<AIの時代>を生き抜くカギはMBAよりMFA!?

注目されつつある「美術学修士」

アメリカの大学院の学位でMFAと呼ばれるものを知っていますか?

みなさんMBAは聞いたことがあると思います。

これはいわずと知れたMaster of Business Administrationで、経営学修士です。

通称ビジネススクール(経営大学院)で取得します。

これに対してMFAは、Master of Fine Artsで、美術学修士です。

おそらく日本でこの学位を授与しているのは一部の美大のみでとても少数だと思いますが、アメリカには200以上の大学院がこの学位を授与する課程を設けています。

そして、このMFAが最近注目されつつあるのです。これからの時代は「MBAよりMFA」だともいわれています。

アメリカの大学で重視されるアート

「近い将来、AIにさまざまな仕事がとって代わられる」とはよくいわれることです。このような時代においては、直観的に物事をとらえる「感性」や、物事を解決するための「創造性」が、人間としての価値を発揮する武器になります。

ビジネスをただ論理的にとらえるだけではダメだということです。

日本では「アート」というとちょっと特別なものとして考えられがちです。

「美大なんかに行ったら食っていけない」などという人もいまだにたくさんいます。

カウンセリングで「アメリカの大学は成績がとても重視される」という話をすると、「5教科だけでなく美術や体育の成績もですか?」と質問する人がいます。

アメリカには日本のような主要5教科という考えかたはありません。

美術も音楽もとても大切です。

そもそも、アメリカではごく普通の大学でアートや音楽を専攻できます。

しかもデッサンの基礎やピアノのバイエルから学べます。

デッサンの真の意味とは?

デッサンは、「物事をとらえる」という意味でとても重要です。

増村岳史さんの『ビジネスの限界はアートで超えろ!』によると、デッサンとは、目の前にあるものを正確かつ緻密に見て再現することを学び、また対象を俯瞰して全体像をつかみ、徐々に細部を詰めていくということだそうです。

私などはいつも目の前にあることをいい加減に見ていますから、正確に見るとか全体像をとらえてかつ細部まで把握するなんてことは考えたことがありません。

ですからこのデッサンの意味を知ったときは驚きでした(これからデッサンを習うにはもう遅すぎる年齢ですが……)。

「アート離れ」が加速する日本の大学

「AIがもてないものは感性だ」とはよくいわれていますので、芸術の重要性はなんとなく理解できます。

iPhoneがいかに人間の感性を重視したデザインを施されているかを見てもわかりますね。

ところで、アメリカではMFAが注目されつつあるということになると、日本はとても危ないのではありませんか?

日本の大学は「できるだけ早く専門性を身につけろ」とかいって、1・2年次の一般教養をどんどん削っています。

大学で美術を学ぶ機会なんてどれだけあるでしょう?

アメリカの大学では、経済学とアートの2つの分野を専攻することもできますし、選択科目としてコンピュータの科目をとってもかまいません。

美術、音楽、コンピュータなどの課程はどの大学にもあって、ない大学を探すほうがむずかしいくらいです。

最近、日本の大学の学長などが、「AIの時代になると人間は科学的なことだけではなく、哲学的にも文学的にも、あらゆる角度から人間の生きかたを考えなければならないので、一般教養をもっと強化すべきだ」と言っていますが、あまりにも遅すぎると思いませんか?

これからの世界で生きていくには、左脳(論理的なことを司り、AIが肩代わりできることも多い)と右脳(感性や感覚)の両方をフルに使っていかないと生き残れないでしょう。

ノーベル賞をもらった人たちも、「たまたまひらめいた」といったりするじゃないですか。

人間にはひらめきが大切で、それには芸術がとても重要で、しかもデッサンは物事をきちんと把握するという論理的な力も養ってくれるということですね。

アートからあまりにも遠ざかっている日本の大学生のみんな、生き延びていけるかしら。

アメリカでMFAを取得できる大学院には、スタンフォードやUCバークレー、イェール、NYU、ボストン大学なども含まれます。

入学条件は、大学の成績がよいこと、大学での専攻はアートでなくてもいいが、アート系の科目をいくつかとっていること、作品を20点ほど(ジャンルはさまざま)提出すること、などです。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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