ボストンからオレゴンへ。鉄道でアメリカ横断の1人旅
みなさんこんにちは!
前回の記事で、夏休みの旅行計画を紹介しました。ちょうどいま、その旅が最初の山場を越えそうなので、いままでの行程を少し振り返ってご紹介したいと思います。
鉄道を使ってアメリカ横断!
この度の最初の「山」は、アメリカ横断です。徒歩でもなく、飛行機でもなく、車でもありません。そうです、鉄道です。
今回アメリカ横断をするに際して、使わせていただいたのがAmtrakというアメリカの大手鉄道会社です。
そもそもなぜ鉄道で横断することになったかというと、夏の計画をたてるのが遅過ぎて、航空券の値段がインフレしていたんですよ。
それでほかに手段はないかとリサーチをしたところAmtrakを使用しての横断というオプションを見つけ、これだと思い最安値の座席を購入しました。Coach Seatです(新幹線のグリーン車と一般の席の間くらいのクオリティ)。
このAmtrakの鉄道なのですが、
- 8月14日10時30分 ボストン発
- 8月15日9時50分 シカゴ着
- 同日14時30分 シカゴ発
- 8月17日9時30分 ポートランド(オレゴン州)着
という、なかなかカオスなスケジュールなんですね。
切符を購入した後は、どのように時間をつぶそうかと友だちと話題になり、話し合いの結果スターウォーズ全作、ハリー・ポッター全作をとりあえず観るという結論に至り、券も車内でやることも荷物も持って準備万端の状態で、プロビデンスの駅からボストンに向かう電車に乗りました。
いよいよ出発!
Back Bay Stationに着いてから2時間ほどあったので、朝ごはんとしてDunkin Donutsのソーセージエッグマフィンとアイスコーヒーを片手に、バックアップとして持ってきた One Hundred Years of Solitude(『百年の孤独』)というノーベル文学賞受賞した作家(ガブリエル・ガルシア・マルケス)の代表作を読むことに。
シカゴ行の電車が来たので、ホームに行くとまず車体のかっこよさに驚きました。
鉄道とかは、いままであんまりモノとして見てこなかったのですが、今回改めて電車ってかっこいいなと思いました。
車内は通路を挟んで両側2席ずつ。座り心地は悪かったものの、クッションを持ってきたので耐えられました。
席に座り、まだ隣にだれもいなかったため安心してくつろぎながらHarry Potter and the Sorcerer’s Stone(『ハリー・ポッターと賢者の石』)を観ようとすると、なんということでしょう、wi-fiがとんでもなく悪いではないですか。携帯のテザリングでどうにかしようとするもうまくいかず、映画を観られなくなった僕はバックアップで持ってきた本をひたすら読むことに。
夜ご飯は隣の車両にあった小さなカフェみたいなところでホットドッグを購入。法外な値段でその割には味も薄味でしたが、まあしょうがないといった感じで読書に戻りました。
寝ようと思ったら、ニューヨークのスプリングフィールド駅(あの有名なスプリングフィールドの戦いの舞台)で人が大量に乗ってきて、僕の隣にも座られてしまいました。
そして、アメリカの鉄道の旅で注意しておきたいのが、夜の車内が凍えるほど寒いということ。
席も狭く、車内も寒く、数列後ろに大声で喋っている乗客もいたせいで、ほぼ寝られず。その日は寝るのをあきらめて読書&この1つ前のブログ記事を書きました。
鉄道の旅自体はすごく楽しくて、景色の変化も楽しめました。ほかの乗客とたまに談笑する中で、「ボストンからポートランドに行く」と話したときの、みんなが驚く反応がおもしろかったです。
シカゴに到着
ボストンを出て、ニューヨーク州を抜けて、カナダとの国境沿いをくねくねと進み、シカゴに到着しました。
シカゴに着いてからは5時間ほどあったので、まず朝ごはんをマックで食べて(ソーセージエッグマフィンとハッシュドポテトのセットでDunkin Donutsよりも美味しかったです)、スーツケースをチェックして、体をタオルで拭いて、きれいな服に着替えて近くの街の探索に出ました。
展望デッキのようなところにあるビルのラウンジでくつろぎながら少し作業をして、ランチはShake Shackで食べて、駅に戻りました。
Chicago Union Stationという駅だったのですが、そのGreat Hallという待合室のようなエリアがすごい宮殿みたいな造りみたいになっていて、呆気にとられているとあっという間に電車の搭乗時間に。
何もない地帯を走る
今度の路線は最長40時間。2階建ての構造になっていて、食堂とカフェを挟んでCoach Seat(座席)車両、両端にSleeping Carという編成です。Coach Seat だった僕はあまり期待せずに乗ったのですが、席のクオリティはこっちのほうが、シカゴ行のよりも快適でした。
シカゴを出て、よっぽど疲れていたのかどうやら僕は2席またいで寝ていたようで、次の駅に着く前に車掌に揺らされて起きました。いやあ恥ずかしいですね。
それはさておき、今度こそハリー・ポッターを観ようと気合を入れてwi-fiにつなごうとすると、なんということでしょう、今度はwi-fi自体がないではないですか!
