アメリカの大学生が必死になって勉強する理由

オンライン授業、日米の大学の違い

アメリカの大学生はよく勉強します。

今回の新型コロナウィルス感染拡大で、世界中の大学がオンライン授業になり、日本の大学ではオンライン授業が一方通行であまりうまくいっていないという声をちらほら聞きます。

一方、アメリカの大学の授業はオンラインでも意見を言わなくてはならず、学期の終わりにはプレゼンテーションやレポート提出があります。レポートの中にも自分の意見を入れなければなりません。

アメリカの大学のシラバス

平均すると1日3時間の授業ですが、予習、復習、宿題に5~6時間かかります。

どのクラスも授業の初日に教授からシラバスが配られます。1学期約16週間の予定がギッシリ書かれています。

テストの点数やレポートなどの成績の配分も書かれています。

たとえば、History of the United States to 1877という科目のシラバスは次のような内容です。

成績の配分

小テスト1 10%
中間テスト 20%
小テスト2 10%
ペーパー(レポート) 25%
期末テスト 25%
授業への貢献 10%

ペーパーについて

授業で扱った歴史的事件を選び、その事件の歴史的解釈の相違について検討し、自分の支持する立場を明確にしたうえで、その正当性について論拠を示し展開すること。

授業の予定

第1回 9月2日
Introduction to the Course: What Do Historians Do?
この科目の導入:歴史家とは何をするのか?

第2回 9月4日
The Discoveries of America
著者Madaras and SoRelleによる教科書xii-43ページと、著者Garratyによる教科書3-14ページを読み、以下の質問について考えること。How did the first human habitation of the Western Hemisphere originate? How and why did it spread? Why did the first human societies in America develop many different characteristics? …………… Why were the Portuguese and Spanish the first to explore and colonized?

第3回 9月6日
New Society
著者Garratyによる教科書14-24ページと、著者Madaras and SoRelleによる教科書44-89ページを読み、以下の質問について考えること。What conditions in the New World made life in the early European settlements fundamentally different from what Europeans knew in the Old World? How were the conditions of the land, labor, and capital reserved in the New World? ………… Wat are the characteristics of the commercial society?

第4回 9月9日
The American Colonies at Odds
著者Garratyによる教科書24-35ページと、著者Madaras and SoRelleによる教科書90-113ページを読み、以下の質問について考えること。What were the social and religious backgrounds of the early settlers of the English colonies? How did these backgrounds result in differing colonial settlements of the English North American colonies? …………

というように12月4日までの授業の予定と内容が明示されています。

人生でこれほど勉強したことはない

日本人留学生はどの人も、「大学(や大学院)で人生の中でこれほど勉強したことはない」と言います。

日本の受験勉強を突破して一流大学に入学している人も同じ意見です。

要するに、日本においてよく勉強してきた人もそうでない人も、みんな一様に「これほど勉強したことはない」と思うのです。

もちろん理由の1つは、授業が英語で行われることです。体全体が耳になったように思うくらい緊張します。

毎日の生活も英語です。英語はあまり曖昧な言いかたはなく、Yes/Noをハッキリ言わなければなりません。

毎日クラスでディスカッションがあります。

シラバスに沿って予習をしたうえで、先生の話を聞いたりディスカッションをしたりします。ですから、予習をしないなんていう選択肢はありません。

おまけにディスカッションで何を言うか、ネタを考えておく必要もあります。

授業は続いていきますから、当然、復習、宿題、予習の繰り返しということになります。

16週間で終わりですから、中間テストや期末テストがまわってくるのが早いこと。

また、期末にプレゼンテーションなんかがあると本当に胃が痛くなります。

大きな大学ですと、100人や200人のクラスもあります。

その場合、大学院生の助手が学生を30人くらいずつに分けてディスカッションをします。

一生ついてまわる「大学の成績」

成績も助手がつけることがあり、成績が悪いとアメリカ人の学生は文句を言いにきます。

アメリカでは大学の成績がその後の人生に大きく影響してくるからです。

仕事に就くときも大学院に進学するときも、大学の成績が重視されます。

就活の履歴書にもちゃんとGPA(成績の平均値)を記さなければなりません。

栄 陽子留学研究所でも、ボストンオフィスでのスタッフ募集や、学生インターン選抜ではまず成績を見ます。

4段階評価で3.5以下だとすぐ興味を失います。

「アメリカでは、医学や法学などは大学院から」ということは以前からよく書いています。

そもそもアメリカでは大学を出てずっとぺーぺーの社員でよいならそれでOKですが、30歳を過ぎて工場長やマネジャーになろうと思ったら、大学院でMBAを取得しなければなりません。

企業の採用の方法がいわば社長募集、工場長募集、課長募集、ぺーぺー募集みたいなものだからです。

あの有名なゴーンさんなどは昇りつめて社長業をやっているわけです。

フォードの社長がGMの社長になったりするでしょう。

日本でもそういう外国人社長が出てきていますね。

したがって、自分がより高い給料と出世を望むなら、どこかで大学院に行く必要があります。

いまでは、全部オンラインで授業を受けられる大学院も増えていますので便利になりました。

大学院に行くときに1番重要なのは大学の成績です。大学の成績が悪いと大学院に行くのはむずかしいのです。

こういったことが、アメリカの大学生が一生懸命勉強して良い成績を残そうとする理由です。

日本の学生の勉強の仕方と、こうも違うのかと思いませんか?

これからどんどん長生きをして、70歳よりもっと先まで働かなければならないのですから、日本の大学でいまのようなことをしていると、世界の労働者と太刀打ちできない人がたくさん出てくる可能性があります。

恐い、恐い。長生きも恐いね~。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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