ヘッドハンティングでGoogleへ。留学経験者のさまざまな生きかた

AmazonからGoogleへ

6月になるとアメリカの学校は夏休みに入るので、アメリカの大学を卒業した人や夏休みで帰国している人たちがよく当研究所を訪ねてくれます。

Aくんは日本の超難関国立大学を1年でやめて、アメリカの田舎の小さな大学に転校しました。

この春からGoogleに勤めていますが、その前はAmazonにいました。ヘッドハンティングのスカウトで転職したそうです。

お給料も日本のものとはかなり違うようです。

またGoogleは、会社で3食、食べられるので、独身の身にはとても便利がいいとのこと。

Bくんは日本の私立大学を2年でやめ、やはりアメリカの田舎の大学に転校しました。

その後、成績優秀で卒業したため、University of Kansasの修士課程にリサーチアシスタントとして入学しました。

学費は必要なく、月にいくらかの生活費ももらえたため、親に負担をかけることなく修士課程を終え、日本のトップクラスのシンクタンクに内定しました。

9月から入社するそうです。

お給料もかなり高めですが、やはりアメリカと比べれば低くなります。

BくんはAくんの話を聞いてとても興味をもち、数年後にはアメリカに渡るかもしれません。

起業、アメリカで就職、「未定」という生きかたも

Cくんは、高校卒業後やはり小さな大学へ留学し、卒業して起業しています。

かなり内容のいいものらしく、たくさんの資金提供者がいるようです。ただ、大金を出資してくれるのですが、日本以外のアジアで起業しろとリクエストされるそうです。

もう1年は日本でやりたいが来年は海外に出ると思うと言っていました。

シンガポールかホーチミンかな?

教育分野なので、日本は人口減ですからやはり出資する側はもっとマーケットの大きいところというわけですね。

Dさんは高校卒業後、アルバイトをしながら放送大学で授業を受け、単位を稼いでいました。

金銭的理由もありますが、お父さんが留学に難色を示していたからです。

40単位ほどを移行して、やはり小さな田舎の大学に編入しました。

コピーの使いかたを聞く英語もわからなかったくらいでしたが、いまは成績優秀(オールA)で、この12月には卒業します。

まだ次にどうするか決めていません。

Eくんは日本の私立大学を2年でやめて留学しました(同じく小さな大学です)。

卒業後、日本の外資系ホテルに就職しましたが、ホテルの外(お客様)と内(従業員)のあまりの違いにショックを受け、やめて、うちの研究所に来ました。

4年ほど勤めていましたが、教育関係への興味が募って、University of Minnesotaの大学院で、Higher Educationの修士を得るため渡米しました。

なんとかアメリカの大学に就職したかったのですが、コロナのため叶わず、日本の故郷に戻って地元の大学に勤めていましたが、コロナも落ち着き、あきらめずに仕事先を探した努力が実って、アメリカの大学のAdmissions Officeに、この9月から仕事を得ました。

まもなく渡米します。

日本の若者は受験と就活で頭がいっぱい

この人たちの生きかたを見ていると、就活解禁とか、すでに7割が内定とかいう新聞記事がどこか遠いところの話に思われます。

一流国立大学の3年生がカウンセリングに来たときに、ウクライナのことが話題になるか聞いたところ、みんな就活で頭がいっぱいと言っていました。

また、お父さんはアメリカ人ですが日本で育って日本の大学にいる知人の息子は、やはり就活で頭がいっぱいで、ほかのことは何も考えられないとのことです。

日本では、受験と就活で人生が決まってしまう、という刷り込みはすごいものがあります。

一方でマスコミが、「老後、どのくらいの蓄えがなければやっていけない」としつこく報道しています。

知人の夫も60歳で定年になって、退職金が驚くほど少なく、60〜65歳までは、働けるが収入が半分ほどになり、65歳からの年金の額を聞いて、この知人は途方に暮れています。

10歳近く違う夫ですから、彼女は55歳からこの収入で、あと40年は生きていかなければなりません。

留学は人生を大転換させるチャンス

アメリカ流の、自分を磨いて、常に高く売るという生きかたは、厳しいものがあります。

しかしながら日本の、入社すれば安心、という将来は惨憺たるものになってきています。

いまの若い人たちは、就活と退職後のことをどう結びつけているのでしょうか。

まぁ、人間はそのときにならないとわからないのでしょう。

私は、1人ひとりが楽しく自信をもって生きていけるよう(もちろん、いつもそうはいかないでしょうが)、どこの世界でも生きていけるよう、どんな時代でも生きていけるようになってほしいとこの仕事を続けています。

もう50年も経ってしまいましたが、自由な生きかたを実行している若い人たちを見て、とても嬉しく思っていますし、こういう人たちがもっと増えると、いつも同じ行動をとる日本の社会に変革のチャンスをもたらす刺激にならないか、と願っているのです。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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