳しくなり、多くの大学では自主練習のみで、公式練習はほぼストップ
・監査制度があり、NCAAの規定違反があると奨学金停止や出場停止になるため、大学も厳しく管理。
Division IIはDivision Iと練習20時間ルールはほぼ同じ規定で、Division IIIはもう少し穏やかですが、学業優先のためシーズン中の練習量もDivision Iより少なめです。
GPA が 2.3 を下回ると、いわゆる「赤シャツ(Academic Redshirt)」という扱いになり、公式記録上「出場していない」とされます。
笑い話のようですが、スポーツだけできる学生を監督がスカウトしてなんとか入学させたものの、成績が悪くて試合に出られず、チューターを何人もつけ、遠征のバスにも同乗させて勉強させる、ということも実際にあります。
日本では「克己の精神」といった考えから、勉学よりも練習が重視される傾向がいまだに残っていますが、アメリカでは “Student-Athlete” という言葉が示すように、「学生」がまず第一であることが揺るぎない原則です。
かつては、オリンピックに出場する選手の多くがハーバードなどアイビーリーグの学生だったという時代もありました。
最後に、UCLA(Division I) と ハーバード大学(Division I) のスポーツチームを紹介します。
UCLA(Division I)
UCLAは、男子11チーム、女子14チームの合計25種目の大学公式スポーツがあり、主なものは以下の通りです。
・アメリカンフットボール
・野球、ソフトボール
・男子・女子バスケットボール
・男子・女子サッカー
・クロスカントリー(男女)
・陸上競技
・男子・女子ゴルフ
・男子・女子テニス
・ビーチバレーボール
・女子体操
・男子・女子バレーボール
・男子・女子スイム&ダイビング
・男子・女子水
・ボート
ハーバード大学(Division I)
ハーバード大学には、42種目のDivision Iスポーツプログラムがありますが、公式掲載されている主な種目は以下の通りです。
・野球、ソフトボール
・男子・女子バスケットボール
・クロスカントリー(男女)
・フィールドホッケー
・アイスホッケー
・男子・女子ゴルフ
・ラクロス
・ボート(クルー)
・サッカー(男女)
・スカッシュ(男女)
・スイム&ダイビング
・テニス(男女)
・陸上競技(男女)&クロスカントリー
・バレーボール
・水泳
・レスリング
・フェンシング(男女)
・セーリング
・スキー(アルペン/ノルディック)
・ラグビー
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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。