世界に遅れをとる日本企業。それでも一斉就職をめざしますか?

久しぶりに香港に行ってきました。

九龍側から香港島を見ると、すごく豪華なネオンサインがズラリとあって、とてもきれいなのですが、いまや日本の企業の名前はみんな消えてしまいました。

昔は、TOSHIBA、SANYO、SHARP、SONYなどなど大きなネオンサインはみんな日本のもので、日本の技術力の高さや国力を感じたものです。

しかしいまや日本のネオンサインはパナソニック1つです。パナソニックが日本の企業だと思っていない人も多いでしょう。

もはや日本の存在はまったくありません。

薄れゆく日本の存在感

いまの世界における日本の存在感は急速に落ちています。

その昔、「世界のトップ企業ランキング」といったものに、日本の企業はズラリと顔をそろえていましたが、いまはトヨタくらいでしょうか。

最近発表された「世界の研究開発力ランキング」(新材料や医療化学、環境分野など)でも1、2位を占めるのはアメリカか中国で、日本は3位になる分野もほとんどありません。

また、世界の純利益ランキングを見ても、アメリカの企業が上位を占め、それも鉄鋼や石油ではなく、GoogleやFacebookなどITの分野に変わっています。

ものづくりにこだわっている日本はどんどん置いてけぼりになっているようです。

その肝心のものづくりの分野も跡継ぎがいなくて、どんどん良質な工場がなくなっていき、伝統技術が廃れていくありさまですから、まったくどうなっていくのかと思います。

にもかかわらず日本の教育は相も変わらず、受験一色です。その先は一斉の就活、一斉の入社です。

昔は「選ばれた人たち」、いまは?

日本的発想の(みんなそろって同じほうに向かって努力する)企業が世界ではどんどんダメになっていっているというのに、それでも同じ顔をしたサラリーマンをめざす。

親もそのために塾を含めてかなりのお金を教育につぎこみ、子どものお尻をたたいてどうするんでしょうかねぇー。

数年前、ある銀行の入社式で、頭取が新入社員に「きみたちは選ばれた人である。誇りをもて」みたいなことを言っていましたけれど、今年あたりはどんな話が出るんでしょうね。

だいたい日本のような入社式なんてよその国では聞いたことがありません。

一斉入社、本当にやめるべきです。

同じほうを向いた人を集めて何をやっても、もうAIの時代には太刀打ちできません。

学校で学ばない学校

画一的な教育をやめるべきだとか、教えるのではなく考える教育をすべきだとか言っていますけど、そもそも教育制度を変えなければダメですよ。

6・3・3・4+間髪入れず就職、という制度そのものを変えなければ何も変わりません。

アメリカには「アンスクーリング(unschooling)」というものがすでに始まっています。

学校で学ぶのではなく、年齢の違う子どもたちが自分の思い思いに勉強したり遊んだりする方法です。

字だって覚えたいと思ったときにパソコンを使って覚えればいいのです。

そもそもアメリカには飛び級制度があって、さっさと学年を越えてもかまいせん(先日、ハーバードと高校を同時に卒業した男の子が話題になりましたね)。

アジアの各地でもインターナショナルスクールがどんどんできて、バイリンガル、トリリンガル、飛び級、異なる学年の子が学ぶクラスなど、新しい方法が取り入れられています。

いままでの教育で得てきたものは、おおよそAIにとって代わられるので、まったく違う何かが求められているのです。

日本人が海外に出稼ぎしなければならない時代

日本のある国立大学が、学生全員に留学を義務づけるということを発表してちょっとしたニュースになりましたが、全員に義務づけなければ日本の若者は動かないのかしら。

しかも期間は1週間から2か月ということですから、がっかりです。

留学を義務づけるなんて大げさに言わないで、海外旅行を奨める、みたいな言いかたにすればいいじゃんと思ってしまいますよ。

日本では、介護をする人や店員さんが足らなくてベトナムの人をたくさん呼んで期限付きで働いてもらうことがニュースになっていますが、2018年には日本に68,700人も派遣されたそうですよ。

そうやってベトナムは世界各国に50万人もの派遣労働者を送り込んでいる一方で、アメリカの大学や大学院に留学している人が8万人いるんです。

中国からのアメリカ留学生は30万人ですが、もともとの人口が大きいでしょう。ベトナムの人口は約9,500万人です。

ベトナム人は、イギリスやオーストラリアにもたくさん留学しています。日本人といえば、アメリカに留学している人は2万人に過ぎません。

イギリスやオーストラリアはそれよりもさらに少ないでしょう。

日本は経済第3位の国だから、ベトナムをはじめ貧しい国から日本人がやりたくない仕事に来てもらおう、なんて考えていたら痛い目に遭いますよ。

10年も経たないうちに大きな変化が起きるでしょう。日本人もいっぱい出稼ぎに行かなければならなくなるかもねぇ。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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