留学生が減り続けるアメリカ、起死回生なるか?

アメリカは11月3日の大統領選挙のことで国中が沸いています。

日本は安倍さんの突然の引退でみんなビックリしましたが、新しい首相は国民に関係なく密室で決められたような感じですね。

「お主も悪よのう」と時代劇に出てくる悪代官みたいなのが陰ですべて牛耳っているような話で新しい首相が決まりました。

コロナだけではない 留学生減少の理由

アメリカでは、大統領選とは別に、留学生が減っているというのがちょっとした話題になっています。

移民の国アメリカは、留学生は教育レベルも高くたくさんのお金を払ってくれる、願ってもない、ある意味お客であり、将来のよき移民です。

2020年は、コロナ感染症のため、授業をすべてオンラインで実施する大学への新しい入学生には学生ビザが発行されないという大事件がありました。

ハーバード大学をはじめ、留学生の多いボストン大学なども留学生数を大きく減らすことになってしまいましたが、じつは、その前からトランプ大統領の言動や、銃の事件、学費の異常な高騰のせいで、アメリカに留学するのはどうかな、という気運がアジアを中心に高まりつつあったのです。

2016年から留学生の数は減少に入っています。

トランプ大統領の、中国からの留学生に対するビザの締めつけや、大学・大学院卒業後、仕事に就いてHビザを取得することへの嫌がらせ的な言動などが、ニュースで何度も取り上げられてきています。

また、ハーバード大学などの学費・寮費・食費が約7.2万ドル、州立のUCLAでも約6万ドルという高さ。

こういったことがアメリカへの留学を躊躇する原因にもなっているのですが、そのことでイギリス、カナダ、オーストラリアが留学生の数を増やしているというのです。

こういうことが続けば、大学や大学院の収入としても、将来の人材確保という意味でも大きな問題になると、アメリカの高等教育関係者はとても心配しています。

留学生は他国へ流出していくのか?

私は、これは一時的なことであって、そう心配する必要はないと思います。

そもそも大学数が圧倒的に違うからです。アメリカの約4,000校に対して、イギリスは162校、カナダ94校、オーストラリアは43校です。

いつだったか忘れましたが、オーストラリアのある大学にインド学生が殺到して、寮がすべてインド人に占められてしまい、我が大学を返せとオーストラリア人学生が大騒ぎしたということがありました。

たった41校しかない大学に中国やインドからドッと学生が押し寄せたら大変なことになります。

どの国も、もっと留学生を増やそうとビザの緩和などをやっているようですが、もともと学校の数が少ないのに、劇的に留学生を増やすのはむずかしいでしょう。

またアメリカの大学は、2年間の一般教養があり、その後もいろいろなクラスをとることができ、理系・文系も関係ありませんが、ほかの国は、3年間(イギリス)ないしは4年間、専門のみを勉強することになっています。

すなわち、生物を専攻したら4年間生物のみを勉強するのです。

これは日本よりキツいものがあります。

もっとも、いまや何でもITですから、コンピュータやエンジニアのような分野だと、そればかり4年間やるほうが仕事に就きやすいというのもあるかもしれません。

何か未来が殺伐としていくような気がしないでもありません。

各国が競う、優秀な留学生人材の獲得

仕事に関していうと、アメリカは卒業すると1年間、インターンという立場で残って、就職活動することができます。

STEM(science, technology, engineering, and mathematics)の分野にいたっては3年間インターンができるので、高給取りのインターンとして3年間の契約で雇ってもらえる可能性もあります。

トランプ大統領は、Hビザにイチャモンをつけている割には、STEMのインターン3年間については何も言っていないので、わけがわかりません。

オーストラリアはインターンが2年、カナダは9か月です。

イギリスは最近になって2年に伸ばしました。

留学生をこの際、もっと獲得しようというわけです。

今後、アメリカと中国の仲はどうなるかわかりませんが、中国を警戒しているのはカナダもオーストラリアもみんな一緒です。

大統領選でバイデン氏が勝てば、留学生の流れはまた少しずつ戻ると考えられます。

世界の留学生の話題で、日本はまったく話に上がりません。

今年は日本語学校に留学してくる人はほとんどゼロに近く、日本は日本語学校から大学や専門学校に進学する人が多いので、来年の留学生の入学は大幅減になるはずですが、日本の中でも、あまりニュースになりません。

残念なことです。

【参考データ】(WAMU-University Radioのまとめによる)
・ 2016年からの3年間で、アメリカへの留学生は2.5%減った。
・ コロナ禍によって、2020年秋学期に入学した留学生の数は、2年前と比べて、大学によって63%〜98%減る見込みである。
・ メリーランド州、バージニア州、ワシントンDCをあわせて、留学生の減少による経済的な損失は2億ドル以上になる。
・ 2018~2019年度、留学生がアメリカの経済にもたらした効果は40億ドル以上にのぼった。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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