アメリカのビジネススクールから入学許可証が届いたけど、本当に大丈夫?

願書と成績表だけでMBA留学が叶う?

最近、このような留学相談をよく受けます。

アメリカのとある大学院に、願書と成績表を提出したら、入学許可証が送られてきたけど、大丈夫でしょうか、というものです。

スカイプで面接をしたという人もいます。面接の結果は散々で、とてもダメだと思っていたのに入学許可証が来たというのです。

めざす学位はMBA(Master of Business Administration:経営学修士)です。

MBAを望んでいたのに入学できるのはMS(Master of Science:理系の修士)の課程になっていた、という人もいます。

その大学院のことは、留学エージェントに紹介されたという人もいれば、インターネットでMBAを探しているうち広告を見て知ったという人もいます。

この入学許可証に共通しているのは、「入学までにTOEFL®スコアを一定以上とること」と、「期日までに数千ドルのディポジット(一時金)を送金すること」という条件がついている点です。

これらの条件を満たして、初めて大学院への入学が叶うというものです。

ディポジットの支払期日は入学許可証の発行日から1か月くらいです。TOEFL®スコアの条件は入学までに満たせばいいので、もう少し先になります。

また英語力が足りない場合は、「4月から付属の語学学校に参加してもよい」と書かれている場合もあります。

学生は外国人ばかり

この大学院、メインのキャンパスはアメリカにありますが、ほかにもロンドンや上海、ドバイなどにキャンパスをもっています。

1年コース、2年コースとあって、学費は高く、生活費も高くつきそうです。

しかし、なんといっても大きな特徴は、学生のほとんどが、英語が母語ではない留学生で、アメリカ人の学生はわずかしかいないこと。

この許可証を手にした人は社会人が多いと思われますが(MBAなので)、中には大学4年生もいます。

社会人は、自分で貯めたお金で留学するつもりです。

ディポジットを支払わなければならないことにみんな躊躇するようで、「この大学院は本当に大丈夫ですか?」と質問してきます。

かつては企業派遣のメッカだった

たしかにこの大学院は昔から存在していて、当研究所からも、企業派遣などでどうしても1年でMBAをとらなければならないので、アメリカ人はいなくても他国の企業派遣の学生たちと交流するのは、それはそれでプラスになるということで本人が納得して留学したことがあります。

その当時は、学生のほとんどが海外からの企業派遣の人ばかりだったと記憶しています。

また何千ドルものディポジットを支払わなければならないなんていうこともなかったと思います。

調べてみると、大学院の経営母体が変わっていて、大学院名も変更され、メインキャンパスの所在地も変わっていました。

とはいえ、この大学院自体はちゃんとしていますし、別に騙しでも詐欺でもありません。

そう私が答えると、みんなホッとします。

アメリカ人の学生はほとんどいないのはなんとなくわかっているようですが、それをはっきり言われると、今度はほとんどの人が困惑します。

自分の気持ちをどう整理していいのかわからないのです。

それでも、アメリカだけでなく、他国の都市で半年ずつ勉強してもいいようですから、それはそれで大きなメリットだとか、1年でMBAをとれるのは魅力的だとか、あらゆる国の人と英語でコミュニケーションをとるから、英語力はちゃんと身につくんではないかとか、なにかと自分を鼓舞する材料を探すことになります。

まぁ、アメリカ人に囲まれて身につく英語と、留学生ばかりでやりとりする英語とは、どこか違う気もしますが、いまや韓国人と中国人が英語でビジネスする時代ですからねぇ。

何とも言えません。

留学する・しないは本人次第だけど

この入学許可証をもらった人たちは、「いろいろ気になるところもあるが、もし大学院として問題がないのであれば、ディポジットを支払ってしまおう」という気持ちがとても強いのです。

というのも、このお金を支払えばもうアメリカの大学院に入学できて、MBA(またはそれに準ずる学位)を取得できるからです。

複雑な出願書類を揃えたり、推薦状を取り寄せたり、エッセー(作文)やレジメを書いたり、GMAT®(ビジネススクールをめざす人が受ける共通テスト)なんておよそどう勉強していいかもわからないテストに悩むこともない、というわけです。

それで私は、「要は、あなたはこれで留学準備のすべての重荷から逃れられるから楽なんじゃないの? とりあえず留学するという目的は達した(と思う)のでホッとしたいだけでしょう。別にそれは悪いことでもないじゃない」と言うことになります。

「親のお金をこんな中途半端なことに使うわけにはいかない」と言う大学4年生もいれば、「自分のお金だから自分の好きなように使いたい」と言う社会人(当然でしょう)もいます。

その大学院のことを悪く言うつもりはまったくありませんが、なんだか人間の弱いところ(とくに日本人のテスト恐怖症・英語恐怖症)をうまくついてくるなぁと思ってしまいますね。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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