こんなに違う、日米の大学生の住宅事情

アメリカの大学は9月が新学期です。

9月の入学に向けて、英語力に自信のない人は、6月くらいから始まる夏期の英語講座に参加するために、5月の連休明けから渡米の準備がいよいよ本格化します。

アメリカの引越しシーズン

日本の大学は4月が入学時期です。おまけに企業の一斉入社とも重なりますので、3月は引越しが真っ盛り。

引越し業者のトラックもたくさん見かけます。

考えてみると、アメリカには、日本のような引越し専門の会社や、梱包から設置まですべてをやってくれる業者はそんなに見当たりません。

どちらかというと、自分でトラックをレンタルするほうが多いと思います。

大学生に限っていうと、基本的にキャンパス内の寮で生活するので、身の回りのものを家族の車に乗せて親や友人と一緒に寮に運びこむというのが、9月にアメリカ全土で見られる風景です。

アメリカのアパート事情

最近は、日本の大学も寮を設けるところが増えているようですが、学生がアパートを借りるというのは大変なことですね。

冷蔵庫から洗濯機まですべて買いそろえなければなりませんから、経済的負担も大変です。

アメリカでは、アパートであっても、冷蔵庫や洗濯機など基本的なものはちゃんと付いていて、ファーニッシュド(furnished)といって、テーブルからソファまで付いている部屋もたくさんあります。

寮生活の食事で10kg太る

私がセントラルミシガン大学の大学院に入学したときは、最初はもちろん寮でした。

したがってスーツケース1つで入寮しました。

ブランケットやシーツは買う必要がありましたが、冬、外は零下10度でも、部屋の中は20度ですから(教室や図書館などキャンパス内の建物すべてがそうです)、日本のような冬用のふとんなどというものは必要ありません。

1970年という時代でも暖房は完璧でした(そもそもアメリカの重油は日本よりうんと安いのでセントラルヒーティングが容易なのです)。

寮の食事は食べ放題・飲み放題(アルコールはありません)で、本当にビックリしました。

牛乳、ココア、コーヒー、オレンジジュースはもちろん、コーラやファンタなど、すべてマシーンで好きなだけ入れて飲んでよく、また朝からベーコンに卵、ドーナツ、シリアル、フルーツもいっぱい。

ランチやディナーはケーキにアイスクリームも食べ放題で、私は驚き、感激し、あっという間に10kg太ったものです。

日本食を食べないと具合が悪くなる

これは寮の食事が問題だと思い、またお醤油味のものがないため、恋しくて恋しくて、なんとか簡単な料理ができるところへ引っ越さなければならないと思いました。

ところが寮生活が原則のアメリカの大学では、9月から翌年の5月まで(これがアメリカの大学の1学年度です)寮に滞在するという契約があって、途中で寮を出ると契約違反になります。

いろいろと知恵を絞った挙句、大学内にあるクリニックに行ってお医者さんに頼みこんで、「日本食でないと体に合わない」というような一筆を書いてもらって、寮の契約を無効にしてもらいました。

バスルームに便器が2つ!?

1月からキャンパスの近くにある、半地下を学生に貸している一軒家に引っ越しました。

個室が5つあって、クロゼットやベッド、机、ドローワーまでそろっています。

部屋に囲まれるようにして家の真ん中にキッチンがあり、共同で使う冷蔵庫や洗濯機・乾燥機(アメリカではこういうものはすべてキッチンにあります)などが備わっています。

バスルームにはバスタブが1つ、シャワーが1つ、洗面ボールが2つ、驚いたことには便器が2つ(間に簡単な仕切りあり)ありました。

アメリカ人はお風呂は1人で入るのに、トイレは隣同士でも平気なのです。

私はあまり料理が得意ではありませんので、もっぱら卵にお醤油をかけて、ご飯を炊いて食べていました。

「国宝ローズ」というカリフォルニア米で、日本米と同じものがあって、値段も日本の5分の1くらいでした。

次の9月からは、大学から車で15分くらい離れたアパートに住みました。

5階建のビルが数棟あって、大学行きのシャトルバスが頻繁に出ていました。

いまの日本でいうちょっと高級マンション並みで、大きなキッチンにベッドルームが2つ、同じ大学院に通うアメリカ人学生とシェアです。

やはり何もかも(机以外は)付いていましたので、引越しも簡単でした。

それでも、コップやお皿を買ったりと、ちょっとずつ物が増えて、卒業して帰国するときにはそれなりに荷物がいっぱいでした。

日本の下宿=アメリカのホームステイ

私は日本では大学まで家から通える学校に行っていて、また、そのままスーツケース1つでアメリカに行ったので、日本のような引越しを考えたことがなかったのですが、日本の大学生たちがマンションやアパートに住むようになったのは、一体、いつごろからでしょうねぇ。

たしか私が日本で大学生だったころは、みんな下宿でしたよ。家の1部屋を貸してもらって、ご飯は、その家の家族と食べる。まさにアメリカのホームステイですよね。

下宿を営んでいる家族は、学生からもらう下宿代が収入だったのです。本当にいまのアメリカのホームステイそっくり。

そんな下宿もすっかりなくなって、学生がいいマンションに住むようになりましたが、最近また、シェアハウスが人気のようで、様子が変わってきています。どうなっていくんでしょう。

アメリカの大学生は、相変わらず、みんな寮です。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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