アメリカの大学に留学してパイロットになるための裏ワザ

アメリカで有名な航空学科

パイロットになりたいと思っている人はそれなりにいます。

高級とりだし、何かかっこいいですね。日本でパイロットの大学に行くのは、なかなか狭き門で、学校数も少なく、眼の適性検査も厳しいものです。

アメリカにはパイロット養成学科をもっている大学がけっこうあります。

有名なのはUniversity of North Dakotaで、世界一の飛行シミュレーションの装置をもっています。

ノースダコタ州は、シェールガス・オイルを産出できるようになって、田舎の冴えない州からお金持ちの州になっています。

もう1つ昔から有名なのはEmbry-Riddleという私立の大学です。

航空学科が中心の大学で、就職率がとても高いといわれています。

アメリカに留学してパイロットになれるか?

視力の問題で日本の航空大学には入学できないため、アメリカに留学したい、という話と同時に、アメリカで就職できるのか、という相談がよくあります。

アメリカで航空学科を卒業した場合、3年間のプラクティカル・トレーニングを受けられるので、インターンとして仕事をすることが可能です。

その間に就職できる航空会社を探して、H1という就労ビザを申請することになりますが、ここ数年、大卒者へのビザ発行数6万に対して何十万という人が応募してくるので、抽選ということになっていて、競争も激しく、なかなかうまくいきません。

アメリカの飛行ライセンスで働ける国や航空会社は限られています。

日本のANAやJALは独自でパイロット養成を行っていて、アメリカのライセンスをもっていても雇ってくれません。

永住権を「買う」という裏ワザ

そうなるとアメリカでライセンスをとっても、先は暗いということになります。

それでもアメリカでライセンスを取得して働きたいという人もいて、永住権を得ようという人もいます。

アメリカで永住権を得るのはなかなかむずかしいのですが、世の中、何でもお金さえあれば、ということで、アメリカでもお金を出せば投資ビザという名目で永住権を得られます。

方法が2つあって、ある程度の額(最低10万ドル)を投資して一定数のアメリカ人を雇ってビジネスを行うのです。

ニューヨークあたりで高級日本食レストランを開店するというのですと、金銭的にも当てはまりますね。

とくにレストランをしたいわけではないし、アメリカ人を雇うのも大変、そういう人のためにはEb-5という投資ビザがあります。

もともとは50万ドルでしたが、いまは80万ドルです。

これは移民局が指定した開発プロジェクトに出資するというものです。

スキー場開発であったり、新しい町づくりであったりします。

出資をすれば本人と配偶者、および21歳未満の子どもの永住権が得られます。

もしプロジェクトが成功したら配当が得られて、もとのお金も返ってきます。

プロジェクトが失敗したらお金は戻ってきません。それでも永住権は得られます。

一時、中国の人が、このEb-5に群がって、移民局に指定されていないプロジェクトまで売りに出され、詐欺にあった人もいたのです。

ノースダコタ大学に留学してパイロットになるケース

さて、アメリカでパイロットになるのに、University of North Dakotaを例にとって考えてみましょう。

学費+寮・食費は約37,000ドルです。

1年目は一般教養です。

2年目からは実技、すなわち飛行機に乗ります。

この実地訓練の費用が1年に約30,000ドルです。

2年目・3年目・4年目は学費+寮・食費にこの実地訓練の費用がかかります。

そして卒業したらインターンをしながらEb-5を申請します。

ここで別の話ですが、パイロット科は入ればいいというものではありません。

200人の学生が最後には6人になるなんてこともあるそうですから、多くの学生は振るい落とされるので、実地訓練の費用も必要なくなり、普通のコンピュータ学科や経済学、経営学、はたまた音楽、アートでも好きな学科を選んで勉強を続けることができます。

したがってパイロットになるにはお金だけでなくかなりの学力や能力が必要とされるのです。

4年間のUniversity of North Dakotaのパイロット科を卒業する費用と、永住権を得る費用、プラス生活費などもろもろ考えると、1億5,000万円くらい日本円にして必要になります。

大変なお金です。

しかしアメリカでパイロットになると、年収10万〜20万ドルくらい得られます。

取り戻すことはそうむずかしいことではありません。

可能性のある若者の未来にお金を貸す銀行とかないものですかね。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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