留学を周りから反対されている人と反対している人に読んでほしいコラム
日本の優等生
周りの人たちと足並み揃えて同じことを長く続ける、それが努力。そしてそれに文句もいわず黙って従う、それが協調。
そうでない人たちは認めてもらえない、少しでも変わったことをしようとすると周りからメチャクチャ批判される、というのが日本の現状です。
高校3年生なら大学受験。大学4年生なら就職活動。もしも「外国に行く」なんて言おうものなら、周りから「逃げるのか」だの、「人生を棒に振るぞ」などと言われて、総スカン。
そもそも長期間、海外で学んだり働いたりしたことも無い人が、留学を志した若者に対して助言したりしてることもおかしなこと。
とにかく「みんなと同じこと」をするのが日本人は大好きで、それ自体が正義です。
で、その「みんなと同じこと」なんですが、みんなと同じことをする危険性についてはあまり考えているように思えません。
新しい努力のかたち
18世紀後半、産業革命により人間は単調な肉体労働から解放されました。その時代と同じく、昨今では人工知能(AI)が、人間を知的な労働から解放するといわれているのを知っていますか?
解放というと一瞬聞こえは良いのですが、要は仕事がなくなります。
現代社会において、肉体労働でなく知的労働の類であっても、「そこそこ真面目でちゃんとしてれば誰でも出来そうな仕事」は間もなく人工知能にとって代わられるということなのです。
参考資料:オックスフォード大学「AIにより10年後になくなる702種類の仕事」
http://spotlight-media.jp/article/209098529509153603
では、この人工知能にとってかわられない生き方、学び方、働き方は何かというと、いままでに無いようなこと、つまり「みんなと同じこと」でなく「みんなと違うこと」になります。
この「みんなと違うこと」とは、同じようなことを繰り返すのでなく、いつもいつも新しい発想で考えるということです。そして、こういうことが新しい努力のかたちになるでしょう。
この努力は、生産性や速度などの機械が得意な「効率」を求めるようなものでなく、恐らく人間を楽しませたり喜ばせたりする豊かな発想のためのものとなるでしょう。
そういった豊かな発想をもつためには、環境を変えなければなりません。
旅に出ることも、その一つですし、おそらく留学もその一つ。
日本で怠けていた人が、留学して急に勉強するようになるのも、環境の激変を経験するからです。
留学は新しい発想を生み出すチャンス
そもそも異なる環境に身をおくことはなぜ良いことなのでしょうか。
それは、人は今までに見たこともないものや、知らなかった考え方に出会えば、なんとか理解しようと頭を働かせるからです。
そうすることにより自分の中に新しい発想が生まれたり、価値観、考え方も柔軟で豊かなものに成長してくのです。
それなのに、みんなと同じ方向に行かずに留学しようとすると、「逃げた」、「危ない」と言って批判される国なんて日本くらいでしょう。ちょっと村社会っぷりが過ぎてると思います。
アメリカやヨーロッパでは国を跨いで勉強したり、仕事をしたり生活する人が当たり前のようにいます。もちろんアジアだって同じです。
日本は島国なので、そういう感覚に疎いのでしょう。諸外国では車で30分いけば隣の国なんてザラです。
そしていま世界中の若者が、新しい世界で生きるために、さまざまなチャレンジをしている時代です。
日本の若者も、もっと違った考えをもって行動しなければなりませんし、大人はそれを応援しないといけません。
他人と違う生き方をするのは「怖い」と思うのは当然のこと。しかし、少しでも「世界」や「違う生き方」に興味があるのであれば、チャレンジすることをお勧めします。
昔から、「した後悔は一、しなかった後悔は三」と言うではありませんか。
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著者情報:栄 陽子プロフィール
栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家
1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。
『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。