もうこれは正直絶望どころではないですよ。しかもこの鉄道が通るのが、ノースダコタ州やモンタナ州といった何もない地帯なわけですよ。そのせいで3Gすらもない無回線状態の40時間でした(Whitefish というモンタナ州の駅で1回と、Minotというノースダコタ州の駅で1回電波が通じました)。
『百年の孤独』を読破
もうやることといったら本を読むくらいしかなく、400ページ以上の難解な本を、50時間ほどで読み終えました。この本は大作で、読者の中では好き嫌いが分かれるそうなのですが、僕的には好きでした。1ページごとに表現がすごくて、ゆっくり楽しく読めました。
ある集落を築いた家族の年代記で、その家族が何世代にもわたって描かれ(それに付随してその集落も描かれ)、非現実的で突飛な描写がありつつも、どこか現実的で共感できるところがある、本当に深い物語でした。難しい本で集中力もかなり要したため、この長旅に持ってきた最高のお供といって過言ではないです。
本を読み終えた後、小腹が減ったので食堂に行ってピザを食べ、夜は数時間展望車両で音楽を聴いたり、隣の席の人と談笑して過ごしました。
夜食を買いにカフェに行くと、すでにおばさんに顔を覚えられたのか「本読み終わった?」と聞かれ、その延長線でいろいろ喋っていると、水を2本無料でくれて人情を感じました。こういう突発的な会話の多さがアメリカのいいところかなと展望デッキに戻り、いろいろ想いを巡らせていました。
乗客は、1日目はまあまあいたのですが、2日目になってモンタナ州のWhitefishという駅でほとんど下車し、ほぼ僕1人という独占状態であったため、夜は人目を気にせずいい眠りにつくことができました。
大成功だった鉄道の旅
そしていま午前8時半。そろそろ終点に着くというところなのですが、すべてひっくるめて鉄道でのアメリカ横断は、時間があればこれからもやっていきたいなと思いました。
特別にすごいというわけではないのですが、乗客との交流であったり、インターネットがないとやっぱり読書であったり、当たり前のようにある外の景色を横目で眺めたりして、五感がフルで活動している感じがして、経験したことのないような感覚がありました。
鉄道で横断でもしないと、モンタナ州とかミネソタ州、ノースダコタ州などはきっと訪れることもないでしょう。今回の道中、この3州で30分の小休憩をとったのですが、どの州も眺めがきれいで、空気もまあまあ澄んでいて、スティーブン・キングの小説を読んで勝手に思い描いていたイメージが間違っていることに気づかされました。要はこの鉄道旅が、僕の視野というか世界観を少し広げてくれたということですかね。
最初は友だちからも Good Luck with the Trip! とほくそ笑まれ少しバカにされていたのですが、結果的にこれは大成功でしょう。アメリカ横断、たとえ鉄道であっても、1人でなし得たというのは自信にもなります。
今回はアメリカ横断編で、大学の様子とは少し違ったかたちになってしまいましたが、少しでもその様子が、写真と文章で伝わればうれしいです!
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