音楽を学ぶ若者にぜひ知ってもらいたい音楽留学の可能性と未来

アメリカで音楽の大学といえば

小さな音楽学校を経営している人と食事をする機会がありました。彼の学校ではロックを中心に教えているそうですが、生徒の中には幼いころからクラシックの楽器を習っていた人たちが多くいるのだとか。そして、そういう子たちが進学の時期になると、音楽で留学したいと夢を語るのだそう。

アメリカで音楽留学が盛んな大学といえばボストンのバークリー(Berklee College of Music)、ひと頃は300人くらいの日本人がいたものです。しかし、最近はアメリカの学費があまりに値上がりしたためか、あまりその名や噂を聞かなくなりました。

入学に関しても、かつては音楽スクールの先生から2通の推薦状をもらえれば、そこまでの英語力がなくても入学できました(※習った期間は数年、プライベートレッスンでOK)。さて、最近ではどうなっているんでしょうか。

音大にお金がかかるのは日米共通

バークリー音楽大学は、1945年創立、ジャズを中心とした音楽の専門大学です。約4,500人の学生を抱え、日本人の卒業生としては龝吉敏子さんや渡辺貞夫さん、上原ひろみさんなどが有名です。

バークリーの生徒たちによる演奏

基本的に実技を重要視していますので、入学に際してはオーディションがあります。卓越した音楽センスがあれば奨学金が支給されますが、通常は1年間の学費+寮・食費が6万ドルかかります。4年間行くのであればゆうに2千万円を超える費用。ちょっと日本人の常識からは考えられない額です。

冒頭にお話しした小さな音楽学校の留学希望者たちも、お金のことが一番大きなネックになっているそうです。とはいえ日本の音楽大学も学費が高く、さらに、入学するためには幼い頃からレッスンを受け続けなければならないので、その費用も莫大です。

だれでも音楽を専攻できるアメリカの大学

さて、日本の場合は音楽を専攻したいのであれば、音大や芸術系の大学という進路になってしまいがちですが、そもそもアメリカではどの大学でも音楽を専攻できます。

しかも、まったく楽器が弾けなくてもかまいません。ゼロからスタートできます。

融通のきく単位互換の制度もあって、例えば夏期(サマースクール)にバークリーなど他の大学で学んで、その単位を自分の大学に移行することも可能です。

また費用で悩んでいる場合、私が紹介することが多いのがEmporia State Universityという州立の大学。ここの音楽の課程はなかなかのもの。クラッシック中心ですが、Jazzやデジタル音楽といったクラスもあります。

そして、ちょっと宣伝になってしまいますが、うちの留学カウンセラーとよくよく相談の上、出願の際にきちんと書類を揃えて正しく奨学金の申請をすれば、この大学から10,000ドルくらい奨学金支給されます。さらに、日本でピアノを何年か習った経験があれば、音楽専攻の奨学金が1,000〜2,000ドル支給されます。

そうすると本人が支払わなければならないのは、学費+寮・食費で約14,000ドル/年です。

音楽オンリーで生きていくことのむずかしさ

前述の学校の人にその話をしたら、「エーッ‼!!留学が日本の音大に行くより安いの!?」とのこと。だいたい、日本の音大に入るために多額の費用をかけて準備して、それで卒業しても、音楽家として生きていける人はほんの少数(※というか数人)あとはろくな就職先もないというような話が出て、ひとしきり日本の音大の悪口に花が咲きました。

音楽や美術で生きていくのは、とても難しいことです。名をなすには、「才能」と「運」と「努力」の三つが揃わなければなりません。大変な才能もその時代には必要とされず、亡くなってから初めて注目されることだってよくある話です。もちろん、その分野の大学に行ったからといって、どうなるものでもありません。

音楽&英語、さらにプラスアルファの力が身につく留学

アメリカでは、バークリーのような音楽の専門大学は、むしろ珍しい存在です。ごく普通のリベラルアーツ・カレッジや総合大学で音楽を専攻できますし、音楽家として生きるにはちょっと自信がなかったり、ほかの分野に興味を抱いたりすれば、ダブルメジャー(二つの専攻)やマイナー(副専攻)をとることで、別の分野も勉強できます。たとえば音楽と経済学を両方とも専攻できるのです。

それを英語で勉強するわけですから、もちろん英語力もバッチリ身についてきます。

もし、演奏家としての道がなくなったとしても他の分野をきちんと学んでいれば、レコード会社に勤めたり、音楽系のライターや編集者、マネージャーなど、音楽関連の様々な道があるのです。

「日本の音大をめざしているけれど、果たして音楽だけでやっていけるかチョッピリ不安」という悩みをかかえる本人や親も沢山いるはず。そういう人にこういったアメリカの大学の仕組みとメリットをもっと知らせてあげなければ、と話は盛り上がりました。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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