教育費を抑えてアメリカの大学に留学する裏ワザ
アメリカでは「受験」という言葉が一人歩きすることはありません。
入学時期も9月と1月にあるので、「受験シーズン」といったものもありません。
子どもを痛めつける日本の受験システム
かたや日本では、受験に振り回される人がますます増えているように思われます。
小学校受験失敗、中学校受験失敗、高校受験失敗なんて子どもさえいる始末。
こうなると、もう受験はただただ子どもを痛めつけているとしか思えません。
受験によって自信を得るということもあるのでしょうが、劣等感を植えつけられている子のほうが圧倒的に多いように思います。
私が大学に入った頃は、「女子大だから」とか「お嬢さん学校だから」とか、何か特徴のあることで大学を選ぶ人もたくさんいたのですが、いまはともかく偏差値で受験大学を決めます。
偏差値がちょっと足らないと、もう負け犬みたいになります。
私から見たら「いい大学じゃん」と思うところでも、「偏差値が低くてこの大学にしか入れなかった。本当はイヤでしょうがない」という人もいます。
ちょっともう、行きすぎではありませんかねぇー。
小学生の3人に2人が中学受験!?
私の長男が小学校6年生のときに「栄さんのところが中学受験しないと聞いてホッとしました」と何人かのお母さんに声をかけられてびっくりしたことがあります。
いまや東京都内の公立小学校には、3分の2くらいの子が中学受験をするところもあります。
中学受験のためには小学校4年生くらいから塾に行くのが当たり前みたいになっています。
やはり私の長男が高校を受験するとき、進路面談で「都立高校1校しか受けない」と言ったら、先生にビックリされて、「そんな人はいません。都立と私立を受けてください」と言われました。
学校側が「ここなら受かりそうだ」と知らせてくれた私立高校は、まったく聞いたことがない高校で、「何のために?」と思って、うちの息子は都立1校しか受けませんでした。
まぁ、そういったことができたのも、私は留学カウンセラーですから、「高校なんて日本だけじゃない。アメリカもあるし、何とかなるよ」という考えをもっていたからです。
だいたい日本の受験システムが、「この道しかない」と思わせることに問題があるのです。
アメリカの高校という選択肢
私は、友人たちに「子どもにお受験なんていらないよ。高校は場合によってはアメリカのボーディングスクール(寮制の高校)に入れればいいから。そのときはちゃんと面倒見てあげるからね」とつねづね言っていました。
ところが、いまやボーディングスクールの学費の高いこと高いこと。
1年の学費+寮・食費で70,000ドルくらいします。
お祖父さんお祖母さんの学費贈与があっても、ちょっとムリじゃないですか。
そもそも私だって、孫をボーディングスクールに行かせるつもりですが、とても息子が支払えそうになく、私が全面的に援助するとなると、2人の孫のために(もう1人増えるかもしれません)、多額のお金を用意しなければなりません。
そうだ、飛び級すればいいんだ
それで、また別の方法を考えました。
地元の保育園から小学校、中学校、高校まですべて公立に行き、高1のときに交換留学か夏期の留学プログラムでアメリカを体験しておいて、高2の夏に高認(高等学校卒業程度認定試験)を受けて、高2の1月からアメリカの大学に入学するという方法です。
いわゆる飛び級です。
アメリカの大学は16歳・17歳でも入学させてくれます。何もすごくできる子である必要はありません。
アメリカの高校の授業レベルは日本の中学校くらいですし、アメリカの大学1・2年の科目は日本の高校のおさらいくらいですから、学力的な心配はいりません。
高認だってそんなにむずかしいものではありません。
リベラルアーツ・カレッジ(寮制の小さな私立大学)なら、先生もスタッフもみんな親切で、英語ができなくてもきちんと面倒を見てくれます。
少しゆっくりしたペースで単位をとって、5年かけて卒業してもいいではないですか。
日本の高校生活が楽しかったら、もちろん日本の高校を卒業すればいいのです。
ただ日本では、高3になったらもう受験受験で、どうしようもありません。
高3の9月からアメリカの大学に留学するのでもいいでしょう。
この方法であれば、日本では保育園から高校まで公立に行くことになりますから、教育費に余裕ができ、アメリカの大学の学資を捻出できます。
不登校生が15万人いる時代の進路とは?
「だから受験なんかにエネルギーをかけなくても大丈夫」と友人たちに言っています。
もちろん、みんながこの方法をとるとは限りません。
でも少なくとも、「選択肢はほかにもあるんだ」ということで心の余裕ができます。
「道は一つしかない」と思いこむから、受験に振り回されるのです。
人生はたった一つのことですべてが決まるほど単純ではない、ということはみんなわかっているのですが、なぜか受験となると、道は一つしかないという錯覚に陥ってしまうのです。
不登校の中高生が15万人もいるんですよ。
通信教育やオンライン高校やインターナショナルスクールなど、じつにさまざまな進路があるのです。
この「飛び級留学」も一つの道だと思ってください。
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著者情報:栄 陽子プロフィール
栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。