いよいよ2021年9月の新学期がスタート。通常の大学生活は戻ってくるのか?

対面授業を再開

まもなくアメリカの大学の新しい学期が始まります。

昨年はコロナ感染症のため、てんやわんやの騒ぎで、授業をオンライン化せざるを得なかった大学も、今年の9月の新学期は、通常の教室での対面授業を再開する予定です。

そもそもアメリカの大学は、寮生活が基本的なルールです。

どの大学にも看護師が24時間常駐しています。

一度はパニックに陥ったものの、とても早く態勢を立て直して、寮の一部を隔離部屋にして、週に2, 3回のPCR検査を実施し、昨年はオンライン授業と対面授業を組み合わせて、それも対面授業は隔離部屋にいる場合(通常、陽性となってから14日間)はオンラインで参加、というかたちで、大学の授業を行っていました。

寮生活というのが、かえって統制をとりやすかったと思います。

日本の交換留学はどうなるのか?

さて、またまたコロナ感染症が猛威をふるっていて、日本の大学は秋からの学期もオンラインで実施せざるを得ないという状況のようです。

大学をオープンしたら食堂を介してたくさんの学生がコロナに罹ったという話を耳にしましたが、毎日発表される感染者数にどれだけ反映されているのでしょうか。

日本の大学からの交換留学の学生も、のきなみプログラムが中止になり、かといって日本の大学もオンラインで、という状況で、多くの不平不満を聞きました。

本当はさっさとアメリカに行ったほうがよかったと思いますが、日本の大学が許さないということでした。

アメリカの大学におけるワクチン接種の義務化

アメリカの大学は、「キャンパスに到着する者はワクチンを受けておくこと」という通達を出しています。

また、授業では必ずマスクを着けることも義務化しています。

そこで、ニセのワクチン接種証明書がオンラインで売られていて(25ドルで証明書を購入した人によると、中国から送られてきたそうです)、大きな物議を醸しています。

アメリカの若者の中には、ワクチンを打ちたくない人がたくさんいます。

不妊症になるとか、変な病気になるとかいうフェイクニュースを信じている人も多く、また宗教的な理由でワクチンを打ちたくないという人もたくさんいます。

Religious peopleが多い州ほどワクチン接種率が低いといわれていて、フロリダ州は、知事が「ワクチンを受けなくてもかまわない。授業でマスクをする必要はない」と言っていて、大学の学長たちが抗議の声を上げています。

新しい学期の始まる9月に向けて、ワクチンをめぐって大騒ぎです。

ワクチン義務化が留学生にもたらす影響

留学生もワクチンを打って行かなくてはなりません。

日本からの留学生は新学期に間に合わないということが起こり得ます。大学側は、到着したらすぐワクチンを打つように要求しています。

接収が1回で済むジョンソン&ジョンソン社製のワクチンを、アメリカ中どこででも打てられますから、何とかなると思います。

薬局、教会、スーパーマーケットなど、あらゆる所でワクチンを打てます。

アレルギーなど、何らかの病気でワクチンを受けられない場合、その証明書を持って入国し、大学でPCR検査を受け続けることを約束しなければなりません。

インドや中国や南アフリカからの留学生の入国を拒んでいることについて、何十人かの上院議員が、「そんなことをしていたら他の国に優秀な人材を取られてしまう。速やかにビザの発給を再開すべし」と建白書を出しています。

陰性証明書に5万円!?

何か、日本で起こっていることと別世界の気がします。

そもそも日本では大学生たちがオンラインでいかに不便な学生生活を送っているかというニュースもまず聞きません。

相変わらずニュースになるのは、就活のことばかりです。

外国の学生を受け入れる便宜を図るどころか、日本の学生を外国に出しません。

日本を出国するときに、72時間のコロナ陰性証明書を、国から指定された病院から出してもらわなければなりません。

その費用が30,000〜50,000円です。

もし家族4人で出発するなら15〜20万円かかることになります。

唯一、2,000円で日本語のみの証明書を出すところがあって、ユナイテッド航空はそれでOKで、日本航空や全日本航空はダメだそうです。

新しい学期が始まるまで、いろいろなことが起こりそうです。

 

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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