アメリカの大学生がアルバイトをしない理由

「アメリカの大学に留学しながらアルバイトはできますか?」という相談をよく受けます。

留学生はアルバイトできない

最近、日本のコンビニなどではアジアからの留学生がアルバイトをしていますし、もちろん日本人の大学生もみんなアルバイトをするので、日本では「大学生はアルバイトをするものだ」というイメージを抱かれがちです。

しかし、アメリカの大学生は、夏休みを除いてアルバイトはしません。

そしてアメリカでは、留学生はアルバイトをしてはいけません。学生ビザで滞在する限り、アルバイトをするのは違法です。

アルバイト先までの交通手段がない

アメリカ人の大学生がアルバイトをしないのは、いくつかの理由があります。

まず、アメリカの大学は「寮生活」が基本です。

キャンパスがとても広大で、大自然に抱かれたところにポツンとあったりしますから、大学周辺にアルバイトをする場所がありません。

またロサンゼルスなどの大都会でも、キャンパスからアルバイト先までの交通手段がとても不便です。

アメリカでは交通手段は車か飛行機というのが当たり前です。

寮からキャンパスを出るまで10分、近くのバス停まで10分、しかもバスは30分に1本なんていうのがザラで、車がなければ定刻にアルバイト先に着くのもむずかしいのです。

車を買うにはもちろんお金が必要で、ガソリン代に保険料なども安くありません。

アルバイトの収入より車を維持するほうが高くついてしまいます。

夏休みも、自分の足か自転車で行く範囲でアルバイトが見つかればいいですが、そうでなければ、アルバイト先まで親に送り迎えをしてもらわなければなりません。

アメリカに家庭教師はいない?

また、日本の大学生がよくする家庭教師というアルバイトもありません。

そもそもアメリカでは、「受験のために勉強する」という発想がなく、SAT®(全米共通の学力テスト)なども2回くらいしか受けないので、家庭教師をつけてまで受験勉強するということがありません。

ただアメリカの大学ではチューターと呼ばれる補講講師のような制度があります。

よくできる学生がチューターを務めるのですが、自分が理解していないと人に教えることができないので、チューターはとても名誉なポジションです。

留学生は大いに助けられます。

勉強がたいへんでアルバイトの時間がない

そしてアメリカ人の大学生がアルバイトをしない1番の理由は、「勉強がたいへんだから」です。

だいたい1日3時間の授業があって、予習・復習に最低でも5、6時間かかります。

8週間ごとに中間・期末テストがあり、学期末にはすべての科目でレポートを提出しなければなりません。

各科目の授業初日には「シラバス」と呼ばれる授業進行表を配られます。

このシラバスに記載されているスケジュールに遅れないように予習して、授業で自分の意見を言わなければなりません。ですからアメリカ人は授業中に居眠りはしません。

2学期続けて70点平均を割ると退学になります。

将来、大学院に進学することを考えているならば、すべての教科で最低でも80点をとっておく必要があります。大学の成績は、就職のときもインターンをするときも非常に重視されます。

私も、当研究所から留学した人たちが夏休みに遊びに来たときは、まず成績のことを聞いてしまいます。

またアメリカ人学生のインターンを採用するときも大学の成績を重視します。

それだけ勉強がたいへんであっても、クラブ活動には熱心に参加します。したがってアルバイトをする時間などあるはずがないのです。

アメリカでは、都会から離れた小規模大学でも、卒業生みんなの愛学心が強いものです。

それは、4年間同じキャンパスで寝起きを共にし、テスト中やレポートの締切日が近づいてくる頃には励まし合いながら徹夜して、青春の苦楽を共に噛みしめた場所だからです。

日本人のように偏差値で大学を評価するのではありません。卒業してもいつまでも懐かしく、母校に寄付しようという気持ちも自然に湧くのです。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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