バス釣りのために留学? おもしろいじゃない!
「アメリカで『大学生魚釣り大会』に参加したいので留学したい。とくにアーカンソー川に沿ってバス釣り大会が開かれるので、アーカンソー州にある大学に入学したい」という相談がありました。
夢を追ってアーカンソーへ
この大会、アメリカの大学生でないと参加資格がなく、月に1回トーナメントがあって勝ち進んでいくそうです。
親御さんは、「息子の夢物語に付き合っていけない」みたいに言っていましたが、なかなかおもしろい話ではあります。
当研究所のスタッフに聞いたところによると、当研究所から留学している学生が、ミズーリの大学からアーカンソー大学に編入して、その魚釣り大会に参加しているとのこと。
また今年に留学した生徒も、1、2年して英語力やアメリカ生活に自信がついたら、その大会に参加しやすい大学に編入する計画をしているそうです。
バス釣りですよ。
なんかおもしろいじゃありませんか!
アメリカで生き抜くために
しかし、いざバス釣り大会に参加するとなると、車も買わなければなりません。
アメリカで車を運転することを考えると、やはり安全面が心配です。
英語力ももちろん必要ですし、アメリカの国の考えかたや生活のしかたも知っておいたほうがいいでしょう。
したがって留学してすぐ大会に出るなんてムリでしょうから、アーカンソー川に沿った地域の、小さな寮がある大学にまず入学して、アメリカで一人で行動するノウハウを身につけるのが望ましいということになります。
ご両親の費用負担を半減する方法
本人はバス釣りのことで頭がいっぱいで、勉強もおろそかだということですが、お父さんお母さんは経済的にも大変です。
そこで、留学する前に1年間放送大学で単位をとりながら、その間に働いてお金を貯める方法を説明しました。
放送大学で1年分の単位をとれば、アメリカの大学に2年生として入学できます。
1年間働けば、留学して1年目くらいの費用はまかなえます。
したがってお父さんお母さんは、大学3・4年生のときにかかる費用を、これから時間をかけて用意すればいいことになります。
すごくかっこよかった留学相談
さて、この相談の最中に、「ある男の子が高校卒業後、自衛隊に入って3年間勤めて、心身ともにタフになってお金もできたので、留学の相談に来たけれど、すごくかっこよかったわよ」という話をすると、お父さんが「じつは自衛隊に誘われているんです」と言うではありませんか。
「それ、いい!! まず自衛隊に入りなさい!」と私も大賛成。
働くか自衛隊に入るか、その間にどのように放送大学で科目をとるかなど、いろいろ話して、「今回は初めてなので、もう1度、家族で頭を冷やして考えてからカウンセリングに来てね」と言って相談は終わりました。
本人は大会でいい成績をとればスポンサーがついてプロになれるので、それが夢だということです。
いいわねー、こういう若い人。
留学の目的なんてどうでもいい
留学したいという人に、「留学するのにどういう意味があるか」みたいな質問をする人がいますが、そういう人はそもそも留学なんかしないし、留学に何の興味ももっていないので、話すだけ時間のムダです。
そういう人は、バス釣りのプロになりたいがために留学するなんて考えられないでしょう。
よく「留学して何がやりたいのか」「何が目的か」って言う人がいますが、そういう人は、バス釣りなんて目的にならないって思うんですよ。
ただね、よくよく考えてみると、そもそも人の行動にいちいち意味なんかないんです。
毎日生きているのも、学校に行っているのも、仕事をしているのも、大半の人がやっていることを同じようにやっているだけでしょう。
そうやっていれば、何も考えずに安全に平々凡々と暮らせるからですよね。
でも、そういう暮らしに「目的」や「意味」なんてないでしょう。
そんな人生とは真逆で、アメリカの大学生になるという「本格的な」留学。
こんなにスリルと興奮とサスペンスに満ちた経験はないのです。
そういう経験を若者にさせまいとするのがいまの日本?
日本の大学生の多くは、勉強せずに飲み会やアルバイト、サークル三昧の毎日ですよ。
なんか残念ね。
本当に自分のやりたいことやってますか?
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著者情報:栄 陽子プロフィール
栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。