子どもを留学させるために親ができること

先日、0歳から6歳のお子さんが通う塾のお母さんたちの集まりで講演をしました。

お母さんに混じってお父さんもいたので、ずいぶん赤ちゃんの教育に熱心だなと内心驚いていたら、後で、シングルファザーという立場の人もいたことがわかって、ますます驚きです。

日本の受験はムダ!?

みなさん若いので、これからの世界の変化や日本の未来に自分たちがいかに対応していけばいいのか、ましてや子どもたちはどうなるのか、という不安が強いようでした。

この塾を主催するかたの考えは、日本の若者が慶應・早稲田などに向けて受験勉強するのはムダであり、かつそんなことでは世界に負けてしまう。

日本の教育には早く見切りをつけて、飛び級でアメリカの大学に進学してしまうのが一番いい、というちょっと突出したものです。

なんでも、お知り合いになったアメリカ人の子どもがみんな13、14歳で大学に入学していることを知って、深い感銘を受けられたようです。

アメリカの大学への「飛び級」留学

私の研究所からも、毎年数人、飛び級でアメリカの大学に入学する人がいます。

昨年は、20歳でアメリカの大学を卒業した子が出たので、なにか嬉しい気分になりました。

アメリカでは飛び級は別にめずらしいことではありません。

日本人でも、文科省が実施している高認(高等学校卒業程度認定試験)にパスすれば、16歳でもアメリカの大学に入学できます。

ところが日本の文科省は、18歳にならないと正式な合格証明書を発行しません。

したがって「飛び級」留学にあたってはアメリカの大学との交渉が必要です。

それでも日本人が飛び級してアメリカの大学に入学するのは可能なのです。

子どもがアメリカに興味をもつために

その日の講演は、とくに飛び級の話ではなく、「アメリカの大学は、入学がやさしくて卒業がむずかしい」というシステムや、「日本が世界から取り残されつつある」という現実などのお話をしました。

質疑応答の時間も設けられましたが、いただいた質問は、こちらが思ったよりも具体的で、「留学のためにいくらのお金を用意しなければならないか」とか「アメリカの大学に進学するにはいつから具体的に準備すべきか」といったようなものでしたが、その中にとても興味深いものがありました。

「いつから子どもにアメリカに興味をもたせればいいか」「どのような方法で興味をもたせればいいか」「子どもがアメリカに行きたくないと言ったらどうすればいいか」といった質問です。

ホームステイはおすすめしません!

はてさて、いまの日本の子どもたちは、アメリカに対してそんなに興味をもっていないのです。

外国そのものへの興味ももっていません。

日本のように、食べものがおいしくて、安全で、コンビニやゲームに囲まれた、便利で楽しい国はそうないからです。

それはともかく、できれば、小学校高学年からアメリカのサマーキャンプに参加させるといいでしょう。

低学年のうちは家族と一緒にアメリカを旅行することをおすすめします。

アメリカの大学のカフェテリア(食堂)などは自由に入れますから、キャンパスの雰囲気を親子で楽しむのもいいかもしれません。

日本とのスケールの違いや、世界中からいろいろな学生が来ていることに興味をもってくれればいいのですが。

アメリカ留学を希望する人には、アメリカ映画が好き、という人がたくさんいます。

ハリウッドの力はいまだに絶大で、世界に影響を与え続けています。親子でアメリカ映画に親しむのも1つの案だと思います。

ホームステイはあまりおすすめできません。

いまやそんなにいい家庭にはめぐり合えないからです。

アメリカでは、ファミリーの教育レベルが高いほど、お母さんも外で重要な仕事をしていますから、他人の子どもを預かれません。

ホームステイでひどい目にあって、アメリカが嫌いになったとか、食事があまりにひどくてアメリカがいやになったという例が少しずつ多くなっています。

留学を「あきらめる」のも1つの選択肢です

「いろいろやった上でもアメリカに行きたくない、となったら、どうすればいいですか」という質問もいただきました。

「あきらめるんですね。アメリカの大学に行かなければすべて終わりというわけではありません」とお答えしました。

英語でadult enoughという言葉があります。大人として扱って大丈夫、というところでしょうか。

中学3年生でも、自立できて、周りの環境に適応できる能力をもっている子もいれば、高校3年生になってもまだ親離れできない子もいます。

これは勉強がよくできるとか英語力が高いとかいうことと別問題です。

留学であれ飛び級であれ、adult enoughであるかどうかがとても重要です。

しかしいまの日本は、親も学校も社会もマスコミも、子どもをむやみにかばいすぎではありませんか?

勉強さえできれば、あとはすべて守ってくれるという社会では、肝っ玉の据わった子や冒険心の強い子、新しいものにチャレンジしようという子はなかなか育ちませんよね。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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