アメリカの大学で士官候補訓練!? 驚きの留学経験

安全保障への興味が募って

夏休みになると、アメリカ留学中の学生たちが、わが留学研究所に遊びにやってくるのは、いつもながらの光景です。

ハラハラ、ドキドキしながら渡米していった学生たちが、自信をもったエネルギーあふれる笑顔で途中報告に来てくれたり、卒業報告に来てくれたりします。

今年は驚いたのなんのって、アメリカ軍の制服でやってきた学生がいたことです。

Mary Baldwin Universityというバージニア州にある女子大に留学中ですが、その大学にはリーダーシップというコースで、近くにあるVirginia Military Instituteと共同で、士官養成のプログラムがあるのです。

男子校であるVirginia Military Instituteの壁を打ち破って女子学生を受け入れるコースをつくった女性学長のことは、いまでも覚えています。

大変なエネルギーでした。30年前のことだったと思います。

留学した彼女は、聞けば家族全員が柔道の黒帯で、アメリカでの週に3回の体力訓練もこなしているとのこと。

自衛隊に入ることも考えたけど、大学院で防衛についてもっと学んでみたいと言っています。

このように、国というものを経済やビジネスでとらえず、安全保障という観点からとらえている若者がいることに、本当に感動を覚えます。

彼女は自分のめざす道があることで喜びと自信にあふれています。

「何でもあり」だから自分で考えなければならない

理系・文系・芸術系・体育系などのしばりのないアメリカの大学では、何を専攻してもかまわないので、自分で考えて決めなければなりません。

また、クラスでは必ず意見を言わなければならないので、これも毎日、明日の一言のネタを考えなければならないのです。

すべて自分で考えて、毎日を過ごさなければならないのです。

アメリカ人のルームメイトとも、うまく付き合って暮らさなければなりません。

英語はテストの対象ではなく日常にあるものです。

本物の自信がつく、それが留学生活

日本で学校や塾からこうやりなさい、ああやりなさい、あなたは理系ですよ、あなたは文系ですよ、みんなと違うことをやってはダメ、でも、みんなよりちょっとでも偏差値を上げなさい、なんてわけのわからないことをやっている世界とはあまりにも違うのですが、この違う世界で精一杯、自分で闘ったせいで、いつの間にか、本物の自信ができ、毎日をかいくぐって生きていることで、すごく幸せになるのです。

恥をかいて悔しくて泣いて、暗闇の中をかいくぐって、1年経って迎える夏休みの嬉しさ。

自分は生き延びたって思うのです。

若い時代の最高の経験ですよ。

卒業式のときは、本当に自分をなでてあげたい、という喜びにあふれます。

よくぞここまで生き延びた、という充実感です。

大学卒業後も夢が広がる

周りのアメリカ人は、大学院に進学したり、しばらく休んで仕事を探そう、とか、音楽でなんとか食べていけないかな、とか、まぁいろいろ勝手なことを言っていて、○○会社に決まったなんて人は、まぁいないわけです。

もうちょっと勉強してエンジニアになろうかな、とか、しばらくインターンしようかな、とか、自分たちの未知なる将来に大きな希望をもっているのです。

日本人学生も、インターンしようかな、大学院に行こうかな、ボストン・キャリアフォーラム(バイリンガルのための就活イベント)で仕事を探そうかな、とりあえず日本に帰って、おいしいものたくさん食べてから考えよう、とか、未来にいろいろな夢を描くことができます。

実際、大学院に進学したり、ボストン・キャリアフォーラムで楽天とかAmazonといった、いま流行りの企業から内定をもらったり、まず日本に帰ってきてゆっくり考えたり、いろいろなことをしています。

また就職しても、違うな、と思ったら軽やかに転職していきます。

学業経験に仕事経験を加えながら、自分の行くべき道をゆっくり自分で探していくのです。

外国で仕事をする人もたくさんいます。

なんたって、どこでも生きていける自信があるのですから。

日本の人生の進路に「夢」はあるか?

これに比べて日本はどうでしょう。

大学入試と就活で一生終わり、すごろくのあがり、みたいなことになっていませんか。

私の住んでいる東京都港区などは、もう生まれたときから大騒ぎです。

まず慶応幼稚舎か東洋英和、ダメだったら中学受験、高校受験、ダメだったら大学受験、せめてMARCH。

「遊びたければ大学に入ってから」と言う塾の先生たち。

大学に入学したら、もう楽しくて、あっという間に就活、卒業。かろうじて一流といえそうな会社になんとか潜り込んで、30歳くらいになるとフラット35でお金を借りてマンションを買う。

60歳まで働いて期待は折れて、わびしい退職金をもらって65〜70歳まで減額の給料で働き、65歳であまりにわびしい年金をもらって95歳まで生きる。

これが日本政府、塾を含めた教育界、企業人、親が、子どもに教えている人生ですよ。

まったく、どうする日本人。


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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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