AI時代の留学生活──ChatGPTとどう向き合うか?

こんにちは。アメリカの大学に留学中のRouriです。

少し前に、ChatGPTが「ジブリ風」の画像を生成できるようになったことが話題になりました。インスタグラムでスポーツ選手のジブリ風画像が流れてきて、上手な特徴の捉えかたに感心したのを覚えています。いまでは無料版でも画像生成が可能になり、より身近な存在になっていますね。

私がChatGPTを初めて使ったのは2年前でした。一瞬で内容も文法も整った文章が返ってきたことは衝撃的でした。ChatGPTの登場によって大学生の学びかたが「よくも悪くも」大きく変わったと感じています。

今回はその変化について、アメリカの大学で私自身が今学期を通して感じた実体験をもとに書いてみようと思います。

ChatGPTが作成したジブリ風の画像
僕の陸上の写真をジブリ風にしてもらいました

ChatGPTに関するアメリカの大学のルール

ChatGPTの登場から数年が経ち、できることがどんどん増えています。その進化についていくことは、楽しみでもあり、少し不安でもあります。

現在、僕が留学している大学ではChatGPTの使用に関して統一されたルールはまだありません。授業ごとに使用の可否が異なります。またそのルールを破って使用された場合はHonor Code(道徳的なルール)違反とされ、重大な処分を受けることもあります。

ただ、先生がたもまだ試行錯誤の途中です。ChatGPTによる文章かどうかを正確に見分けることはむずかしく、対策も簡単ではないようです。実際、PDFやスクリーンショットを送れば、ChatGPTは数秒で答えを返してくれます。レポートだけでなく、選択式の問題やプログラミングの課題にも対応してしまいます。しかもなかなかの正答率・・・。

アメリカの大学が重視する「自分らしさ」はどうなるか

しかし、それをそのまま使ってしまって本当にいいのか。

アメリカの大学では「自分らしさ」を表現することが非常に重視されます。課題は、ただ終わらせることが目的ではありません。自分の意見を整理したり、知識を使って考えることこそが本来の目的です。

ChatGPTに任せきりの4年間で、自分に何が残るのか。私は、それがとても不安になりました。だからこそ、後で後悔しないためにも、ChatGPTとどう付き合うかを考えるようになりました。

ChatGPTは強力な味方にもなる

とはいえ、ChatGPTは悪いことばかりではありません。使いかた次第では、とても頼れるパートナーにもなります。

Googleよりもていねいで具体的な返答が得られたり、会話のようにやりとりができたりするのは大きな魅力です。たまに的外れな答えや、必要以上に詳しすぎる説明が返ってくることもありますが、それも含めて「ChatGPTらしさ」と思いながら楽しんでいます。

私自身、ChatGPTに自分の理解が正しいか確認してもらったり、異なる視点を紹介してもらったりしながら、自主的な学びを深めることができました。授業内でも「ChatGPTはこう考える」というかたちで、1つの意見として取り入れられる場面もあり、学びに広がりを感じました。

たとえば、Micro Economicsの授業では、価格弾力性(price elasticity of demand)の理解にChatGPTが役立ちました。

ChatGPTは「ガソリンのような生活必需品は価格が上がっても消費量があまり変わらない=価格弾力性が低い。一方で、映画や旅行などの娯楽は、価格が上がると需要が大きく減る=価格弾力性が高い」といった身近な例を挙げて説明してくれました。

さらに「弾力性が低い商品の需要曲線は急で、弾力性が高い商品はなだらかになる」といった視覚的な特徴まで教えてくれたことで、グラフと実生活の結びつきが明確になり、授業の内容が腑に落ちた感覚がありました。

経済学の授業
Economicsの授業

課題でChatGPTが使える!?

ChatGPTの使用が明確に認められた課題もありました。とくにコンピュータサイエンスやライティングの授業では、使用が許可されていたケースもあります。

たとえば、ライティングの授業では文献の検索や参考文献リストの作成にChatGPTを使ってよいと言われたことがありました。「いままで習ったことを前提に、自分で確認しながら使うならOK」というスタンスです。

このように、教授ごとにChatGPTの受け止めかたが異なっており、柔軟な姿勢で取り入れようとしている様子がうかがえました。

おわりに

大学生になると、「何が正しい使いかたか」を自分で判断できる力が求められます。ChatGPTを自分の右腕として活用できるようになれたら理想的です。自分なりのルールをもち、自律しながら使いこなしていくことが大切だと思っています。

ボスキャリへ向けた履歴書づくりや自己分析などなど、まだまだChatGPTの強みを活かす余地はあります。

ChatGPTに頼りきりの4年間ではなく、自分の力とバランスよく付き合っていく4年間にしたい。そう思いながら、私はこれからもChatGPTとの距離感を模索していきます。

ワシントンDCの桜
ワシントンDCの桜

(第6回終わり。第7回へ続く)

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