留学と円安。留学資金の計画は長い目をもって

円安が留学に及ぼす影響

アメリカの大学の学費や寮費がどんどん値上がりしています。

おまけに、ここのところ、急に円が下がってしまって、アメリカ留学にかかる費用がとても高くなりました。

1年くらい前から急に日本が貧乏になったと盛んにマスコミが取り上げるようになりましたが、外国の物価が上がっているのは毎年のことで、アメリカのみならず、中国でも東南アジアでも年々、物価が高くなっています。

なぜマスコミが急に日本の物価が安いとか日本人の給料が低いとか言い出したかわかりませんが、何年も前からニューヨークではラーメン1杯20ドルと言われていました。

チップも入れると25ドルくらいになりますから、最近の円安で、1ドル=130円近くとすると、3,250円くらいになります。

現在、アメリカに留学すると1年で最低30,000ドルくらいはかかるのですが、それが、今年は400万円弱かかることになります。

昔は1ドル80円のときもありましたよね。

数年前から、インターナショナルスクールの出身者がアメリカの名門大学に入学して、年間75,000ドルの学費・寮費を途中で支払えなくなって帰国している、という話をよく耳にしましたが、その当時は1ドル100円くらいでした。

今年の9月からの学費や寮費は、このままいくと1,000万円近くになりますね。

恐ろしいことです。

ロシアのウクライナ侵攻など、考えもしなかったことが次々起きています。

これからも何が起こるかわかりません。日本の物価も急激に上がる可能性があります。

留学に立ちはだかる「費用の壁」

留学カウンセリングの相談で、「お金のことが問題」というのがとても多いのです。

ハッキリそう言うならまだしも、お父さんのほうが、男親のメンツなのか、お金を出せないからではなく、他の理由をいろいろ並べて留学に反対したりします。

でも、もう高校生になったら子どもたちもキチンと自分の家の家計を知るべきです。

お金が足りないという家に多いのが、2人の子どもが私立の学校に行き、その上、塾に毎月10万円近くかかっているので、大学には奨学金(これはローンというべきものですが)を借りて行ってもらいたい。

それと同じ方法で留学できるならいいが、それ以上は無理、というものです。

日本のサラリーマンの一生涯の収入は2〜3億円といわれています。

たとえば3億円とするならば、そこから税金や健康保険、介護保険などを20%と考えて6,000万円。

家の購入費用やローンの利子などで約7,000万円。

その他の生活費として1年に400万円(4人家族。総務省家計調査2020より)とすると、30歳から80歳までで1.6億円です。

それに2人の子どもの塾代として年間120万円を、小・中・高と12年かけると1,440万円で、絶対に足りません。

私は経済の専門家ではありませんので、大ざっぱな計算です。

日本の公立教育は決して悪いものではありません。小・中・高と公立に行き、塾も行かなければ、かなり違いますね。

お母さんも働けば、女性の生涯年収は約2億円といわれていますので、余裕ができますね。

こう考えると、お父さんのみがサラリーマンで子どもを留学させるというのは、とてもむずかしいことになります。

お金の計画は長期的な視野で

いまは、老後の年金が足りないという話と、日本が他国に比べて貧乏というのがニュースになっていますが、これからは、独身から結婚、子どもの教育まで長い年月に渡ってのお金の計画が必要です。

子どもを留学させたいなら、夫婦共働きにするとか、住宅ローンも安易に借りるのではなく20年とか25年にするとか、元利金等ではなく元本均等にするとか。

奨学金は借りるのではなく、留学するなら、単位を認めてもらえる放送大学で早くから単位を取得して留学年月を短くするとか、返却しなくていい奨学金を得るために学校の成績をよくしておくとか。

留学のためでなくても、住宅ローンや借りる奨学金のことなどは、早くから子どもたちも習っておくべきだと思います。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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