1つじゃない。教育の選択肢、留学のやりかた

飛び級、通信、ホームスクール

アメリカの教育はとても多様性に富んでいます。

まず「飛び級」という制度があって、よくできる人(早く成長するという人もいます)は、どんどん学年を飛び越させますので、16歳で大学に入り20歳で卒業なんていうのも可能です。

また、普通の高校と違って、通信教育や、チャータード・スクールといって、地域で独自につくられた学校や、ホームスクールといって、家庭で受けた教育でも、大学に入学できます。

また、年齢が18歳を過ぎていても、もとの国であまりちゃんとした教育を受けていない移民の人でも、高校で勉強せず中退してしまった人でも、地元に入学できるコミュニティ・カレッジ(二年制の公立大学)があります。

ここは職業訓練所のようなところで、平均年齢が25歳、卒業率も20%くらいですが、それでも、そういう大学を経て、勉学に目覚め、四年制大学へ編入してくる人もいます。

アメリカの新しいファーストレディは、そのような学校で教えていて、貧しい人たちの教育に力を注いでいることが好評価を受けています。

20歳になって、自分の進路に気づくこともある

「編入制度」もアメリカ独特のものです。ハワイ育ちのオバマ元大統領は、ハワイから西海岸に上陸してリベラルアーツ・カレッジに入学し、3年目にニューヨークのど真ん中のコロンビア大学に編入しています。

アメリカの高校では、大学受験に対して特別な指導をそんなにしません。

また、親も大学に行くために勉強しろとうるさく言う人も少なく、塾もないので、とりあえず地元の大学とか、お母さんの卒業した大学とか、願書出したらたくさん奨学金をくれた大学とか、さまざまな理由で大学が選ばれます。

また大学生でも、20歳近くになって、何か自分の将来を具体的に考えるようになったとか、やってみたいことがわかったとか、もっと勉強の厳しい大学に行ってみようとか思って編入する人たちもいます。

初めて親から離れて寮生活をして、ちょっと大人になって、自分自身について考えるのです。

大学院で学ぶ人もいろいろ

医学や法学やカウンセリングなど、高度な専門性が必要なものは大学院でしか学べません。

大学院進学にあたって、とくに重要になるのは大学の成績です。

したがってアメリカの学生は大学での成績をとても気にします。

就活のときも、必ず、大学の成績を書かなければなりません。

私がミシガンにある大学院に行っていた頃、クラスに現役の中学校や高校の先生たちがいました。

ミシガン州では10年に1度、大学院レベルで30単位(約10科目)の授業をこなさないと、先生のライセンスの更新ができないそうです。

そんなこともあって、大学院には本当にいろいろな年代の人がいます。

バイデン大統領の夫人も、何度も大学に戻って、とうとう博士号まで取得したのです。

学歴がいらなくなる?

これからAIをはじめ、人間の存在そのものをおびやかすかもしれないものがどんどん出てくると、6歳で小学校に入り22歳で大学を卒業して就職して定年を迎える、なんてことはおそらくできなくなっていくでしょう。

GoogleなどのIT企業は、自分たち独自のカリキュラムをつくってオンラインで授業を行い、この授業を成績Aで修了した者はGoogleで働けます、といったようなことを始めています。

もう、学歴なんか関係ないわけです。

でも、その知識や技術が古くなってしまうということは当然あります。

それもかなり早いスピードで起きるはずです。

そうなるとその人はもうクビ、という結果になってしまいますが、アメリカのように多様性に富んだ教育システムでは、また大学や大学院に入学したり、オンラインで新しい勉強を始めたり、ということを年齢に関係なく行うことができます。

たった1つの進路しかないと思い込んでいる日本人

当研究所ではさまざまな人の相談を受けますが、日本では教育のありかたがたった1つしかないと思い込んでいる人が、とても多いとつくづく感じます。

小学校に入ったら中学受験を考え、高校生になったら大学受験の準備、大学生になったら就職のことを考える。

みんなと同じ行く道を外れたら、もう負け犬になって、もとに戻ることはできない。

たった1年の留学でも、高校生なら学年が遅れてしまうとか、大学受験の勉強に遅れるとか、大学生も、就職活動の時期に間に合わないとかいうような理由で、あきらめる人がたくさんいます。

アメリカの多様性に富んだ教育のことを知ると、ガチガチに偏っていた頭がちょっとほぐれます。

高認(高等学校卒業程度認定試験)をとってアメリカの大学に行くこともできます。高認で飛び級もできます。

日本の大学から単位をもって編入もできます。放送大学の単位の移行も可能。

放送大学を卒業して大学院にも行けます。どの方法も、年齢に関係ありません。

仕事をするのも、舞台は世界です。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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