授業料から旅費の免除まで。アメリカの大学のウクライナ人学生への支援

ウクライナ人学生へのさまざまな支援

アメリカの大学では、秋の新学期が始まっています。

コロナ禍にもかかわらず、たくさんの留学生が世界各国からアメリカに渡りました。

そこでちょっと話題になっているのが、ウクライナやロシアからの留学生のことです。

アメリカの多くの大学が、ウクライナ人学生への支援の取組を行っています。

シカゴ大学はウクライナ人学生の授業料補助として2,000万ドル規模の支援金を用意したそうです。

ほかにも多くの大学が授業料や生活費を援助しています。

また出願期間の延長や、出願に必要な公的書類の一部免除なども行っています。

ウクライナ人のある若者は、3月31日にブラウン大学から合格通知をもらったそうです。

ブラウン大学は、この若者のために航空運賃、学費、寮費などの援助をしました。

支援はロシア人学生にまで

しかしながら、ウクライナにあるアメリカ大使館領事部では、学生ビザの発行をしていないので、他国に出なければなりません。

また、18歳以上の男性は原則、国を出てはいけないため、学生である証明をしつつ、他国に渡って学生ビザを取得するという、綱渡りのようなことをして、やっとアメリカの大学生になれるわけです。

ある若者はモルドバ経由でルーマニアに行き、そこにあるアメリカ大使館領事部で学生ビザを得たそうですが、驚いたことには、彼を受け入れたアメリカの大学が、ルーマニアでビザの発給を待つ間のホテルの滞在費もまかなってくれたということです。

アメリカの大学は当然のごとくロシアの学生にも同じ支援を提供しています。

ロシアの若者で、ウクライナへの侵略が始まった途端、ロシアを離れた人もたくさんいるのです。

ある学生は、ロシアを離れたため、統一国家試験を受けられず、高校卒業資格を得られずにいたのですが、アメリカの大学では、出願提出書類の猶予や免除をしてくれました。

日米の大学生のアルバイト事情

アメリカの大学はAdmissions Officeが全面的に責任をとって入学を決定するので、Admissions Officeがあらゆる情報を集めて、かつ本人とていねいに連絡をとり合って、このような綱渡りのようなことができて、世界各国から学生を集めたり支援したりすることができています。

そのことが、将来のアメリカや世界にどれだけ役に立つことでしょうか。

日本では留学生30万人計画を盛んに喧伝していますが、日本に来る留学生は、本来ならアメリカに行きたい人が、奨学金を得られず、次の案として日本を選んでいるケースが多く、また、日本で働くことを目的に、留学という方法をとっている学生もいます。

アメリカでは留学生はアルバイトをすることが禁じられています。

そもそも勉学があまりに大変で、寮生活ですから、アルバイトをする時間も場所もありません。

勉学のために来ているわけですから、アルバイトを容認することはできないのです。

日本では、留学生は1週間に28時間までアルバイトをすることができます。

1日平均4時間働いていいのです。夏休み・冬休み・春休みはびっちり働けます。

コンビニなどでは、もうほとんどが留学生で支えられているという状況ではないでしょうか。

配送などの分野では、夜に仕事をして、高いお金をもらい、国に仕送りしている人もいます。

月3万円でも、国によってはありがたいお金になるのです。

そんなに勉強しなくて卒業できるのも、留学生にとっては、ある意味ありがたいシステムなのです。

どうすれば「世界に開かれた大学」になれるか

今回のウクライナのことで、日本の大学がどれくらいの便宜をウクライナの学生にしているのか、まったく聞こえてきませんし、またウクライナの学生が日本に来たいと思っているとも思えません。

ウクライナやロシアの若者も、みんな英語でSNSで発信しています。

日本は英語が通じない国として知られています。

「世界に開かれた大学」などと日本の各大学はいろいろ宣伝・広報活動をしていますが、なかなか実体が伴いません。

世界の若者から来たいと思ってもらえるような魅力のある大学や国にするにはどうすればいいでしょうかね。

各高等学校で、受験ばっかり言っていないで、こういった現実について、もっと議論したり考えたりするようなクラスをもってはどうでしょうか。

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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