アメリカの大学の数学の授業とは?
こんにちは! バージニア州の大学に留学中のブログライターあんです。
私は留学前に、「アメリカの大学の数学の授業は日本人にとって簡単」という噂を何度も耳にしました。でも実際には、どんな風にどんなことを学ぶのか、どのくらいの難易度なのかを具体的に知ることはできなかったので、今回のブログでは、私がアメリカの大学でとった数学の授業についてお話ししたいと思います!
数学の課題の1つ。表を埋めてグラフを作成
もくじ
1.クラス分けは入学前から決まる!?
1-1.プレイスメントテスト
1-2.数学を履修する必要のない人
2.成績のつけかた
2-1.テストだけじゃない! 成績の基準
2-2.成績の40%を占める宿題とは?
3.気になる授業の内容は?
3-1.宿題に関する質問で授業半分が終了
3-2.スピードが速い教授のレクチャー
3-3.グループプロジェクト
4.授業がわからなくなったとき
4-1.QRセンターで聞く
4-2.オフィスアワーを活用
4-3.日本語で調べる
5.留学生でもAを狙える?
1.クラス分けは入学前から決まる!?
アメリカの大学では、アドバイザーの先生と個別に相談した上で、履修する科目を登録します。そのタイミングは、春学期(1~5月)の科目であれば10~11月、秋学期(9~12月)の科目であれば3~4月です。これは大学によっていくらか異なります。
しかし私が留学している大学では、1年生が履修する数学の科目に関しては入学前から決まっているのです。
1-1.プレイスメントテスト
私が留学している大学では、公式に入学が決定した新1年生は、プレイスメントテストと呼ばれる現時点での学力を測るテストをオンラインで受けます。
どの科目のテストを受けるかは人によってさまざまで、外国語のテストを受ける子もいれば物理を受ける子もいます。ただ1科目だけ、すべての新入生が受けなければならないテストがあります。それが「数学」です。
テストは期限内ならいつでも受けてよく、制限時間3時間内に数10問を解いて送信するというとてもフレキシブルなものでした。
アメリカでは数学の問題を解くときに公式が与えられ、電卓を使うのが当たり前であることを知らなかった当時の私は、「こんなんじゃカンニングできちゃうじゃん!」と思いながら、乏しい記憶をたどりながら紙いっぱいに筆算をしていました(笑)。
1-2.数学を履修する必要のない人
プレイスメントテストの結果に応じて、新入生は3つある100番台のクラス(おもに1年生が受けるクラス)のうちの1つに割り振られます。どのクラスに自分が入ったかは、オリエンテーション(日本の大学のガイダンスにあたります)中に知ることができますが、実際には最初の学期にとらなくてはならなないわけではなく、2年生の終わりまでにパスすればよいというルールになっています。
プレイスメントテストで好成績をとった新入生は、100番台の数学のクラスをとる必要がありません。その分、選択できる科目が1つ増えるというメリットがあります。私は3つのうち1番上のクラスに割り振られましたが(数学が大嫌いな文系出身の私としては奇跡(笑))、私の先輩は100番台の数学のクラス履修を免除されていたので、高校の数学をしっかり理解していれば高い壁ではないかもしれません!
2.成績のつけかた
アメリカの大学では「成績」がとても大切にされています。とくに大学院への進学を考えている学生や、私たち留学生にとって、成績はきっと大学生活を通じてとても気がかりになるものの1つでしょう。私が履修した数学のクラスでは、ちょっとユニークな成績のつけかたをしていました。
2-1.テストだけじゃない! 成績の基準
私は、中間・期末の2つのテストの平均を基に成績がつけられると思っていました。ところが、クラス初日に配布されたシラバス(授業進行表)を見てびっくり、
Attendance(出席):10%
Homework(宿題):40%
Midterm(中間テスト):25%
Final(期末テスト):25%
--------------------
Total:100%
と書かれていたのです。
アメリカの大学では授業の出席率が非常に重視されるので、このクラスでも成績の10%を占めることは理解できます。でもHomeworkが40%って・・・?
これはつまり、毎回の授業で課される宿題を、遅れることなく全問正解で提出すれば、成績の40%が確実に満点の状態でもらえるということなんです!!!
中間・期末テストが占める割合(50%)と宿題の割合(40%)がそんなに変わらないなんて、なんてラッキーなんでしょう。
これ以外にも、NASAの人が講演に来た際に感想をまとめて提出したり、期末テストで教授の飼っている犬の名前を書いたらExtra Credit(ボーナス点)をもらえるというユニークなチャンスが何度かありました。
2-2.成績の40%を占める宿題とは?
では、成績の4割を占める宿題とはどんなものなのでしょうか。
これは基本的に毎時間2~4ページ分のプリントに、その授業で習ったことを用いて解く問題が載っています。私のクラスは計算式を解くというより文章問題を読んでグラフを埋めたり、式をたてるところから始める問いが多かったので、最初は問題を理解するのに時間がかかりました。
プリント以外には、Desmosというサイトでつくったグラフをスクリーンショットし、授業前までに教授にメールで送るというのもよくありました。
3.気になる授業の内容は?
