1日3度の食事がつらい? アメリカに留学した日本人が一番困ること

オレンジジュースが飲み放題という衝撃

アメリカの大学生活は寮に住むのが原則です。広い敷地の中に教室や体育館、図書館、寮と全部そろっていて、一大キャンパスになっています。

したがって食事は原則3食とも寮で食べることになります。

私が1970年に留学した際、アメリカの大学の寮で驚いたのは、新鮮なオレンジジュースが飲み放題ということでした。

1970年のことですから日本はオレンジという果物は輸入しかありませんので、オレンジを絞ったジュースなんて一流ホテルのダイニングでしか飲めず、とても高価なものでした。

私が留学したのはミシガン州でしたから、フロリダ州から24時間かけて、オレンジを絞ったものを冷凍にして運んでくるということでした。美味しくて朝一番に何杯も飲みました。

1学期で体重が10kg増えた!

カリカリのベーコンにも驚きました。朝にはドーナツが出て、しかも上にいっぱい甘いものやピーナッツの砕いたものまで乗せてあります。

甘くて美味しいのです。

卵料理もあらゆる種類があって、ホテルのバイキングのようでした。

お昼はハンバーガーやソーセージ、デザートの大きなケーキにアイスクリームを乗せて食べるのです。

これも美味しい。

夜もハンバーガーとかミートローフ、ホットチョコレートという日本でいうココアも飲み放題。

すべて食べ放題・飲み放題です。ピザもよく出てきました。

それでどうなったかというと、1学期であっという間に10kg太りました。

その上、だんだん飽きてきました。

ともかく甘いものがいっぱい。ほかはみんな塩とケチャップとコショウの味です。

アメリカでラーメンが食べたくなったら

日本人がアメリカに留学すると、まず困惑するのが寮の食事です。量も種類もいっぱいあります。

ちょっとしたビジネスホテルの朝のバイキングくらいは用意されています。

アメリカの寮も年々、豪華になっていますから、メキシカン・タコスなんかもメニューに出てきます。

サラダバーもあります。ドレッシングもいろいろな種類があります。

でも残念ながら、和風しょうゆ味やポン酢なんていうのはないのです。

お味噌汁や白いご飯、おにぎり、ラーメン、カレーライス、とんかつ、天ぷらそば、きつねうどん。美味しい漬物、羊羹やおまんじゅう、歌舞伎揚、みんな手に入りません。

私の時代はおしょうゆを手に入れるのはむずかしいことでしたが、いまはどこかのスーパーに連れてってもらえば手に入ります。

しかし、寮の食事にはおしょうゆどころか、日本のソースもありません。

いまではときどき、お寿司が出る特別な日があったりするようですが、基本は私が留学した50年前と変わりません。

ニューヨークやロサンゼルスの真ん中にある大学にでも留学すれば、街中で何でも食べられますが、とてもとても高くつきます。

ラーメン一杯3,000円とか聞いたことあるでしょう。

チップを足すと3,500円くらいになります。

アメリカの中西部にある、海に面していない州では、やはりいまでもお寿司や生魚は、どこでも食べられるものではありません。

たまたまルームメイトが車を持っていて、どこかのモールに出かけることができたとしても、味噌ラーメンにはありつけないでしょう。

美味しい国ニッポンの功罪

食事というのは、ただ満腹になればいいというわけにはいかないのです。

私たちは本当にぜいたくにできています。

今日はお昼にラーメン、夜は家でお刺身と漬物とお味噌汁、明日はお昼にカレーで、夜は焼肉。

明後日はお昼にスパゲティ、夜はちょっとぜいたくに天ぷら、なんて、日本人は本当に口のおごった国民です。

安全で清潔で美味しい日本に育った若者は、食事に関しては世界一ぜいたくな若者になってしまいました。

世界中のいろんな味をうまく日本人に合うように変化させた上に、もっと美味しく洗練させています。

いくらたっぷりのアメリカの寮の食事も、日本の若者を満足させることはできません。

これは、とても辛いことです。

留学する前に、このような話もよく学生たちに言って聞かせますが、どうやら最近は、SNSで中華料理のお店を見つけて、Uberでフライドライス(チャーハンですね)を届けてもらって食べているそうです。

いやはや、いろんな知恵がまわることです。

例:Wheaton College(イリノイ州)のメニュー
(すべて食べ放題・飲み放題)

【朝食】
スクランブルエッグ
チョリソー
ポークソーセージ
ポテト
フレンチトースト
ベーコン
ハッシュブラウン
各種パン
各種シリアル
各種フルーツ
各種ドリンク

【昼食】
各種ピザ
ティラピア・ベラクルス
グリルチキン
ホットドッグ
フライドポテト
ポークシチュー
カボチャとズッキーニ
ライス
各種パン
サラダバー
各種ドレッシング&トッピング
各種チーズ
各種ヨーグルト
各種フルーツ
アイスクリーム

【夕食】
各種ピザ
チミチュリ
グリルチキン
パッタイ
ローストポーク
マッシュポテト
ポークシチュー
カボチャとズッキーニ
ライス
各種パン
サラダバー
各種ドレッシング&トッピング
各種チーズ
各種ヨーグルト
各種フルーツ
アイスクリーム

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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