大学留学はいつがベスト? 入学時期と準備のスケジュールを解説
「アメリカの大学って9月入学が基本なの?」
「1月や夏からの入学もできるって本当?」
そんな疑問を持つかたのために、この記事ではアメリカの大学の入学時期と、セメスター制とクォーター制の違い、3年半で卒業できる理由、さらには4月から入学が可能な大学について詳しく解説します。
大学への留学にあたって、自分にピッタリの入学タイミングを見つける参考にしてください。
アメリカ大学の学期制度とは?
アメリカの大学では多くの場合、セメスター制(semester system)を採用しています。これは1年度を「9〜12月の秋学期」と「1〜5月の春学期」の2学期に分ける学期制です。 このため、年に2回の入学チャンス(9月・1月)があります。
卒業時期も年に2回、5月と12月に開催されるのが一般的です。とはいえアメリカの大学には入学式がなく、2〜3日のオリエンテーション後すぐに授業が始まります。
9月・1月以外にも入学できる?
一部の大学ではサマースクール(夏期講座)を開講していて、このサマースクール(6月や7月)から入学することも可能です。 また、クォーター制(quarter system)を採用している大学では、年に4回(9月・1月・4月・夏)の入学が可能です。
アメリカの大学の1年度は学期ごとに独立していますので、どの学期からでも入学できます。
1年度は9月~翌年の5月です。「9~12月の秋学期」と、「1~5月の春学期」の2学期制(セメスター制)の大学が多いので、基本的には年に2回の入学チャンスがあることになります。
またアメリカの大学は単位制です。決められただけの卒業単位(だいたい120単位)を取得すれば、4年ではなく3年半(3年プラス1学期)で卒業することも可能です。
9月と1月に新学期を迎えることになるわけですが、秋学期が始まる9月は新入生が一番多く、とてもにぎやかで、まさに「大学が始まる」という雰囲気に包まれます。
親子で大きな荷物をかかえて寮に入っていく光景があちこちのキャンパスで見られます。
それに比べて、春学期が始まる1月は、わりとシーンとしています。新しく入ってくる学生が少ないからです。
かといって、何か問題があるわけではありません。秋学期と同じように、時間割を組んで、授業に出て、単位を取得していけばいいのです。
アメリカの大学の入学式と卒業式
アメリカの大学では、入学式はありません。2、3日のオリエンテーションが終われば、すぐに授業が始まります。これは9月・1月いずれの学期でも同じです。
当研究所からアメリカの大学に留学した人のうち、1月に入学した人は、9月に入学した人に比べて遅れをとったという気分になるのか、速いペースで単位をとって3年半で卒業する人がけっこういます。
卒業時期も、5月と12月の、年に2回あります。9月に入学する人が多いため、5月に卒業する人がやはり多くなるので、5月の卒業式はとても盛大です。
小さな大学では、12月には記念写真を撮るだけで、卒業式をしないところもあります。
卒業証書は、5月・12月いずれも、最終成績が出た後で発行されます。
5月の卒業式に参加したいためか、1月に入学して3年半で単位を取得して、5月に卒業する人もいます。単位取得のペースとしては、そんなにむずかしいことではありません。
夏休みから大学生活を始めることも可能
日本の高校生は、年に1回の受験に人生を賭けるようなところがありますから、「入学日」にとても敏感なのですが、そもそも入学式もないアメリカの大学では、9月に間に合わなければ1月に入学すればいいわけですから、あわてることはありません。
大きな大学などでは、サマースクール(夏期の集中講座)もたくさん設けています。サマースクールから入学することも可能です。
「サマースクールで1科目か2科目でもとっておけば、後の学期がゆっくりできてラク」とか、「できるだけ早くキャンパス生活に慣れておきたい」といった理由でサマースクールから入学する人もいます。
当研究所では、9月の入学が決まった人は、英語や寮生活に慣れるために、6月・7月に渡米してサマースクールの英語講座に参加する留学生がたくさんいます。
年に4回の入学と卒業のチャンス
日本では、卒業時期が3月で入学時期が4月ですので、ときどき、「3月か4月に入学できるアメリカの大学はないのでしょうか?」と聞かれることがあります。
これまでお話ししたように、アメリカでは1年度を、9~12月の秋学期と1~5月の春学期との2学期で分ける「セメスター(semester)」というシステムをとっている大学が多いのです。
それぞれの学期が15~16週間です。
アメリカには、このセメスター制のほかに、「クォーター(quarter)」というシステムをとっている大学もあります。名前のとおり、1年度を4学期に分けています。
クォーター制の学期は、
・9~12月
・1~3月
・4~6月
・サマースクール
という区分になっていて、それぞれの期間は11~12週間です。
クォーター制の学期の場合、年に4回、入学と卒業のチャンスがあることになります。セメスター制では120単位を取得して卒業しますが、クォーター制では180単位を取得することになります。
1科目あたりの授業時間が短いということです。
4月に入学できるアメリカの大学
クォーター制の大学では、1学期が11~12週間ですので、中間・期末テストが5~6週間ごとにまわってきます。おまけに、学期末には科目ごとにレポートを出さなければなりません。
1学期に5目をとるとすると、この短期間で5本のレポートを書かなければなりません。
1学期が15~16週間のセメスター制でも、8週間ごとに中間・期末テストがあり、レポートを5本仕上げるのに、もうフーフーですから、クォーター制になると、テストにレポートにめちゃくちゃ追い回されることになります。
そのせいか、クォーター制の大学がどんどんセメスター制に切り替わっています。4月に入学できるアメリカの大学を見つけることもむずかしくなっています。
私がその昔、学んでいたオハイオ州立大学もクォーター制でしたが、いまではセメスター制です。
もともと、西海岸(ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州)の大学にクォーター制の大学が多かったのですが、これらの大学も、セメスター制になっているのが多いのです。University of Californiaシステムの大学(UCLAなど)は、だいたいクォーター制です。
それでも、「4月にアメリカの大学に入学したい」という人のために、以下にクォーター制の大学を紹介しておきましょう(ただし、クォーター制の大学すべてが4月入学を認めているわけではないので、個別に確認しましょう)。
クォーター制の大学
- California Institute of Technology(カリフォルニア州)
- Northwestern University(イリノイ州)
- University of California, San Diego(カリフォルニア州)
- Dartmouth College(ニューハンプシャー州)
- DePaul University(イリノイ州)
- Northwestern University(イリノイ州)
- Stanford University(カリフォルニア州)
- UCLA(カリフォルニア州)
FAQ:よくある質問
Q. 大学留学の入学時期はいつが一般的ですか?
A. 最も多いのは9月入学ですが、1月からの入学も可能です。大学によっては4月や夏からも入学できます。
Q. 1月入学と9月入学、どちらがいいですか?
A. どちらでも同じ学位が取得できますが、9月は入学者が多く、オリエンテーションでのイベントも豊富です。1月はちょっと静かにスタートする感じです。
Q. 大学留学に4月入学はありますか?
A. クォーター制を採用する一部の大学では、4月入学も可能です。
まとめ:大学留学は「いつ」でも可能! 自分に合ったタイミングを選ぼう
「大学留学はいつがいいか?」という問いに、唯一の正解はありません。
9月・1月・4月・夏といった多様な入学時期の中から、あなたの状況や目的に応じたスケジュールを選ぶことができます。
重要なのは、「入学時期にこだわりすぎず、自分に合った計画を立てること」です。アメリカの大学の柔軟な学期制を活かして、最適なスタートを切りましょう。
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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。