銃撃から身を守るには? アメリカの高校の避難訓練
みなさんこんにちは。アメリカのマサチューセッツ州にあるMiss Hall’s Schoolという高校に留学しているAyakoです。
今回は、アメリカの高校で実施されるさまざまな避難訓練についてお話ししたいと思います。
以下の写真は、Fire Drill(火災訓練)のときに送られてくるメールです。どこで火災が起こったか、どこに避難するかが記されています。
火災訓練を知らせるメール
日米で異なる避難訓練
日本の高校でも年に何回かある避難訓練ですが、アメリカの高校の訓練内容は日本とはまったく違います。というのも、何に対しての訓練なのかが、日米で異なるからです。日本は地震大国ですから、避難訓練といえばまず地震を想定して行われ、その次に火災だと思います。一方でアメリカのマサチューセッツ州は滅多に地震がないので、地震のための避難訓練はありません。
以下に、私が体験した3つの避難訓練を紹介していきたいと思います。
火災訓練
1つめはお馴染み、Fire Drill。火災避難訓練です。これは日本と同じですね。授業中にすごい音の警報機が鳴り響き、何も持たずに学校のテニスコートに集まります。
私の高校では、学年ごとではなく、寮ごとに集まります。寮には1人か2人の「プロクター」というリーダーがいるので、その人の周りに集まります。そこで点呼をとり、全校生徒がすべて集まったことが確認できたら終了です。
これまで3年間の高校生活で実際に火災に遭ったことはありませんが、学校の警報機が誤(?)作動するので、訓練以外で何回もテニスコートに集まったことはあります。
警報機が鳴ると、それと同時に近くの消防署から消防車が5分以内に駆けつけます。おもな原因はポップコーンが電子レンジの中で燃えたり、ラーメンを水無しで電子レンジにかけたりすることです。
最初は、笑っていた私たちでしたが、2週間で4回消防車を呼んでしまったときは、先生の逆鱗に触れ、すべての寮から電子レンジが没収されました。寮では電子レンジが唯一の調理器具だったので、さすがにみんな困りました。
2か月後、やっと電子レンジが返ってきましたが、次また警報機を鳴らしてしまうと後がないので、みんな使うときは慎重になっています。
不審者がキャンパスに侵入してきたら
次に紹介するのはLockdown Drill。ロックダウン訓練です。
これは聞き馴染みがないかもしれません。不審者や銃撃者が学校に侵入してきたときを想定して行う訓練です。
これはあまりに刺激が強いので、実際に動いての訓練ではなく、レクチャー式で行われます。それでも、聞いているだけで本当に怖くなり、訓練後は保健室に行く人も多かったです。
この訓練で教わることを少し紹介します。
身を隠す、走って逃げる、闘う
不審者が来たという連絡を受けたら、まずはその場で身を隠します。自分の部屋にいたら、鍵を閉め、教室にいたら窓やドアを閉めて、電子機器など音の鳴るものの電源を切ります。まずは見つからないように身を潜めるのが、最初にとるべき行動です。外にいる場合は、なるべく見つかりにくいところに隠れます。
ここで厳しく言われたのは、もしだれかがドアをノックして、自分の部屋に入れてくれと言われても絶対に開けてはいけないということです。その状態で困っている友だちを助けられないのは心苦しいのですが、自分の身を守るためです。もしかしたら、その友だちは不審者の言いなりになっているかもしれないし、不審者が近くにいる可能性もあるからです。
もし隠れるところがなかったら、次にとるべき行動は、走る、です。犯人がどこにいるかわかっていればなるべく遠くに走って逃げます。銃を持っている犯人に追いかけられたらなるべくジグザグに逃げます。銃の狙いを定めにくくするためです。
最後の手段は、闘う、です。犯人が目の前に来たり、なす術がないときは、何かしらの武器を持って闘いなさい、と言われました。
いままでこれが本当に起こったことはないし、私の高校は安全なところにありますが、もしものことを考えるとゾッとします。
友だちより自分を優先せよ
この訓練で一番辛かったのは、先生が「友だちより、自分の安全」と繰り返し言っていたことでした。一緒に走っている友だちが転んだとしても、もし犯人が近くにいたら、助けずに逃げる、友だちの声がしてもドアを開けない。これって、実際にできるかわからないです。
これはやっぱりアメリカならでは、なのかなと思います。また、起きないことが一番ですが、銃社会のアメリカではいくら怖くても、もしものときのことを知っておくのは大事だと思います。
自分の高校が安全でなくなったとき
最後にRelocation Drill。これは場所を移動する訓練です。歩いて15分くらいのところにある公立学校に避難します。火災のときにも、不審者が侵入したときにも有効です。火災が起こって安全な場所がなくなったり、走って外に逃げるときにめざすのがこの公立の学校です。
高校にいる人全員が長い列をつくって、その学校まで歩きました。今年初めて経験した訓練ですが、行くまでの道のりはそれほど遠くなく、複雑でもなかったので、いざというときに役に立つと思いました。
また近くにある家は、私の高校のことをよく理解して協力してくれているので、何かあったときは駆け込んでノックしていいと教わりました。周りにも、安心できる場所があるのはとてもいいことです。
今年行われた訓練を紹介しました。もしかしたら刺激の強い内容もあったかもしれませんが、アメリカの学校で過ごすには必要な訓練だと思います。
(第20回終わり。第21回に続く)
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