中山 幸映
New England College 2000年10月卒業 Sociology(社会学)専攻
苦労した英語... 今、NGOで役立っています
まず初めに私が私自身の体験談として英語がどのように上達したか書くに当たって、多少の困惑と後ろめたさがあるということを前置きしたいと思います。それは、自分の英語力は、他人に対し、特に優れているわけでもないし、私の留学のプライオリティーが英語の上達に置かれていたわけでもないからです。
英語は自分にとってあくまでも、他国の社会を知り文化を学ぶ手段であって、その国や人々を理解する力や適応力を深めると同時に私の英語力も徐々に増したように思われます。
留学4年目にようやく英会話に自信
大学入学当初、私のTOEFL®テストの成績はせいぜい430点前後(PBT)だったように記憶しています。ほとんど海外での大学生活に対する憧れや、根拠のない自信から決意した留学だったけれども、得たものは大きく、精神的にも未熟であった私に、私自身のあり方の見直しを迫り、そして又、新たな生きる目的や希望を与えてくれました。
大学に入学して1年目は新鮮さと驚きで自分の語学力に落胆する暇もなく、2年目にはなかなか上達の見られない自分の英語力に苛立ち、3年目には英語を手段とし私の専攻科目であった社会学を学ぶ楽しさを知り、4年目にようやく、多少の英会話に自信を持つようになり、異文化に心地よさや懐かしさを感じるようになりました。
4年間の大学生活を終え読書や論文提出を積み重ねることにより、筆記や読書においての上達は明白でした。
にもかかわらず、私は自分の英会話力に対し常に劣等感のようなものを抱いていたような気がします。なぜなら普段話されている英語(特に、学生たちの間で話されていた英語)は、6年間義務教育の過程で習った英語とは程遠く、米国の文化、それもその若い世代特有の文化を直に反映しており、それらを理解しない限り彼らの言葉を話すことは容易ではなかったし、何よりも、彼らの言葉は常に生きていたし進化していたからだと思います。
生きた英語の習得には欠かせない英語が母国語の友達
英会話を上達させるには、やはり彼らと一緒にいる時間が欠かせないと思います。けれども入学当初、英会話力ゼロの状態から始めた私にとって、日本人以外に友達を作ることはとてもむずかしかったのです。
日本にいた時には、友達は自然と周りにいるのが当たり前の存在だったけれども、米国でその国の言葉を話さずして友達が自然と出来るということはあまりないことでした。
それに、日々の授業についていくことや、宿題をこなすことで精一杯であった私には、友達といる時間よりも一人で勉強して過ごす時間の方が多かったのが実状です。振り返ってみるとこの頃からでしょうか、よく一人で読書をしたり、自分を振り返ったりする時間を好むようになったのは。
そして、大学生活四年間、私の英会話力は上達したものの、それでも英語を母国語とする人に対しての劣等感を取り去ることはできませんでした。若者の生きた英語や授業中のディスカッションなどになるととても自分の英語力では対等に話をすることはできませんでした。
英語の劣等感を拭ってくれたNGO参加
そんな自分にある種の変化をもたらしてくれたのは、大学卒業後の一年間の海外NGO参加だと思います。同じ世代の同じ志を持った人たちと一年間密度の高いそして充実した生活を共にすることによって、自分の英語力に対する劣等感が打ち消され、自分の英語力に自信を持ち始めると同時に、私の英会話も急速に上達していきました。
普段の生活の何気ない会話から政治、歴史、宗教などに及ぶさまざまな分野での意見の交換、所属先NGOの運営に関しての度重なるミーティングでの発言など、自分の存在や価値が認められ私のより積極的な参加が促され、お互いを仲間として認め合い理解しようと相互に努めたとき、私はやっと'英語'から開放され本来の自分自身のあり方に価値を見出すことが可能になりました。
日々、英語を話すことがあまりにも自然に感じられるようになり、異文化を体験するという以上に、互いの意見や認識を確かめ合い、そして新しい独自の価値観を創造していく楽しさを覚えました。その頃になると英語は自ずと上達し、文化的要素の含まれる言い回しを使って彼らとふざけたりして英語を楽しめるようにもなりました。
今、スペイン語を学びながら、新たな一歩を踏み出しました
私の英語は今でも、英語を母国語とする人々にくらべると表現力や語彙幅に欠け、発音も常に正確なわけではありません。帰国後のTOEFL®テストの結果は560点(PBT)と、全く自慢のできる数字でもありません。しかし、海外での生活を通して私は点数に代えられないもの、つまりかけがえのない経験や友達を得たことを嬉しく思います。
これらの経験や友達は、手段としての英語を通し私に深い影響を残しただけでなく、これから生きる希望や目的をも与えてくれました。
現在、青年海外協力隊員としてドミニカ共和国のあるNGOに派遣されスペイン語を学びながら自分の理想とした社会のために、あるいは自己実現のために、今までの経験をもとに、新たな一歩を踏み出しました。
これから二年間この国で活動していくわけですが、留学中に得た経験を生かして米国での大学生活同様、スペイン語を手段とし現地の人々の価値観に触れつつ彼らと共に生活向上を目指していきたいと思っています。