ハリウッドデビューも夢じゃない? アメリカの大学で映画を学ぶ

東西の双璧。ニューヨーク大学と南カリフォルニア大学

ここ最近、アメリカの大学で映画の勉強をしたいと言う人が何人かいたので、お話ししたいと思います。

映画は、アメリカではよくMotion Pictureと言っています。まさにうまい言いかただと思いました。

昔は映画なんてなかったのですから新しい造語ですよね。日本はだれが映画って名づけたのかしら。

アメリカで映画を専攻できる大学は、まぁまぁありますが、何といっても有名なのはニューヨーク大学(NYU)と南カリフォルニア大学(USC)です。

いずれの大学にも大きなスタジオがあり、最新鋭の編集室や音響スタジオなども用意されています。

脚本の書きかた、カメラの扱いかた、演出、撮影から編集まで、映画製作の基本的な技術とプロセスが学べるようになっています。

USCはハリウッドに近いので、映画業界とも密接なつながりをもっています。

学費+寮・食費=1,000万円以上!?

この2校の大学への入学は大変むずかしく、成績がいいのはもちろんのこと、何か作品を提出しなければなりません。

その上、学費と寮費と食費が、NYUは約94,000ドル、USCでは約90,000ドルもかかります。

おまけに都会の真ん中にありますから、ラーメンを食べに行ったりお寿司を食べたりで、お小遣いもすごくかかります。

したがってまず、金銭面で入学できる人があまりいません。

高校を卒業したばかりの人で作品を持っている人もあまりいません。

成績も日本の高校でオール5に近くないと相手にされませんので、これもなかなか難関です。

英語力も高いものが要求されます。入学時にテストをされて、大学側の満足いくものでなければ、付属の英語学校に入学させられてしまいます。

1年間英語を勉強するのに1,000万円以上必要になりますから、ちょっと考えざるを得ませんね。

カリフォルニア州立大学の映画学科

もう少し費用の安い、映画学科のある大学を選ぶ人もいます。

撮影の規模や設備の質は及ばないかもしれませんが、映画製作の勉強ができます。

作品を求めない大学もけっこうあります。

California State University, Long BeachやCalifornia State University, Sacramentoなどの費用は、学費+寮費+食費で約36,000ドルです。

大学1・2年次に一般教養と映画の入門クラスの授業をとり、よい成績であれば、そのまま映画学科に進めます。

映画学科といっても、Cinematography / Film Productionと、Film Studiesは違います。

Film Studiesは映画の歴史や映画の哲学や映画の批評を学ぶもので、製作を学ぶことはできません。

各大学の授業内容をスクールカタログでよく確認しないといけません。

映画学科のある大学は100校ほどで、日本に比べて多いですが、4,000校も大学のあるアメリカではやはり特別な学科です。

映画に興味があるといっても、作ろうとしている映画がドキュメンタリーのようなものかドラマであるのかでも違いがあります。

演劇やコミュニケーションから映画へステップアップ

アメリカではDrama and Theater Artsという学科が、それこそどの大学にもあります。撮影はしませんが、大道具・小道具、ライティング、衣装、化粧、すべての勉強をします。

役者の勉強もしますし、いつもたくさんのアメリカ人と共同作業をするので、英語も早く上手になり、友だちもできやすいのです。

小規模な寮制の大学は、安全で先生も親切で、アメリカ生活に慣れない留学生にはとても快適ですが、映画学科はほぼありません。

そこで、Drama and Theater Artsを勉強して、サマーにNYUでProductionなどのクラスをとることができます。

また、どこの小さな大学でもCommunication学科があって、ビデオ撮影のクラスがありますので、それを選択科目としてとることも可能です。

もちろん、3年生でNYUに編入するのも可能です。1年生・2年生の間に作品を作れます。

これからAIの進化と共に映画のありかたも大きく変わってくるので、小さな大学でDramaやCommunicationなどの授業をとって、どのような映画作りをするか、どのように仕事として映画にかかわるのかを考えるのも1つの手です。

◆ニューヨーク大学(Tisch School of Arts)映画学科の入学基準
・願書(Common Application)
・合格した高校生の成績平均:3.8(4段階)
・エッセー
・推薦状
・IELTS 7.5以上/TOEFL®︎テスト100以上
・以下の作品の提出

自己紹介の文章
  自己紹介のビデオ
  文章による短篇
  印象に残った映画についての文章
  写真、映像、文章いずれかによる創作物

◆南カリフォルニア大学 映画学科の入学条件
・願書(Common Application)
・合格した高校生の成績平均:3.83(4段階)
・エッセー
・推薦状
・IELTS 7.0以上/TOEFL®︎テスト100以上
・以下の作品の提出

自己紹介の文章
  文章による創作(短篇、会話、長篇の企画)
  これまでの創作実績
  これまでに携わった共同制作プロジェクト
  ビデオによる自己紹介
  映像または写真による創作物

◆エマーソン大学 Visual and Media Arts学科の入学条件
・願書(Common Application)
・合格した高校生の成績平均:3.73(4段階)
・エッセー
・推薦状
・IELTS 7.0以上/TOEFL®︎テスト95以上
・以下の作品の提出

短篇の映像作品
  短篇の脚本
  音響サンプルもしくは写真

 

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著者情報:栄 陽子プロフィール

栄 陽子留学研究所所長
留学カウンセラー、国際教育評論家

1971年セントラルミシガン大学大学院の教育学修士課程を修了。帰国後、1972年に日本でアメリカ正規留学専門の留学カウンセリングを立ち上げ、東京、大阪、ボストンにオフィスを開設。これまでに4万人に留学カウンセリングを行い、留学指導では1万人以上の留学を成功させてきた。
近年は、「林先生が驚いた!世界の天才教育 林修のワールドエデュケーション」や「ABEMA 変わる報道番組#アベプラ」などにも出演。

『留学・アメリカ名門大学への道 』『留学・アメリカ大学への道』『留学・アメリカ高校への道』『留学・アメリカ大学院への道』(三修社)、『ハーバード大学はどんな学生を望んでいるのか?(ワニブックスPLUS新書)』、ベストセラー『留学で人生を棒に振る日本人』『子供を“バイリンガル”にしたければ、こう育てなさい!』 (扶桑社)など、網羅的なものから独自の切り口のものまで、留学・国際教育関係の著作は30冊以上。 » 栄陽子の著作物一覧(amazon)
平成5年には、米メリー・ボルドウィン大学理事就任。ティール大学より名誉博士号を授与される。教育分野での功績を称えられ、エンディコット大学栄誉賞、サリバン賞、メダル・オブ・メリット(米工ルマイラ大学)などを受賞。

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