ドラフトを蹴ってアメリカの大学へ。スポーツ留学の現実とは?

明るい話題はスポーツから

2024年は初頭から大地震や航空機事故に見舞われ、何か今後の日本の波乱を予感させるような幕上げでした。

そんなときにテレビで流れる娯楽番組などは見る気になりませんが、少し心を癒してくれたのはスポーツでしょうか。

箱根駅伝も無事に開催され、歓声があちこちから聞こえてきました。

大谷翔平選手の活躍でアメリカの野球がすっかり有名になりましたが、日本のプロ野球のドラフトを受けないでアメリカの大学への留学を選んだ有望選手のこともちょっとニュースになりましたね。

彼の留学先のバンダービルト大学(※)というのは、日本の人にはほとんど馴染みがないと思いますが、とても名門の大学です。

アメリカの大学や建物には個人の名前がつけられているのが多いのですが、この大学もバンダービルトさんの寄付によってできた大学です。

学生アスリートは勉強が第一

さて「スポーツ留学」「アスリート留学」といっても、アメリカは1年365日同じスポーツをするわけではありません。

シーズン制が徹底されています。

また、大学生ともなると勉学にも励まなければなりません。

成績が悪くなると奨学金も取り消されますし、場合によっては赤シャツを着させられてベンチ入りになり、試合に出ることができません。

まず、成績第一ということになります。

有力選手の成績があまりよくないと、遠征のバスにチューターを乗せて走るという笑い話がよくありますが、チューターをつけてでもよい成績をキープしなければならないのです。

アメリカの大学で身につく力

勉学が第一ですので、スポーツが目的で留学したとしても、英語力、学力がちゃんと身につきます。

また、つねに授業では意見を言わなければなりませんから、復習・予習をして、明日意見を言うネタを考えなければならないため、深く物事を考えることになりますし、表現力も磨かれます。

また、アメリカの大学では物理とアートというようにいろいろな専攻の組み合わせができ、また、3年生までは専攻を決めなくてもいいし、変えてもいいことになっています。

スポーツビジネスとコンピュータという組み合わせもできます。

心理学と音楽を一緒にとってもかまいません。

そのため、自分は何が本当に好きなのか、何をやりたいのか、自分自身でよく考えて決断しなければなりません。

ましてやいまはAIの発達が著しく、コンピュータの授業などでは、学期の途中で新しいAI教材ができて、授業内容を変更するということもあります。

変化の激しい時代に、ますます自分で考え決断することが大切となっていきます。

アメリカの大学ではこの訓練を知らず知らずのうちに受けることができますから、とてもラッキーなことです。

スポーツ留学の成果

さて、スポーツ選手の一生はとても過酷なものです。

どれだけ打ち込んでも、プロのスポーツ選手として生き延びるのはとても大変です。

現実はほんの一握りの人がスポーツ選手として大成でき、あと少しの人が、監督やコーチなどで生き延びていきます。

多くの人は若いときの実力にかかわらず、どこかでスポーツ以外の生きかたを考えなければならない可能性があります。

そんなとき、アメリカの大学で受けた教育は大きな力を発揮します。

アメリカの大学にはアイスホッケーで留学する人がけっこういます。

当研究所から留学したある人は、アメリカでアイスホッケー選手として活躍した挙句、日本に帰国後、他の競技に変わりました。

その中で、外国人への偏見や違和感を抱くこともなく、チームメイトと仲よくなって、しかも日本でスポーツばっかりしてきた人たちよりいろいろなことを知っていることに初めて気づいたようです。

このままスポーツ選手として大成しなくても、スポーツ業界で何かできるのではないか、と考え始めたようです。

当研究所からスポーツ関連で留学した人たちは、その後、さまざまな分野で活躍しています。英語力にしても、習った英語と体で身につけた英語は違います。

120歳まで生きると言われているいまの世代、留学で得たものは、一生の中でいろいろなかたちで顔を見せ、役に立ってくれます。2024年も、一人でも多くの若者が留学できますように。

※バンダービルト大学 Vanderbilt University(テネシー州)
1873年創立。実業家として辣腕を揮ったコーネリアス・ヴァンダービルト氏の寄贈によって設立された南部屈指の私立大学。研究と教育、双方のエリアで全米的に高い評価を得ている。
著名な卒業生も多く、近年ではノーベル平和賞を受賞した経済学者のムハマド・ユヌスや、その翌年にノーベル平和賞を受賞した元アメリカ副大統領のアル・ゴアなどが挙げられる。
工学や音楽の分野に定評があり、大学院レベルでは教育学のプログラムがよく知られている。人気の専攻分野は経済学をはじめとした社会科学系で、ほかに数学やコンピュータも人気が高い。
キャンパスはテネシー州の州都ナッシュビルの市街地にあり、インターンシップの機会も豊富にある。都市型の大学ではあるがキャンパスの美しさ・学食のおいしさも有名で、充実した生活が送れる大学として学生たちの満足度も高い。(「アメリカ大学ランキング」https://www.ryugaku.ne.jp/より)

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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