コロナ過でも「留学をやめる」選択肢はなし! 2020年新学期、アメリカ留学決断の秋

こんなときに本当に留学したの?

アメリカの大学の授業が無事に始まって、何とか学生たちも大学も新しい形のキャンパスライフに慣れてきた頃です。

今回、多くの人から「えっ! 本当に留学したの?」「どうやって行ったの?」「そんなことできるんですか!?」など、あまりに驚かれることが多くて、私はそのことに驚いてしまいました。

たしかに外務省は、アメリカの危険レベルを「3」にして、渡航を控えるように、としています。

アメリカ大使館の領事部(ビザの発行は領事の管轄です)も、積極的に動いているわけではありません。

しかし、アメリカの国家も大学も、留学生に「来るな」とは言っていませんでした。

そして全米の大学の25%が、キャンパスと寮をオープンさせました。

学生ビザがおりるケース、おりないケース

トランプ大統領が中国憎しの延長で、学生ビザを出す出さないのというトラブルはありましたが、授業をすべてオンラインにするという大学については、新規の学生ビザを発行しないという形で落ち着きました。

対面とオンラインを組み合わせる「ハイブリッド」の場合は、ビザが出ます。

ハーバードなど都会にある大規模な大学は、当然、対面授業はできませんし、寮を開けるのもむずかしいので、すべてオンラインになりました。

ハーバードは、今年9月の入学生が20%減ったと発表していますが、その多くは留学生です。

田舎の小さな大学は、周囲であまりコロナ感染症が出ていないので、どこもギリギリまで悩みました。

どの大学でも、ありったけの知恵を絞ったものと思います。

各大学が新学期をどのようにするのか、その方針を刻々と知らせるデータベースもネットで公開されました。

留学先を変える? 延期する?

私たちの研究所は、ずっとアメリカの各大学と連絡をとってきました。

何しろ、1人ずつ留学先が違うし、また、1人が数校の大学に受かっているので、どの大学にするかを決めるのに、いつもなら奨学金の多い学校というような基準があったのですが、そこへ、大学がキャンパスをオープンするかどうか、という要素が加わったのです。

おまけに大学も、なかなか判断ができず(コロナの状況が毎日変わるからです)、結論を出すのもギリギリになったところが多いのです。

第一希望の大学がオンラインのみということになって、泣く泣く第二希望にする学生もいました。

入学を1月に延ばす人、来年にする人もそれなりにいました。留学をとりやめた人が1人だけいました。

それでも、約80名の学生が渡米したのです。

臨機応変な対応が求められたビザ申請と渡米

ビザも入学日の30日前にしか申請できませんでした。

おかげで入学日に間に合わなかった人もたくさんいました。

「入学日に遅れてきてもOK」というレターを大学からあらためて発行してもらわなければなりません。

細かな作業がたくさんありました。

当研究所は45年以上もこの仕事をしていますので、入学日に遅れたときの対処くらい、何でもありません。

担当カウンセラーとボストンオフィスが連携してどんどん片づけます。

また、第一希望に行けなかった場合も、次の年に行くかもしれないので、大学側に、その旨を伝えておきます。

また、第二希望の大学でとるクラスを検討して、もし1年後に第一希望の大学に行くことになっても、単位をちゃんと移せるように学生に指導しておきます。

私たちに、「出発しない」という選択肢はありません。

1年も2年も、人によっては3年も5年も前から進めてきた計画です。

私たち研究所の中で、「渡米しない」という選択は一度も検討されたことがありません。

自分たちの長年の経験と勘を信じて行動してきました。

情報をこまめに得て、どうすれば出発できるかを考えて進んできました。

スタッフから「もうダメだ」とか「どうしていいかわからない」という声は一度もあがりませんでした。

考えてみれば、世の中の風評も意識したことがありません。

ただただ自分たちで情報を収集して、自分たちで判断して行動してきました。

自分で下した留学の決断

アメリカは怖いと思っていたけれど、こんなに大学の先生やスタッフが一丸となって、学生のためにいろいろやってくれるとは思わなかった。

他の兄弟は日本の大学に行っているが、寮生活でもないのに、大学にも行けない、オンラインの授業もよくない、日米の差に驚いた、という保護者のかたからの声もいただきました。

「本当にアメリカに行ったの?」という驚きの声があまりに多くて、あらためて私たち自身の行動を振り返ってみました。

日本では交換留学も短期留学も語学留学もすべて中止になったとのことです。

旅行と留学の不要不急は、どこで分かれるんでしょうか。

学生ビザ申請は、全部、緊急という立場で行いました。

自分たちで考え、自分たちで行動してきましたが(いつものことですが)、学生たちも、ちゃんと自分1人ひとりで考えて決断し、行動しました。

誇らしいことです。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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