ボランティアすればアメリカの大学に入りやすい、そのウソとホント

アメリカの大学の願書には、「課外活動」とか「ボランティア活動」という項目があります。

しかも、けっこう記入スペースが大きいのです。

アメリカの大学が求めるリーダー像

留学を推進している日本の高校(とても少数ですが)の進路指導の先生が、このことに言及し、生徒たちにボランティアをするよう指示しているようですが、まぁハッキリ言って、高校の途中から慌ててボランティアなんてしたって、Too Lateです。

もともとアメリカの大学は「リーダー養成」のためにできたものです。

リーダーには、人から尊敬される人格が必要ですから、つねに人のためを考え行動できなければなりません。

ハーバードなどが理想とする学生は、小さいときから自分の人生にどのような夢をもち、どのような行動や努力をし、結果を残したか(学校の成績です)、どのような社会貢献を考え、どのような行動をとり、結果を残したか(ボランティア等々)、それを周りの人たちが見てどのような評価をしたか(推薦状)、その上、大学に来たら、他の学生によい影響を与えるだけの余力がある、そんな人物です。

入学するためだけに必死に受験勉強してきたような者には興味がないのです。

「社会貢献」なんて日本の高校生はあまり考えたことがありません。

偏差値を上げることにのみ熱心ですから、アメリカに留学することになって、突然、「社会貢献だからボランティアをすればいいんだ」となっても、そう辻褄は合いません。

アメリカに根づくボランティア精神

キリスト教の国、アメリカでは、小さいときから教会に通って寄付(donation)をすることに慣れています。

教会の聖歌隊や、社会奉仕の行事にもよく参加します。また、近くの老人ホームに1年間、週に何時間かお手伝いに行くことが高校の卒業単位として必須になっていたりします。

町のほとんどの人が消防団に入っているなんてこともあります。

夏休みも3か月くらいありますから、いろいろなボランティア活動に参加する時間もあります。

私の友人の大学教授は、自分の母校に寄付するのに1ドルの小切手を切っていて、私は「1ドル!!」とビックリ仰天したのですが、本人は「1ドルでも毎年ちゃんとするのが大切だ」みたいなことを言っていましたから、まぁ、寄付に対する考えかたは日本人と根本的に違うと思います。

ボランティアについてもそうです。

別の科学者の知人は、所属する教会の、日曜の礼拝に参加する人々の送り迎えのバスの運転手を何十年にもわたってやっていました。

子どもたちは、そんな親を見て育っているのです。

楽器やスポーツは、「続ける」ことで評価される

アメリカの大学の入学許可事務所(Admissions Office)は、入学審査を一手に引き受ける部署ですが、願書にウソがないかを見破る目をもっています。

願書の項目(成績、推薦状、エッセー)はもちろん、ときには面接を通じて、じっくり見て矛盾がないかどうかを考えるのです。

アメリカの大学の願書にボランティアの実績を書かなければならないからといって、慌ててボランティアをやって書き込んでも、その目的が見破られる可能性が大きいのです。

そんなことより、小さいときからピアノを習っていたのなら、高校受験だ大学受験だと言って止めずに、ずっと続けましょう。

音楽は自分も楽しめますし、周りの人をも楽しませることができます。

クラブ活動も受験だからといって止めないで、最後まで続けましょう。生徒会委員や学級委員にも積極的になりましょう。

だれでもやれる美化委員だっていいのです。2年でもやれば、ちゃんと願書に書けます。

アメリカ人も、課外活動の大きな枠に、野球とかバスケットボールとだけ書く高校生もいるのです。

ドップリ野球にハマって、地区で優勝していたりしたら、とても評価されます。

ありのままの自分で勝負しよう

大震災があったので3日間ボランティアに行ったとか、近くの老人ホームに1度だけ、学校から歌を歌いに行ったとかいうことは、あまりボランティアをやったという形では評価されません。

もっと日常の中にあるべきものなのです。

夏休みも短く、宿題がたくさんあったりする日本では、ボランティアを経験する時間もありません。

ですから、そんなムリをせずに、ありのままで大丈夫です。

長く続けたバイオリンの経験でも問題ありません。

作為的な行為が最も嫌われます。

とはいえ、いつも目の前にニンジンをぶら下げられて、一発勝負で、受験する・就活する、という考えを植えつけられている日本の若者たち、大丈夫かしら?

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留学相談 留学講演会

著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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