赤坂の留学研究所
とある社会派小説にて
相場英雄という社会派の作家が最近出した小説で、山梨を舞台に贈賄、収賄、利権の話がこってり詰まった面白いものがあります。
誰が読んでも、「これは竹中平蔵氏だな」とか「これはパソナの会長かな」と、登場人物がすぐに想像できるようなお話で(もちろんフィクションですが)、「ふんふん、これはあの人ね。そんなワルだったかしら」と思いながら読んでいると、絶対に収賄側であるはずの役人が、何のためにお金が必要なのかを警察がなかなかつかめない、というくだりがあります。
収賄といえば、博打のお金、借金の返済、株の損失の補填、女性問題などが定番ですが、それに関する証拠がまったく出てこないので、警察が焦っているのです。
ある時、そのお役人が山梨から東京の赤坂に出かけることがあり、娘に会っているということがわかってきました。
高校2年生の娘は成績優秀者です。
警察が二人の後をつけていると、赤坂のとあるビルに二人が入っていった、というストーリーです。
赤坂は私のオフィスがある場所なので、フムフムという感じで読んでいると、突然、二人が行った先が「泉素子留学研究所」だというのです!!
うちのことじゃありませんか!!
要は、お役人がお金を必要としていた理由は、株でも何でもなくて、娘の留学費用だったのです。
そこから、留学にすごいお金がかかるという話が続きます。
この作家かその助手は、確実にうちのパンフレットを読んでいます。
まあ、もう52年もこの仕事をしていますから、それなりに有名といえば有名ですが、こんなところに出てくるとは思わず、笑ってしまいました。
うちのスタッフも大笑いです。
どうも、公務員の給料ではアメリカ留学なんてムリムリ、という話です。
昔は、夫婦ともに公務員で、一人息子や一人娘という家庭がよく留学していましたが、今では夫婦とも公務員でも、ちょっとアメリカ留学の費用は出せない状況になっています。
考えれば考えるほど、日本はいつの間にか、あまりにもあっという間に貧乏な国になってしまっています。
一時期、ハワイでラーメンが5,000円するというニュースがありましたが、もうそんなニュースも話題にならなくなりました。
いつの間にか貧乏になった日本
昔は、香港や東南アジアに行くと、1万円札を出せば何でも買えました。
今では日本円を受け取ってくれるところなんてありません。
日本円どころか、中国などではもう現金が通用せず、すべてスマホでピピッと支払う時代です。
日本は貧乏になっただけでなく、あらゆる面で遅れてしまいました。
おそらく、これから5年、10年先には、〇〇大学卒業なんてどうでもよくなると思いますが、相変わらず大学の偏差値は健在です。
アメリカ留学の価値
お金の問題だけでなく、日本の若者はアメリカ留学にあまり興味がありません。
一番の問題は食事です。
日本にはあらゆる国の料理があり、それも本国より美味しいとされる店まであります。
とてもアメリカの学食の食事なんかでは満足できません。
最近の若者は、小学校から英語を習っていて、英語力も上がっています。
特に、昔日本人が苦手といわれていた会話力も上がっています。
こうなると、「アメリカ留学の意義はどこにあるのか?」と思うのも無理はありません。
世界の情勢が刻々と変わる中、日本の若者はとても小さい世界に閉じこもっていて、自分の食べているほとんどの食料が他国から来ていることも、あまり理解していません。
これからの気候変動や大地震、大災害など、何が起こるかわからない時代に、100歳や110歳まで長きにわたって生きなければならないかもしれないのです。
いざとなったら、世界のどこでも生きていける力を持たなければ、今後は生き残っていくのが難しくなります。
日本はAIでも遅れをとっていますが、これから数年のうちに、多くの人があっという間に仕事を失うことになるでしょう。
仕事がどんどんなくなって、新しい仕事がどんどん生まれるので、新しい仕事に就くための勉強が必要です。
その内容がどんどんオンラインで提供され、それを学んで次の仕事に就くというサイクルが、とても速くまわる時代になるのです。
アメリカの大学院は、今後ますますオンラインで授業を開講していく方向で動いています。
でも、若い時に外国でいろいろな人と暮らした経験や、実際に生活して得た英語力がなければ、アメリカの大学院の授業をいくら日本で受けられる時代が来ても(すでに来つつありますが)、授業についていくことはできません。
まだまだ、アメリカ留学の価値は高いのです。
これから100年経っても、トランプさんがめちゃくちゃでも、アメリカの実力は世界一です。
やはり、多様な人種、大学や研究室の数が、他の国と比べてあまりにも多いのです。
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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。