なぜアメリカの大学に編入するのか? 「編入留学」のトレンドを紹介!

アメリカでは四大から四大への編入も当たり前

アメリカの大学では、「編入」がめずらしいことではありません。

日本では短大を卒業した人が四大への編入試験を受けるというのが一般的ですが、アメリカでは、コミュニティ・カレッジ(公立の二年制大学)から四大への編入のみならず、四大から四大に編入する学生もたくさんいます。

大学を卒業するのに必要な単位数はおよそ120単位です。

そのうち60単位はどこの大学からもってきてもいい、というのが基本ですから、3年生からのみならず、2年生から編入というのも可能です。

バラク・オバマ元大統領は、Occidental Collegeというリベラルアーツ・カレッジからColumbia Universityに編入しています。

大学に入ってから「ちょっと待てよ」

このアメリカの編入制度のことを知って、日本の大学からアメリカの大学への編入を考える人もいます。

高校生のときは大学受験の波に乗って塾に通い、深く考えることもなく、入試を受けて大学に入ったものの、入学してから、「ちょっと待てよ」と思う人が、ほんのわずかですがいるのです。

「遊びたかったら大学に入ってから遊べ」などと言って、受験生にハッパをかける塾や高校の先生がいるくらいです。

アルバイトやサークルに迷わずのめり込んでいく大学の友人たちを見て、違和感を抱く人もいるのです。

ここ1, 2年はコロナで対面授業もなく、大学生活そのものに失望した人もたくさんいます。

志望大学に入れなかった

また、入学した大学が、そもそも第一希望ではなかったという人もいます。

まぁ、試験当日に風邪をひいたとか、たまたま運が悪くて落ちたとかです。

また、いまの世の中は何でもかんでも慶應・早稲田で、運試しのように受けて、ダメだったら、ともかく第一志望に落ちたという人もいます。

おまけに志望の学部ではないというケースもあります。

だいたい、早稲田大学を受けるといっても、法学部も政経も社会学部も受けるなんて当たり前なんですから(それでいて大人が、「君の目的は何なんだ」なんてよく言うわと思うのですが)、どうってことないじゃないの、と思うのですが、語学系の場合はちょっと違うのです。

英語科が本命で、仏語とか独語とかにも願書を出しているわけです。

昔と違ってインターネットのせいで、世界中が英語になってしまったので、「フランス語って、ちょっとかっこいいな」というイメージもなくなりましたから、大学名の聞こえはよくても、授業がおもしろくないということになるのです。

大学院に留学するには力不足

大学を卒業する頃になって、編入留学を考える人もいます。

大学でしっかり勉強してきた人は大学院への留学をめざしますが、スポーツに熱中していた、アルバイトばかりしていた、恋愛に夢中だった、ボンヤリ過ごした、という人もけっこういるのです。

社会に出るのに自信がない。何がやりたいかよくわからない。

そして、みんなと一緒に就活にいそしむのに違和感があるという人たちです。

留学したいと思っても、成績が悪い、英語は忘れた、という状況ですから大学院には行けません。

もう1度、大学に入学しますが、60単位までは認めてもらえますので、3年生として編入することになります。

こういうのをアメリカではSecond Bachelor(「2つめの学士」という意味)といいます。

アート系にチャレンジしたい

成績も悪くない、英語力もある。でもSecond Bachelorという人もいます。

たいていアート系をめざす人です。

日本で音大や美大に入学するにはかなり早い時期から準備が必要で、また、作品の提出やオーディションがありますが、アメリカの大学は、そんなことの必要がなく、初歩から始めたい人が入学できる大学が何百校とあります。

美術・音楽・ダンス・演劇などです。なんとなくこういった分野に興味をもっていたり、ちょっと習ったりしていたけれど、日本で芸術系の大学に行くには準備不足、なんとなく周りに賛成されない、といった理由で普通の大学では進学した、が、いまだに興味がある、ということです。

ちなみに日本の大学在学中に編入する人にも、このような人がいて、演劇などを専攻する人もいます。

たとえ日本で工学部に在籍していようと、アメリカの大学の美術や音楽をはじめ、何でも専攻することができます。

日本の就活に違和感がある

就職のことで編入する人もいます。

ボストン・キャリアフォーラムといって、日本の一流企業と呼ばれる会社が毎年秋に200社くらいブースを出して面接を行い、内定を出すイベントがあります。

卒業をめざしてアメリカに留学している人も少ないため、競争もありませんし、大学名での足切りもありません。

Second Bachelorでも年齢が高くても大きな障害にはなりません。

この理由で留学しようというのは、日本で、あのリクルートスーツと呼ばれる服装をして一斉の就活をするのに違和感をもっている人たちです。

意外なことに父親が賛成に回ることがあります。

受験勉強は母親任せですが、大学生になって大人の話ができるようになると、父親が「やってみろ」とハッパをかけるのです。

「留学して、みんなと違う仕事のありかたを試してみろ」ということのようです。

当研究所は、単位の数えかたや時間割の組みかたを含め、授業にうまくついていく方法などあらゆることを教えて、編入留学する人たちを応援しています。


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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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