授業は、「数学のクラスというと、黙々と問題を解くだけだろう」という私の予想とはまったく違うスタイルで進行されました。
3-1.宿題に関する質問で授業半分が終了
宿題が少しむずかしいことや、その占める成績の割合が大きいこともあってか、1時間の授業のうち毎回約30分は、宿題に関する質問をする時間になっていました。自分の答えと教授の解説が違ったらその場で書き直してもまったくかまいませんし、その時間に友達と相談することもできました。
私は当初「質問したら理解できてないと思われそう・・・」となかなか質問することができませんでしたが、質問しないで間違えたものを提出すれば逆に宿題の成績が落ちるだけですし、教授にも「1人がわからない問題は、少なくとも他の4、5人も理解できてないから気にしないで聞きなさい」と言われました。
少しずつ留学生活や英語に慣れてきたこともあって、授業回数が増えるに連れ、最終的には自分から発言したり挙手できるようになりました。
3-2.スピードが速い教授のレクチャー
宿題に関する質問が終わった後は、パワーポイントを用いて新しい範囲の説明が教授からされます。
私は日本の高校でも、数学を含むほとんどの授業がパワーポイントを使って行われ、ビジュアルを大いに利用した学びかたをしていました。むしろ黒板を使うということがほとんどありませんでした。アメリカの大学でも、高校と同じような私の好きなスタイルで授業が進行されたので、抵抗はありませんでした。
ただ、ネイティブの子でもその場で理解しきれないほどのスピードで説明が進んだので、復習は欠かせませんでした。
3-3.グループプロジェクト
1学期に3回ほど、グループプロジェクトまたはペアプロジェクトがありました。
グループで1つのプリントを埋めるという課題もあれば、グラフを作成するというものもありました。
私のお気に入りだったペアワークは、大気中の成分が徐々に減っていくのを表した式が正しいことを確かめるために、大量のM&M’sをタッパーに入れてミックスし、マークがついている部分が上に来たら取り出すというのを繰り返すものです。チョコレートがガシャガシャぶつかり合う音が教室中に響いていました(笑)。数が合わなかったら「どうにかして調整して」とニヤニヤしながら言うお茶目な教授と、その意味を理解して速攻でチョコを食べ始める友だちがつくるクラスの雰囲気がすごく好きでした(*≧∀≦*)。
グループプロジェクトやペアワークの際は、どうしても英語力のせいで自分と友だちとの間で、課題の内容を理解するスピードに差ができてしまい、迷惑をかけてしまっているなあ、申し訳ないなあという気持ちになったり、悔しくて泣きそうになることもありました。けれど、どの子も親切に教えてくれて、私が意見を言ったときにはそれを尊重してくれました。
M&M’sを使ったプロジェクト
4.授業がわからなくなったとき
私が履修した100番台の数学のクラスでは、日本の高校で学んだ範囲とかぶっている内容もいくつかあり、少し復習をすればすぐに理解できました。それでも初めて知る概念や用語のために、理解に時間がかかることもありました。そんなときの対処法を紹介しましょう。
4-1.QRセンターで聞く
まず数学に関して質問がある場合、最初に行くように言われているのが「QRセンター」です。
ここでは過去に同じ数学のクラスをとっていた学生や、数学が得意な学生が働いていて、課題のヒントや授業の解説をしてくれます。基本的に午前から晩まで空いていますが、担当の学生が働いている時間は決まっているので、夜中に駆け込んでも対応してもらえない場合があるので注意が必要です。
4-2.オフィスアワーを活用
1番正しい解き方・回答・解説を知るのに確実なのは教授に聞くことです!
どの教授も週に2、3回はオフィスアワーという時間(アポなしで学生の訪問を受け付ける時間)を設けているので、この時間を利用します。
私の数学の教授は「オフィスアワー以外の時間にもドアが空いているときはいつでも来ていいよ」と言ってくれたので、テスト前はよく行っていました。
4-3.日本語で調べる
これは最終手段だと思っていますが、どうしても理解できないときは日本語で数学を解説しているウェブサイトを利用しています。むずかしい用語も、日本語で調べてみるとあっさり「あぁ、これのことだったのか!」ということもあります。
ほかにもインターネットを使った方法としては、たとえばparabolaという英単語をGoogleで画像で検索してみると、放物線のことを指していることが視覚的に理解できます。
Googleでparabolaを画像検索
5.留学生でもAを狙える?
アメリカの多くの大学では、数学がGeneral Education(一般教養)の必修として避けては通れない科目となっています。けれど、100番台のクラスは予習復習・課題をしっかりとしていれば、日本の高校の数学をこなしてきた日本人留学生にとってはむずかしい科目ではないかもしれません。英語がネイティブではない私たちでもAをとれるチャンスかも!
あんさんの記事一覧
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